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第46話
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カトリーヌが起きて誰もがやっと安心した表情になっていたら、レオナルドがずいぶん身勝手な事を言い出した。アリーナじゃないとキスはしたくないと言うのだ。
「レオナルドどうしてアリーナ様でないといけないの?」
一体どうしてそんなことを言うの?王妃が子供をなだめるように、レオナルドに向かって微笑みかけて言った。
「とにかく……アリーナとしたいです……」
何らかの理由があるのだろうと思っていましたが、特別に理由があるわけではなさそうです。それならなんでカトリーヌは駄目なのか?王妃は気になったので尋ねてみることにした。
「なんでカトリーヌさんとのキスを断ったの?あなたの一番好きな人でしょ?」
アリーナとの婚約を解消してまでカトリーヌを選んだ。それなのにどうしてレオナルドはカトリーヌと口づけをしたくないのか?
「……何となく……」
何となくアリーナとキスしたかったようだ。そんな理由で拒否する構えを見せたレオナルドに、胸にこみあげてくるものがあり王妃の目は激しい怒りに燃えていた。
「いい加減にしなさい!あなたは早く死になさい。おいきなさい」
母からの容赦のない感情的な叱責であった。よほど腹が立ったのか言った後もキッと睨み据えている。
「少し落ち着くのだ……」
「だって、この子があまりにも……それにカトリーヌさんが可哀想で……」
陛下は息子とのキスを逃れられて、冷静沈着に眺めていたわけである。やがて歩み寄って、王妃の肩に手をかけた。怒りを爆発させて声高に叫んだ王妃に、陛下は穏やかな声を保って言う。
お前の気持ちはよくわかるよ……本当に息子は自分勝手で困った奴だよな?だが納得が出来ないところがあって王妃は不満を漏らしていた。カトリーヌにも大いに同情いたしますという気持ちであった。
一同はしばらく無言のままで立っていた。最初に口を切る決心をしたのは陛下だった。レオナルドを見ながら深刻な顔で考えこんでいた。何か名案が浮かんだのか?
「――カトリーヌ令嬢、申し訳ないが息子が何か言っても強引にキスしてやってくれないか?」
陛下はカトリーヌの顔を見て涙ぐみながら声をかけた。やはり息子の子供を身ごもっている彼女を頼った。そしてレオナルドが口づけをしたくないと言っても、半ば無理やりでもいいからしてやってくれと頭を下げた。
「……嫌です……」
「え?」
「もう私はレオナルドにキスできません!」
「レオナルドどうしてアリーナ様でないといけないの?」
一体どうしてそんなことを言うの?王妃が子供をなだめるように、レオナルドに向かって微笑みかけて言った。
「とにかく……アリーナとしたいです……」
何らかの理由があるのだろうと思っていましたが、特別に理由があるわけではなさそうです。それならなんでカトリーヌは駄目なのか?王妃は気になったので尋ねてみることにした。
「なんでカトリーヌさんとのキスを断ったの?あなたの一番好きな人でしょ?」
アリーナとの婚約を解消してまでカトリーヌを選んだ。それなのにどうしてレオナルドはカトリーヌと口づけをしたくないのか?
「……何となく……」
何となくアリーナとキスしたかったようだ。そんな理由で拒否する構えを見せたレオナルドに、胸にこみあげてくるものがあり王妃の目は激しい怒りに燃えていた。
「いい加減にしなさい!あなたは早く死になさい。おいきなさい」
母からの容赦のない感情的な叱責であった。よほど腹が立ったのか言った後もキッと睨み据えている。
「少し落ち着くのだ……」
「だって、この子があまりにも……それにカトリーヌさんが可哀想で……」
陛下は息子とのキスを逃れられて、冷静沈着に眺めていたわけである。やがて歩み寄って、王妃の肩に手をかけた。怒りを爆発させて声高に叫んだ王妃に、陛下は穏やかな声を保って言う。
お前の気持ちはよくわかるよ……本当に息子は自分勝手で困った奴だよな?だが納得が出来ないところがあって王妃は不満を漏らしていた。カトリーヌにも大いに同情いたしますという気持ちであった。
一同はしばらく無言のままで立っていた。最初に口を切る決心をしたのは陛下だった。レオナルドを見ながら深刻な顔で考えこんでいた。何か名案が浮かんだのか?
「――カトリーヌ令嬢、申し訳ないが息子が何か言っても強引にキスしてやってくれないか?」
陛下はカトリーヌの顔を見て涙ぐみながら声をかけた。やはり息子の子供を身ごもっている彼女を頼った。そしてレオナルドが口づけをしたくないと言っても、半ば無理やりでもいいからしてやってくれと頭を下げた。
「……嫌です……」
「え?」
「もう私はレオナルドにキスできません!」
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