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98微睡みの追憶6在りし日の虚像よりの帰還
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慧人は少しばかり考えを
巡りらせた後、
ティタの様子が気になって
もう一度瞼を開くと
その悪夢に浮かされているであろう
苦悶の表情の顔へ
手を伸ばし
額の汗を拭ってやる。
この施設での
迩椰とティタとの出会いを
早回しのフィルムのように
思い出し
もう一度二人の掛け替えの
なさを実感する。
迩椰の障壁のスキルで
頭部と胸部は辛うじて守られたものの
主に下半身の怪我は尋常ではなく
いくら通心の魏を施したとはいえ
この状態から本当に回復出来るかは
慧人でも半信半疑であった。
しかし、更にお護りの加護を
受けている迩椰の回復は凄まじく
其れを目の当たりにした
慧人はティタの回復も遅いとは言え
なんとかなる筈だと信じ
その想いを届けるように
小さな幼い手を強く
握りしめ
そして左手は
一番怪我の酷い部分へと
当てがった。
慧人の想いが届いているかの如く
左手で摩った部分の
弾痕で穴だらけだった感触は
次第に綺麗に塞がって行く
のを掌で感じ取ると
次々に怪我の塞がって
いない部分に掌を当て
懸命に早く治れと
呟き摩って行く。
慧人は手当と言う言葉が
此処から来ているものだと
確信すると何だか
嬉しくなって
小さなギスも
全て掌を当て
摩り治して行った。
この行為で慧人は
大量のマナを消費しているのだが
活力に満ち溢れる
幼き身体には
どうと言う事も無く
マナ欠乏症に落ちいる事も
無かった。
これは通心の魏によって
龍真瑰が活性化している
せいでもあった。
『………んっ……
うっん…………う………。』
ティタの寝顔から少し
苦悶の表情が和らぐ。
どうやら峠は越え
意識を取り戻しそうだ。
慧人の両手はティタの小さな
両手を懸命に握る。
ティタが何やら
極小さな声で何か語っているようだ。
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
慧人はティタの顔に耳をそばだて
その呟くような言葉を
聞き取ろうとする。
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
(ティタ、
俺が教えた俺に最も声を届けやすい
呪文。
ティタの意識の中では
まだ惨事が終わっていないんだ。)
慧人はティタの悪夢を
終わらせるべく
声をかける。
『ティタ、ティタ、
もう大丈夫だ。
ティタ、俺が分かるか?。』
◇現在 崩落した洞窟内
生き埋め状態の二人◇
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
『ティタ、ティタ、
瞼を開けてくれ。
ティタ、俺の声が聞こえるか?。』
『うっ………んっ………
………………けい…と…く ん?。』
『ティタ 俺が分かるか?。』
意識が朦朧(もうろう)とする
ティタになおも優しく声を
掛ける慧人。
『慧 人 ………さ ん?
…………………
……………ここは?。』
『ティタ、気が付いたか。
ここは、崩落した洞窟内に
閉じ込められた
カムイのコクピットだ。
どうやら悪夢に
うなされていたようだぞ。』
ティタは悪夢から今解放され
静かに瞼を開き
眼前に慧人が居る事を
朧気(おぼろげ)に確認するのだった。
巡りらせた後、
ティタの様子が気になって
もう一度瞼を開くと
その悪夢に浮かされているであろう
苦悶の表情の顔へ
手を伸ばし
額の汗を拭ってやる。
この施設での
迩椰とティタとの出会いを
早回しのフィルムのように
思い出し
もう一度二人の掛け替えの
なさを実感する。
迩椰の障壁のスキルで
頭部と胸部は辛うじて守られたものの
主に下半身の怪我は尋常ではなく
いくら通心の魏を施したとはいえ
この状態から本当に回復出来るかは
慧人でも半信半疑であった。
しかし、更にお護りの加護を
受けている迩椰の回復は凄まじく
其れを目の当たりにした
慧人はティタの回復も遅いとは言え
なんとかなる筈だと信じ
その想いを届けるように
小さな幼い手を強く
握りしめ
そして左手は
一番怪我の酷い部分へと
当てがった。
慧人の想いが届いているかの如く
左手で摩った部分の
弾痕で穴だらけだった感触は
次第に綺麗に塞がって行く
のを掌で感じ取ると
次々に怪我の塞がって
いない部分に掌を当て
懸命に早く治れと
呟き摩って行く。
慧人は手当と言う言葉が
此処から来ているものだと
確信すると何だか
嬉しくなって
小さなギスも
全て掌を当て
摩り治して行った。
この行為で慧人は
大量のマナを消費しているのだが
活力に満ち溢れる
幼き身体には
どうと言う事も無く
マナ欠乏症に落ちいる事も
無かった。
これは通心の魏によって
龍真瑰が活性化している
せいでもあった。
『………んっ……
うっん…………う………。』
ティタの寝顔から少し
苦悶の表情が和らぐ。
どうやら峠は越え
意識を取り戻しそうだ。
慧人の両手はティタの小さな
両手を懸命に握る。
ティタが何やら
極小さな声で何か語っているようだ。
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
慧人はティタの顔に耳をそばだて
その呟くような言葉を
聞き取ろうとする。
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
(ティタ、
俺が教えた俺に最も声を届けやすい
呪文。
ティタの意識の中では
まだ惨事が終わっていないんだ。)
慧人はティタの悪夢を
終わらせるべく
声をかける。
『ティタ、ティタ、
もう大丈夫だ。
ティタ、俺が分かるか?。』
◇現在 崩落した洞窟内
生き埋め状態の二人◇
『御魂を護る 聖なる心よ
どうか私を守護したまえ
その名も慧人
お護り下さい。』
『ティタ、ティタ、
瞼を開けてくれ。
ティタ、俺の声が聞こえるか?。』
『うっ………んっ………
………………けい…と…く ん?。』
『ティタ 俺が分かるか?。』
意識が朦朧(もうろう)とする
ティタになおも優しく声を
掛ける慧人。
『慧 人 ………さ ん?
…………………
……………ここは?。』
『ティタ、気が付いたか。
ここは、崩落した洞窟内に
閉じ込められた
カムイのコクピットだ。
どうやら悪夢に
うなされていたようだぞ。』
ティタは悪夢から今解放され
静かに瞼を開き
眼前に慧人が居る事を
朧気(おぼろげ)に確認するのだった。
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