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61大会3雅美と慧人
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慧人等、他三名の一悶着の後
観戦席に戻って来ると
A組対B組の残りの試合の
決着が呆気なく着いていた。
A組
深町 姫美採 勝利
中距離からの70㎜機銃による
相手の動きを制してからの
胸部への銃撃。
試合時間5分。
A組
紅 繽九 勝利
近接、紅短刀二刀流による
牽制より紅短刀投擲術にて
胸部下部への刺突。
試合時間3分。
A組
風祭 翔 勝利
近接、長刀 風祭本流
戦気功螺旋による
頭部、胸部への
二連撃による斬撃。
試合時間1分
犬養の敗北後
風祭等の
三連勝によって
A組がB組に
勝利を収めていた。
『なんだ
既に決着が着いてしまっている。
呆気ないものだな
ちとおふざけが
過ぎた様だ。』
ミゥが状況を確認して
一言。
『A組の
勝利した三名は
何れも手練れですし
試合内容も
概ね予想通りです。』
慧人が
試合のハイライトを
映す大型スクリーンの
動画に眼を止めて
感想を述べる。
『紅さん
私の予想より
出来る方の様です。
確か康太君と
当るんですよね?。
対策は大丈夫でしょか?。』
ティタが心配そうに
慧人に尋ねる。
『対策は
一応施してあるが、
康太の技量で何処まで
渡り合えるか…。
手合わせしてみるまで
何とも言えんな。』
慧人が
全く他人事と
感想を述べるが
紅 繽九の技量を考えれば
これは仕方の無い事だろう。
機体だけの性能差では
如何にもならない。
其処は機動兵器を
操るセンスが
物を言う部分だからだ。
C組の面々が
試合の準備の為
ハンガーへ向かう途中、
慧人に声をかける
人物がいた。
『済まない、
少し時間を貰っても
良いだろうか?。』
『俺は構わない。』
『ありがとう。
余り手間は取らせない。』
『皆は、
先にハンガーへ
向かってくれ
俺は後から行く。
此処で構わないのか?。』
『休憩室に
移動しよう。
直ぐ其処だし
立ち話もなんだから。』
『わかった。』
慧人と女生徒は
ハンガー手前の
休憩室へ向かう。
大会を観戦する
生徒が殆どな為
出番待ちのパイロット以外は
このハンガー近辺にはいない。
従って、休憩室は
人も疎らで閑散と
したものだった。
パーテーションに
仕切られた
四人席の
一つを
二人で陣取る。
『真流 慧人君だったよな?
私は新道 雅美だ。
初めましてかな。』
『ああ
俺の事は慧人でいい。
君が新道さんか
噂は予々(かねがね)
伺っている。
さっきの試合も見せて
貰った。
剣術もさる事ながら、
トキツヅルの扱いも
素晴らしい物だった。』
慧人は声をかけられた時
既にこの生徒が
新道 雅美だと
思い至っていたが
自己紹介を受け
その考えが
正解で有った事を
再確認するのであった。
『C組の救世主様に
其処まで誉められれば
悪い気はしないな。
私の事も雅美と呼んでくれ。』
『救世主?。自分が?。
まさか。
何処からそんな話が
出て来たんだ?。
そんな事を言われたのは
初めてだ。』
『何処から出たかは
分からないが
恐らく君が編入して来た後の
カムイのデータに
目を付けた者から
出たのではないか。
そんな君の噂に
少し興味が有ったのと
自分でも
別の理由が有って君に
会ってみたかった。
其れでさっきは
声をかけさせて
貰ったんだ。』
『こちらこそ
光栄だな。
恐らくは
B組最高の猛者に
興味を持って
もらったんだからな。
其れで
別の理由は
俺に個人的な
興味が有った
からなんだろ?
