リュウのケイトウ

きでひら弓

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67大会9気の置けない昼食

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A組対C組の試合は
昼休憩をはさんで13時30より  
開始される。

其れまではC組の出場選手達も
ゆっくりと昼食を楽しもうと
例の中庭の木陰になった
芝生の一角にわいわいと
集まっていた。

こう言う集まりではすっかり
お馴染みとなった
ティタ特製弁当を広げて
ひと時のピクニック気分を味わい
午後より試合を控えた
5人も予想よりも
リラックスして
この時間を楽しんでいるようだ。

『遂に、慧人君の出番が来るわね。

カッコ良い所期待してるからね。』

千陽が作り笑いとは思えない
自然な笑顔で慧人に対し
激励を贈る。

慧人は迩椰特製の
スーパーライスボールDXを
頬張りながら、
しれっと答える。

『俺は千陽のカッコ良い所の方が
気になっているんだがな。

A組の深町はかなりの手練れだが
互角に渡り合う千陽が
俺の脳裏には浮かんでいるんだ。』

おにぎりの中からザクザク出て来る
しゃけの切り身をこぼさないように
上手に食べ進めながら
隣にぴったり寄り添う二人と
なるべく慧人の側に近づきたい
夏の様子も視界に収めつつ
千陽の視線に目を止めた。

『私っ?。

全力は尽くすけど
実際にやってみない事には
何とも言えないわ。

現実は映画やアニメのように
単純に行かないでしょ。』

『其れを言うなら
俺だって同じ事だ。

まあ俺まで順番が
回ってくればの話しだがな。』

その言葉に康太が反応する。

『僕がフォースを発揮して
紅さんに勝ってしまったら
慧人君まで回らないかも
しれないしね。

って言うか僕まで回らない
可能性もあるのか………。』

『A組相手だからな。
簡単に三連勝で決まりなんて
難しいかも知れないぜ。

俺は自分を出し切ったからな~。

今日はグッスリ眠れそうだ。』

智が安らかな遠くを見るような
眼差しで大きく伸びをしながら
緊張感の無い声で割って入る。

『トモ、
なかなかの戦い振りだったな。

あの戦法は戦場での面制圧でも
有効な物だ。

自分のスタイルをそのまま
確立して置いてくれ。』

『あ、えっ?。
そうか?。

それなら今後も
リャンボーに磨きをかけるとするか。』

まさか、自分に対して
慧人の高評価が返って来ると
思っていなかった智は
微睡みかけた精神から
急覚醒するのであった。

『よろしく頼む。』

『私、一つ気になる事が
有るんですけど。

風祭君て明らかに
慧人君と対戦したがってますよね?。』

夏がボリュームを抑えた
声音で一つの疑問を
定義して来る。

『慧人さんの噂を
何処かで聞き付けたんじゃ
ないかしら?。

風祭君はA組では
エースだって言うし、
自分で戦って慧人さんの腕を
確かめてみたいのかもしれないわね。』

『けーとが、かじゃまつりなんかに
負ける訳にゃい。 ふぁ~~。』

ティタが無難な考察を返し
迩椰は慧人の膝枕で
大欠伸(おおあくび)をしながら
一言だけ告げると
即、微睡みに落ちていった。

『私が思うには
シミュレーションの
成績を見てからの
興味本意だと思うんだがな。

基本動作と応用過程で
満点を出しているのは
慧人、只一人だけだからな。』

ミゥが食後の緑茶をすすりながら
核心に近い回答に辿り着いていた。

『まあ、
その時が来れば
試合をする迄です。』

迩椰の頭を優しく撫で
今この場所で味わえる日常を
大事にしながら何処か遠くに
想いを馳せるよう真っ青な空に
視線を移す慧人であった。
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