リュウのケイトウ

きでひら弓

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『お姉ちゃん、
僕のお願いを全部叶えてくれないの?。』

『お願い………

君のお願い   は  ほとんど 聞いて

あげた   よ。』

『でも、まだ全部じゃない。』

『………………………。』

夏は、少年の懇願を全て受け入れては
いなかった。

それは、自分らしさの根源を
まだ保っている証。

譲れぬ想いが存在している。

その想いが最後の砦として
完全なる精神支配から
免れる鍵。

固く閉ざされ
邪な言葉、心では開く事は
叶わない。

夏の純粋さ故に精神支配に
掛かりやすく
また、そのおかげで
根源を侵される事を阻んでいる。

その部分は
トレイトにとって誤算だったのかも
しれない。

『私、昔から
慕っている人がいるの。

あなたは、少し似てる。

見た目はそっくり。

でも、中身が違う。

あなたの本当の心が見えない。

私を必要としている意味が
本当のモノか分からない。

だから全部は聞いてあげられるない。

ごめんね。』

『謝るくらいなら
僕のお願いを聞いてよ。

もう、つまらない思いはしたくないんだ。

お姉ちゃんも皆んなみたいに
僕を否定するの?。』

『………………………

否定?!………………………

私はあなたを      否定………!?

ううん………多分  否定はしてない。

けど、…………

ち、違う…………………
何かが違う   
そう、違うんだよ。』

『お姉ちゃんっっっ!。』

トレイトは夏の心の最後の
防壁を破ろうと何度も試みる。

それは彼の計画の範疇を超え
孤独だった自分を癒す為に
必要な行動。

痛々しさすら滲み出ていたが
それを感じても尚
夏の心は屈する事はなかった。

『トレイトっ!

そこまでだっ!。

夏は解放してもらう。』

ネイ リンクにより
トレイトの精神支配する
空間領域に簡単に割って入る慧人。

そして夏の精神防壁も
更に強固なモノへと
己の真意を思い出す。

それは、幼き頃より慕う
慧人への想い。
冷えきっていた夏の心へ
温かな旋律が流れる。

春の穏やかなあの日
慧人との出会いの
その時を再生するよう
想いは巡る。

夏のまだ、支配から
免れている身体の部分に
熱い血潮の通い。

『お兄ちゃんっっ!。

私、ココだよ、ココにいるよ。

お兄ちゃんっ!。』

夏は叫ぶ。
慧人の心に手を伸ばし
掴みに行くが如く。

慧人の手を掴む。
その瞬間、空間の隔たりは
ゼロになった。
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