リュウのケイトウ

きでひら弓

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85ディソナンス6カムイ強奪作戦1

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人気(ひとけ)の無い第三ハンガー
ティタと迩椰が夜間巡回実習に出て
カムイ1号機と3号機はケイジを
空けている。

シャッテンこと千陽は闇に紛れる
漆黒のツナギでスタッフ用の出入りの
I.D.スロットへセキュリティ ブレイカーを
差し込んだ。
数秒のち簡単にドアロックを解除
同時に慧人のI.D.を抹消する
プログラムを走らせる。

『ここは、夜間練習もあるから
人の出入りのせいもあって
正門やシステム室、図書館や資料室に
比べセキュリティがザルだわ。

まあ、あらかじめ警備巡回の時間は
外してある訳だけど、其れにしても…。

おかげで仕事が楽で助かるわ。

貸与されたセキュリティ ブレイカーの
性能のおかげもあるけど。』

千陽はあまりにも順調に進入出来た
せいで、余裕にも独り言が
口を突いて出てしまっていた。

黒いツナギの下にはあらかじめ
見た目の刺激的なカムイ用の
パイロットスーツを着込んでいた。

カムイ6号機生体認証システムに
あらかじめ用意してあった
ミゥの手形の情報コピー体を
かざす。

これもセキュリティ ブレイカー同様の
性能の良さでアッサリ 
カムイのコクピットハッチを開ける事に
成功してしまう。

(ユニオン スカァーのハッキング ツールが
優秀過ぎるのか、此処のセキュリティが
甘いのか…。  

はぁ~。)

千陽はこの学校のセキュリティに
疑問を持ち始めると同時に
自分の組織ユニオン スカァーの
スパイ ツールの優秀性に
味方ながら呆れるのだった。

コクピットに乗り込み
ハッチを閉じると
一瞬でゲル化逆浸透シルが
室内を満たす。

思考制御により
透過型バーチャルコンソール、モニターを
呼び出し、外部監視センサーを
立ち上げると球状内面に
全展開型モニターにて
外の様子が映し出された。

バーチャルコンソールで
発進シークエンスを立ち上げ
自己診断モードを呼び出し
機体に異常が無い事を確認する。

機体は全て正常、オール グリーンが
モニターに表示される。

マニューバ スラスターを
起動させて
スラスターの暖気が終了次第、
ハンガーの上部スライド ルーフを
解放するタイマーをセット。

バーチャル モニターへ
装備ウェポンを表示させる。

85式70㎜機銃二門、
68式ガイナ長刀 秋月が
装備されている事を
ウェポン ナビが表示している。

其れを確認して
新兵器らしき物が装備されていない事に
気付くとウェポン ナビで
それらしき物を洗い出す為
検索をかける。

検索ワード
最新 兵装 と入力、
検索を開始。

モニターには検索中の表示と
カウントダウンゲージが
少し時間が必要な事を
パイロットに知らせる。

検索を待つ間千陽は
此れまでのC組での出来事を
思い起こしていた。

『少しぶっきらぼうな
編入生の慧人君がクラスへ
入って来ていろいろな事が
有ったな…。

カムイの適性値が足りないのを
合宿で高めようと
古武術を頑張ったり、
おかしな座禅もやったな。

やっとカムイに乗れる様になると
パイロットスーツが恥ずかしい
デザインだったり…。

バカ二人とケンカしたり
時には笑い合ったり。

慧人君の優しさに甘えて
妹を紹介したり。

そして大会で
柄にも無く白熱した
試合も、
もう思い出になっちゃうんだな。

あれ、………

なんだろ、おかしいな?。

あははは……
泣けて来ちゃうぞ。

私にこんなに普通の感情が
有ったなんて………

みんなともう会えないと思うと
私でも涙なんて出るんだ。

…………………。』

自分の感情を殺し
任務へ務めて来た千陽だが
思っていたより
C組での出来事は
彼女にとって 
大切な思い出に成りつつ有ったようだ。

それを
頬を伝う涙が
誤魔化し様の無い
リアルな現実として今
自分の感情を
思い知る結果に
至るのだった。

千陽は思い出に溺れる事を
打ち消す為に
あまりにも遅い検索に
業を煮やす様に
今一度、検索キーを
押し下すのだった。

『遅いわね。全く。
もう一度、
最新 兵装っと
検索。』

その瞬間カムイの
透過視型バーチャルコンソールモニターが
ブラック アウトすると
レッド アラームと共に
コクピット内の全ての光が
ダウンし、
マニューバ スラスターの
暖気運転がストップする。

数秒後、
カムイの全システムが
ダウンした事を
千陽は知った。

『なによっ!。これ。
…………………

そうか。

私はやっぱりカムイの意志を
無視する行いをして
拒絶されてしまったのか…。

ダメだ。これじゃダメなんだ。

どうしよう。
私だけの任務じゃ無い。

千輝がっ………!

動いてっ!。
お願いっ!カムイ動いてよっ!。
でないと千輝がっ!。

千輝がっ!。』

ゲル化シルに満たされた
コクピット内では
行き通りの矛先を向ける
叩く様な物が見つからない。

なす術なく、ただ涙が。

今度は思い出による
センチメンタルと違い
切羽詰まった
後がない絶望の涙。

何時もの頭の回転も
この事態には役に立ってくれず
途方に暮れ
ただ遣る瀬無さで
泣き濡れるだけだった。  

真っ暗に沈む
思考と目の前を
突然、眩しい程の光が
コクピット内へ射し込むのだった。

『えっ……!。 

何が………………!。』

呆然と見据える千陽の
眼前に良く見知った
ほのかに好意を寄せる
男子の顔が像を結ぶ。

『千陽、
とりあえずカムイのコクピットから
降りてくれないか?。

お前と妹の千輝の力に
なってやりたいんだ。』
 
其処には
カムイのコクピットハッチを
外側から強制オープンする
慧人の姿が有ったのだった。
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