誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

文字の大きさ
27 / 66

第27話

しおりを挟む
「私の命をねらっている人の動きは止めてあります」
「すぐに処理しなかったの?」
「久しぶりなので誰なのか気になりましたから」

アリーナの心は常に落ち着きを見せている。自分に危害を加えるために屋敷やしきに侵入したぞくは、現在アリーナが身動きできない状態にしていると言う。

すぐに始末しなかったの?ミレーユが案外あんがい平気な顔で聞いてみた。するとアリーナは普通の調子で、いやあ、本当に久しぶりのお客さんですから相手が気になったと返答する。

「今なおアリーナをおそおうとするなんて信じられませんわ……」
「それでは今から相手を確かめに行きましょう」
「厳しくお仕置きする必要がありますわね!」

アリーナのに恐れて、彼女に攻撃する計画を立てる者はいなくなった。今さらいるの?あり得ないことだろうと自信を持って話すと、アリーナは自分を狙った犯人を確認しにいくと言う。ミレーユも処罰しょばつする口実があるので気合の入った口ぶりだった。

「――あそこにいます」
「……何もないけど……?」

二人は少し歩いてアリーナは不意に立ち止まった。そして前方を指差すのである。ミレーユは指差す先を見ますが何もありません。目の前には美しい花畑が広がっているだけなのです。ミレーユは困ったような表情を浮かべてしまった。

「魔法で姿を消しているのでしょう」
「なるほど!認識阻害にんしきそがい魔法を使えるということはなかなか腕利きですね」

ミレーユは疑問を抱き始めますが、アリーナが間をおかずに解決してくれる。認識阻害魔法の使い手ですか……これは技術レベルが高い賊だとミレーユはおどろく様子を見せていた。

「ふぅーっ、魔法を解除かいじょして姿を見せなさい!見せなければ5秒以内に殺します。5、4、3、2」

一呼吸おいて、とがめる口調で容赦ようしゃない態度を見せる。アリーナは冷酷れいこく非情な決意をしてくちびるを開く。姿は見えませんが、真正面を見つめて警告けいこくするように言った。正体を現さなければ人生の幕を閉じることになる。

「わかったから待って!すぐに解除するからっ!!」

カトリーヌは、無限の不安を彷徨さまよっていた。忠告を無視すれば間違いなく自分は死ぬことになる。アリーナに対する恐怖感が急速に増大して意識不明になりそうだった。

何故ならのろいをかけられたみたいに、今も体が全く動かないのだ。カトリーヌは完全に戦意を喪失そうしつして逃げ腰になっている。次の瞬間、本気で叫んで必死に命いをする悲しい泣き声をあげた。

「やはり犯人はあなたでしたか……」
「この人は……!?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

幼なじみと再会したあなたは、私を忘れてしまった。

クロユキ
恋愛
街の学校に通うルナは同じ同級生のルシアンと交際をしていた。同じクラスでもあり席も隣だったのもあってルシアンから交際を申し込まれた。 そんなある日クラスに転校生が入って来た。 幼い頃一緒に遊んだルシアンを知っている女子だった…その日からルナとルシアンの距離が離れ始めた。 誤字脱字がありますが、読んでもらえたら嬉しいです。 更新不定期です。 よろしくお願いします。

フッてくれてありがとう

nanahi
恋愛
「子どもができたんだ」 ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。 「誰の」 私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。 でも私は知っている。 大学生時代の元カノだ。 「じゃあ。元気で」 彼からは謝罪の一言さえなかった。 下を向き、私はひたすら涙を流した。 それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。 過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──

【完結】貴方の後悔など、聞きたくありません。

なか
恋愛
学園に特待生として入学したリディアであったが、平民である彼女は貴族家の者には目障りだった。 追い出すようなイジメを受けていた彼女を救ってくれたのはグレアルフという伯爵家の青年。 優しく、明るいグレアルフは屈託のない笑顔でリディアと接する。 誰にも明かさずに会う内に恋仲となった二人であったが、 リディアは知ってしまう、グレアルフの本性を……。 全てを知り、死を考えた彼女であったが、 とある出会いにより自分の価値を知った時、再び立ち上がる事を選択する。 後悔の言葉など全て無視する決意と共に、生きていく。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

処理中です...