雅美。』
慧人は
個人的理由の方に
興味を示し
其処を強調する為に
相手に促された様に
雅美と呼び捨てに
して反応を見る。
『最近トキツヅルの
シミュレーターに
C組の面々が
足を運ばなくなって
しまったから
…………。
その…。』
急に口ごもる様に
歯切れの悪くなる
雅美。
その理由の一端を
伺い知る慧人は
少し突っ込んで
話を煽ってみる。
『気になる者の
顔が見れなく
なって寂しいのか?。
夏の事か?。』
『寂しい訳ではない。
が、
君の言う通り
夏の事だ。
簡単に見透かされて
しまったな。
君は夏と仲良く
してくれているの
だろう?。
それも
風の便りに聞いた。
しかし自分はまだ
夏とは………。
C組との対戦で
私の試合相手が
夏に決まったと
聞いた時、
遂にこの時が来たのかと
思ったんだ。
やっとあの時の
行き違いを
正せるかも知れない
チャンスが
巡って来たんだと。
済まん
君が夏と親しいと聞き
こちらの事情を知っている
みたいに私事を語ってしまって。』
初めて会った慧人に
自分の過去を熟知している
親しい者に話すような
事をすらすら語ってしまう
雅美。
このあたりは
慧人の人徳が
為せる業なのかも
知れないが。
『いや
其処は気にしないでくれ。
しかし
君たちは似た者同士だな。
同じ物を胸につかえさせて
…………。
ここは
俺がしゃしゃり出て
良い部分じゃないな。
試合での凌ぎで
語り会ってみれば
お互いの
答えは案外
簡単に出るかも
知れんぞ。
試合運びの応援は
出来んが
二人の仲の
応援はさせて貰うよ。
夏との試合
頑張ってくれ。』
『ありがとう。
きっと
良い試合に
して見せる。
君も楽しみに
していてくれ
慧人。』
『ああ。
楽しみにして置く。』
二人が同じ想いに
至っている事を知り
羨ましくもあり
また少し
気恥ずかしくも
感じる慧人だったが
他人事ながら
心の中が晴れ渡って
行く感覚を共有出来て
誇らしくも思うのであった。
(彼に会ってみて
良かった。
昔、夏がお兄ちゃんと
慕っていた武人に
良く似ている
気がするな。
夏、
お前が少し
羨ましいぞ。)
慧人と話した事で
雅美の中の燻った物も
払拭出来、
一層試合に気持ちを
込める事を
慧人との約束で
更に昂ぶらせる
雅美であった。
観戦席に戻って来ると
A組対B組の残りの試合の
決着が呆気なく着いていた。
A組
深町 姫美採 勝利
中距離からの70㎜機銃による
相手の動きを制してからの
胸部への銃撃。
試合時間5分。
A組
紅 繽九 勝利
近接、紅短刀二刀流による
牽制より紅短刀投擲術にて
胸部下部への刺突。
試合時間3分。
A組
風祭 翔 勝利
近接、長刀 風祭本流
戦気功螺旋による
頭部、胸部への
二連撃による斬撃。
試合時間1分
犬養の敗北後
風祭等の
三連勝によって
A組がB組に
勝利を収めていた。
『なんだ
既に決着が着いてしまっている。
呆気ないものだな
ちとおふざけが
過ぎた様だ。』
ミゥが状況を確認して
一言。
『A組の
勝利した三名は
何れも手練れですし
試合内容も
概ね予想通りです。』
慧人が
試合のハイライトを
映す大型スクリーンの
動画に眼を止めて
感想を述べる。
『紅さん
私の予想より
出来る方の様です。
確か康太君と
当るんですよね?。
対策は大丈夫でしょか?。』
ティタが心配そうに
慧人に尋ねる。
『対策は
一応施してあるが、
康太の技量で何処まで
渡り合えるか…。
手合わせしてみるまで
何とも言えんな。』
慧人が
全く他人事と
感想を述べるが
紅 繽九の技量を考えれば
これは仕方の無い事だろう。
機体だけの性能差では
如何にもならない。
其処は機動兵器を
操るセンスが
物を言う部分だからだ。
C組の面々が
試合の準備の為
ハンガーへ向かう途中、
慧人に声をかける
人物がいた。
『済まない、
少し時間を貰っても
良いだろうか?。』
『俺は構わない。』
『ありがとう。
余り手間は取らせない。』
『皆は、
先にハンガーへ
向かってくれ
俺は後から行く。
此処で構わないのか?。』
『休憩室に
移動しよう。
直ぐ其処だし
立ち話もなんだから。』
『わかった。』
慧人と女生徒は
ハンガー手前の
休憩室へ向かう。
大会を観戦する
生徒が殆どな為
出番待ちのパイロット以外は
このハンガー近辺にはいない。
従って、休憩室は
人も疎らで閑散と
したものだった。
パーテーションに
仕切られた
四人席の
一つを
二人で陣取る。
『真流 慧人君だったよな?
