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第19話
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「ううう、うわあああああああああああああああっ!!」
少し前までは、体の弱いレオナルドに対する王妃の溺愛ぶりは相当なもので、自分が亡くなってしまったら息子がどうなるのかと悩んでいました。ところが今は自分の美しさを保つのが大切だと言い、あっさりと息子を見捨ててしまったのだ。
昔の母は自分のことを心配するあまり、手元から離そうとしなかった。とても可愛がられていた時の遠い記憶を呼びさますと、涙がとまらずに流れ続けて声を詰まらせて泣いていたら、不意に叫ぶような大声を上げた。
完全に彼の責任で、彼女を裏切って回復された病気が自分の体に戻ってきただけであるが、何となく部屋の中にいるメイドが、同情のこもった眼差しを送っていた。
「――お母様……それなら私はどうすれば……?」
ひとしきり情けない声で泣いた後、メイドに顔中の涙と鼻水を念入りに拭いてもらって、哀愁がこもる表情のまま、母のほうへ顔を向けて重苦しい切ない声で話し始めた。
「レオナルド、あなたも病気で苦しむのは辛いでしょう?」
そう言う母の顔は、過ぎ去った日々のとても優しい愛情に満たされた顔だった。彼は思わず顔に明るさが戻って微笑んだ。母はあの頃の心を再び取り戻してくれたのだと思ったのです。
「……はい、彼女を裏切った罰で病気が体に返ってきて……体中が痛くて耐えられません……」
全身に繰り返し稲妻が走っているような痛みを感じていた。間違いなく、くたばりかけていますと辛そうな様子である。ひどく衰弱していますが、助けを求める声をなんとか絞り出した。しかし彼は次の瞬間、地獄に落ちてしまう。
「それなら……もう楽になりなさい」
「え……?……お、お母様……そ、それはどういう意味ですか?」
もういい加減に眠って痛みから解放されなさいと、感情を抑えるように静かに悲しい響きの声を息子に伝えると、母は心苦しい笑顔を見せる。
「死んであの世に旅立ちなさい。おいきなさい」
目が合うと母と息子の視線は凍りついたように止まって、彼は広大な迷宮が広がる危険な場所に、一人だけ取り残された心細さを味わった。
「……」
レオナルドは表情の操作を完全に放棄し、廃人同然になってしまっている。
「仕方ないでしょう?私と夫は彼女を裏切れないのですから……それに彼女を裏切った時からあなたは死んでいるのよ」
「その通りだ。お前はもう死んでいる。まだ自分が死なないとでも思っているのか?潔く永遠の眠りにつくのだ……」
「彼女のことを一度裏切ったら、二度と助からないの。ちゃんと葬式もしますから心配しないでね」
「我が息子よ、冥福を祈るから安心して逝くがよい」
両親の語る言葉には、彼には希望が少しもないものだった。とうとう昇天が隣り合わせになって天使か妖精、はたまた精霊のようなものが見えていた。
「レオナルド!」
次の瞬間、ドアが勢いよく開いて女性が飛びこむように部屋へ入ってきた。彼は少し安心した顔になった。
*****
新作「王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。」を投稿しました。よろしくお願いします。
少し前までは、体の弱いレオナルドに対する王妃の溺愛ぶりは相当なもので、自分が亡くなってしまったら息子がどうなるのかと悩んでいました。ところが今は自分の美しさを保つのが大切だと言い、あっさりと息子を見捨ててしまったのだ。
昔の母は自分のことを心配するあまり、手元から離そうとしなかった。とても可愛がられていた時の遠い記憶を呼びさますと、涙がとまらずに流れ続けて声を詰まらせて泣いていたら、不意に叫ぶような大声を上げた。
完全に彼の責任で、彼女を裏切って回復された病気が自分の体に戻ってきただけであるが、何となく部屋の中にいるメイドが、同情のこもった眼差しを送っていた。
「――お母様……それなら私はどうすれば……?」
ひとしきり情けない声で泣いた後、メイドに顔中の涙と鼻水を念入りに拭いてもらって、哀愁がこもる表情のまま、母のほうへ顔を向けて重苦しい切ない声で話し始めた。
「レオナルド、あなたも病気で苦しむのは辛いでしょう?」
そう言う母の顔は、過ぎ去った日々のとても優しい愛情に満たされた顔だった。彼は思わず顔に明るさが戻って微笑んだ。母はあの頃の心を再び取り戻してくれたのだと思ったのです。
「……はい、彼女を裏切った罰で病気が体に返ってきて……体中が痛くて耐えられません……」
全身に繰り返し稲妻が走っているような痛みを感じていた。間違いなく、くたばりかけていますと辛そうな様子である。ひどく衰弱していますが、助けを求める声をなんとか絞り出した。しかし彼は次の瞬間、地獄に落ちてしまう。
「それなら……もう楽になりなさい」
「え……?……お、お母様……そ、それはどういう意味ですか?」
もういい加減に眠って痛みから解放されなさいと、感情を抑えるように静かに悲しい響きの声を息子に伝えると、母は心苦しい笑顔を見せる。
「死んであの世に旅立ちなさい。おいきなさい」
目が合うと母と息子の視線は凍りついたように止まって、彼は広大な迷宮が広がる危険な場所に、一人だけ取り残された心細さを味わった。
「……」
レオナルドは表情の操作を完全に放棄し、廃人同然になってしまっている。
「仕方ないでしょう?私と夫は彼女を裏切れないのですから……それに彼女を裏切った時からあなたは死んでいるのよ」
「その通りだ。お前はもう死んでいる。まだ自分が死なないとでも思っているのか?潔く永遠の眠りにつくのだ……」
「彼女のことを一度裏切ったら、二度と助からないの。ちゃんと葬式もしますから心配しないでね」
「我が息子よ、冥福を祈るから安心して逝くがよい」
両親の語る言葉には、彼には希望が少しもないものだった。とうとう昇天が隣り合わせになって天使か妖精、はたまた精霊のようなものが見えていた。
「レオナルド!」
次の瞬間、ドアが勢いよく開いて女性が飛びこむように部屋へ入ってきた。彼は少し安心した顔になった。
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