誕生日パーティーで婚約破棄を発表された「幼馴染が妊娠したから結婚する!」王子が体を壊して地獄の苦しみを経験する。

佐藤 美奈

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第38話

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明るい雰囲気ふんいきで笑顔を振りまくアリーナに、陛下は相当たじたじとなっていると王妃がさとすような口調で話し始めた。

「あなただから言ったじゃないの!アリーナ様には体を回復していただいた事に、自然な気持ちで感謝の心を持っておけばいいと……」
「そ、そうだな。こ、こちらが敵対的な行動をとらない限り、アリーナ令嬢が慈悲じひ深い性格なのは私もわかっておる。だ、だが万が一と言うこともあるからな。念のために言ったのだ」

アリーナは喧嘩けんかを仕掛けてくるような人には容赦ようしゃはないが、そういう場合をのぞいて基本的には子供好きの心優しい性格の女性である。誰にでも礼儀正しく接して正義感せいぎかんあふれて道徳どうとく意識が高い。

夢は自分の能力で世界中の人々の体を回復させて救うことである。各地をいろいろ旅して病気を治療ちりょうしているが、それは彼女の中でとても幸せなことであった。偏見や差別をおこなわずに誰でも体を治すので、アリーナという神に対する信仰しんこうは広く多くの人に愛されている。


――アリーナはカトリーヌが来たときの状況を陛下と王妃に詳しく話した。攻撃しようとしてきたので自己防衛ぼうえいのために動きを止めた。そのくらいであるが事情を説明しておく必要がございます。お二人はアリーナの話に相槌あいづちを打つだけで、特に口をはさむこともなく聞いていた。

「……それでアリーナ令嬢に攻撃しようとしたカトリーヌ令嬢の命は長くても残り1年という事か……これは仕方ない!むしろカトリーヌ令嬢はよく生きていられたな。命があるだけだと言わざるを得ない……ははは……」

アリーナの説明が終わり、ほっと一息ついたところで陛下がもう一度確認するように口を開いた。カトリーヌはを向けてきたから救いようがない。すぐに命をうばわれなかっただけ良かったほうだろう。そんな感じで納得して受け入れていた。ただ口で笑っても目までは笑えない様子である。

「そうですね、ですが彼女のお腹の子供は無事ですからご安心してくださいませ」

カトリーヌは赤ん坊を身ごもっている。そのお腹の子は安全であるとアリーナは落ち着いた声で答えると、陛下と王妃は安心したのか目に涙を浮かべていた。

「アリーナ様、まごを助けてくれて本当にありがとうございます……」
「アリーナ令嬢、今回のことは迷惑をかけてまことに申し訳なかった……」

自分たちはカトリーヌ令嬢を止められなくて、暴走させてしまった事には申し訳ないと謝罪しゃざいしつつ、孫を助けてくれたことに深い感謝の念で満たされていた。
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