私は新道 雅美だ。
初めましてかな。』
『ああ
俺の事は慧人でいい。
君が新道さんか
噂は予々(かねがね)
伺っている。
さっきの試合も見せて
貰った。
剣術もさる事ながら、
トキツヅルの扱いも
素晴らしい物だった。』
慧人は声をかけられた時
既にこの生徒が
新道 雅美だと
思い至っていたが
自己紹介を受け
その考えが
正解で有った事を
再確認するのであった。
『C組の救世主様に
其処まで誉められれば
悪い気はしないな。
私の事も雅美と呼んでくれ。』
『救世主?。自分が?。
まさか。
何処からそんな話が
出て来たんだ?。
そんな事を言われたのは
初めてだ。』
『何処から出たかは
分からないが
恐らく君が編入して来た後の
カムイのデータに
目を付けた者から
出たのではないか。
そんな君の噂に
少し興味が有ったのと
自分でも
別の理由が有って君に
会ってみたかった。
其れでさっきは
声をかけさせて
貰ったんだ。』
『こちらこそ
光栄だな。
恐らくは
B組最高の猛者に
興味を持って
もらったんだからな。
其れで
別の理由は
俺に個人的な
興味が有った
からなんだろ?
雅美。』
慧人は
個人的理由の方に
興味を示し
其処を強調する為に
相手に促された様に
雅美と呼び捨てに
して反応を見る。
『最近トキツヅルの
シミュレーターに
C組の面々が
足を運ばなくなって
しまったから
…………。
その…。』
急に口ごもる様に
歯切れの悪くなる
雅美。
その理由の一端を
伺い知る慧人は
少し突っ込んで
話を煽ってみる。
『気になる者の
顔が見れなく
なって寂しいのか?。
夏の事か?。』
『寂しい訳ではない。
が、
君の言う通り
夏の事だ。
簡単に見透かされて
しまったな。
君は夏と仲良く
してくれているの
だろう?。
それも
風の便りに聞いた。
しかし自分はまだ
夏とは………。
C組との対戦で
私の試合相手が
夏に決まったと
聞いた時、
遂にこの時が来たのかと
思ったんだ。
やっとあの時の
行き違いを
正せるかも知れない
チャンスが
巡って来たんだと。
済まん
君が夏と親しいと聞き
こちらの事情を知っている
みたいに私事を語ってしまって。』
初めて会った慧人に
自分の過去を熟知している
親しい者に話すような
事をすらすら語ってしまう
雅美。
このあたりは
慧人の人徳が
為せる業なのかも
知れないが。
『いや
其処は気にしないでくれ。
しかし
君たちは似た者同士だな。
同じ物を胸につかえさせて
…………。
ここは
俺がしゃしゃり出て
良い部分じゃないな。
試合での凌ぎで
語り会ってみれば
お互いの
答えは案外
簡単に出るかも
知れんぞ。
試合運びの応援は
出来んが
二人の仲の
応援はさせて貰うよ。
夏との試合
頑張ってくれ。』
『ありがとう。
きっと
良い試合に
して見せる。
君も楽しみに
していてくれ
慧人。』
『ああ。
楽しみにして置く。』
二人が同じ想いに
至っている事を知り
羨ましくもあり
また少し
気恥ずかしくも
感じる慧人だったが
他人事ながら
心の中が晴れ渡って
行く感覚を共有出来て
誇らしくも思うのであった。
(彼に会ってみて
良かった。
昔、夏がお兄ちゃんと
慕っていた武人に
良く似ている
気がするな。
夏、
お前が少し
羨ましいぞ。)
慧人と話した事で
雅美の中の燻った物も
払拭出来、
一層試合に気持ちを
込める事を
慧人との約束で
更に昂ぶらせる
雅美であった。
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