ドリームミュージカル

ぱっりん

文字の大きさ
12 / 61
高校一年生、桜川高等学校合唱部

11話「葵」

しおりを挟む
部活後、教室は空いていなかったので、
仕方なく、歌乃と、外へ。
「セブンまでの道に、河原あったよねー。そこで歌おう
」と、歌乃に言う。
「...河原?あったっけ?」
「あったよー。
ほら、セブンの先のスタバのとこ」
「...あっ、浅山の?」
「そーそ。」
「浅山の河原に行くくらいなら、
浅草川の方が近いじゃない。」
歌乃が言う。
「でも、浅山の方が、人少なそうで
...恥ずかしくない」
「...まっ、いっか。」
歌乃が笑う。
浅山は、山ではない。遠くの山から流れる長ーーーー~ー~い川。
そこには河原がある。
「スタバもついでによろ」
20分ほど歩くと、スタバが見える。
「んー。歌乃は何にする?
私はフラペチーノかな。
スイカフラペチーノにしよー」
メニューを見て、決める。
「...いつもは、コーヒーか抹茶ティーラテなんだけど...
ルア、オススメとかある?」
「歌乃、コーヒーや抹茶好きなの?」
「うん。特にコーヒーが。
抹茶も好きだし、宇治にもよくいって、
抹茶ソフト良く食べてる。
で、オススメは?」
「んー。
ホワイトモカかなー。
ただ、ホワイトモカ、甘党の私でも甘いから
苦めのトッピングしたほうがいいよ」
「...エスプレッソトッピングしようかな」
歌乃がメニューを真剣に
読んでいる。
六人分ほど並び、注文をし、
浅山川まで、飲み歩き。
10分ほどたつと、浅山川につく。
「...誰もいないね。」
「本当。知り合いもだれもいないね。」
「時の旅人、でいいよね。」
「いいよねっていうか...それ以外はオーディションでやらないよ。」
「まーね。」 
ー♪
夕焼けの中、歌が流れる。
透き通った歌乃の声。そして、私。
時を追いかける旅人...みたいなタイトルのイメージだったなー。
「...なあ」
歌の途中、男の声がした。
だれ!?
「うわっ」
思わず悲鳴をあげる。
「...そんなに驚くかあ?」
こ、この声は...
「あ、葵...?」
水色みたいな黒髪の、178cmの見覚えのある男の子。
葵だ。
河原の上の道に立っている。
「え、誰?ルア。」
歌乃が戸惑う。
「んー、私の幼なじみ。
お隣さんだったんだ、マンションの。
葵はねー、ミュージカルを私の影響でみて、
僕もミュージカル目指す!といって、
女子ばっかのこの学校にやってきた、挑戦者。
部活が違うからすっかり忘れてた。赤崎葵。(せきさき あおい)」
「?ルア...同学年でもクラスが違うから忘れてたのはともかく
俺とお前、同じ部活、だよな。」
「ぬえ?」
「しかも、同じメロディ」
マジか。
「気づかなかったゴメン!」
手を合わせる
「ま、いいけどさ」
葵が頭をかく。
「そちらは?」
葵が、大きな手を、歌乃に向ける。
「高島歌乃です。合唱部のメロディパートです。」
「あーっ!!高島!?劇団守の!?
握手してくださいっ!!」
「は、はあ...」
歌乃が、握手をする。
葵の初ミュージカルは、劇団守の、sacrachocolate。
それは、歌乃が、11歳の頃の主役ミュージカルだ。
「いやーっ
sacrachocolateの、主役と会えるなんて!!
...あれ?ルアは高島と友達なのか?」
「んー?友達というより...親友??
私の合唱部へのキッカケ作った娘。」
「は?部活って、自分で選ぶもんだよな?
すすめられたとか?」

「いや、歌乃が恥ずかしくて私の手首を掴んだら、
港先生が私もだと勘違いしちゃって、
入ることになった。」
「そ、その件はごめんなさい」
歌乃がしゅんぼり言う。
「いーのいーの。
合唱部、今はとても楽しいし」
「ふーん」
葵が、私の隣にアグラで座る。
「ルアと会ったのは、中3ぶりかー。
あれ?歌うにしろなんで、浅草川じゃなく、浅山川なんだ?」
「だって人ぜんぜんいないし。葵もどーせそーでしょ!」
「まあな...明日、メンバー決めだし。」
「ところで、ルア。桜川高って、イケメン、多いよな。

「ん、多いよね、クラスにも、30人くらい?中11人くらい男子いるけど、
皆かっこいいよー。ね、歌乃。」
「ま、そうだね。」
歌乃は、興味なさそうだ。
「...今彼氏いんの?」
「...いたらどーすんの」
「.......................」
葵が赤面になり、沈黙が流れる。
沈黙に、歌乃は必死に笑いを堪えている。
私は、沈黙に耐えきれず、
「いないよ、彼氏。16年間=彼氏居ない歴だよっ」
人生一度も彼氏はいません。
葵がほっとして、
歌乃は、口に手をおいて、赤面している。
「...ルアと、赤崎さん、つきあってないの?
凄く仲良さそうなのに」
歌乃がいう。
「ん。付き合ってないよ。別に。」
私が当たり前に答える。
歌乃は、ため息をして、
葵を見る。
「赤崎さん、ショックで青くなってるよ」
隣をみる。本当だ。青くなって、倒れてる。
なんで?
良く分からない。
葵は、なんとか生き直ると、歌乃に言った。
「た、高島....今日、このあと、コメダきてくんねえか...
相談がある...んですけども。」
「いいよ」
どういうこと?
「ルア、そろそろ行くね」
「あ、うん、じゃーね」
葵と歌乃はコメダに向かう。
どういうこと?
おいてかれた風に感じる。
そんな私に歌乃は、コメダ行ったら、すぐ、会いに行くから、
待てたら、セブンにいて。待てなかったら寮いってて。
と歌乃は言った。
セブンに向かった、私は、50分ほど、スマホをいじりながら歌乃を待った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コメダ。

歌乃と、葵が、ボックス席に向かい合わせに座る。
「これと、これで」
二人がドリンクを頼む。
「相談ってなに」
歌乃は言う。葵は、
「あの、俺、ルアがすきなんだ」
「ん、知ってる。
まあ、ルアは意識すら、してなさそうだけどね」
「え、しってたの?」
「見てれば分かる。」
「まじか。
なあ...親友の高島なら...何かいい方法思いつかないか?」
「...ルアには、遠まわしなのは通用しないし、
コンクールを邪魔されるのは怒るよ。
コンクール終わった後、もう、アタックするしかないよ。
ルア、多分待ってるからさ、もう、行くわ」
歌乃が、セブンへ向かう。
葵は、歌乃が、置いていったジュース代と、自分のジュース代で、会計をした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

セブンのカフェスペース。
歌乃、遅いな。
YouTubeももう飽きたなあ。
ぴろぴろぴろ♪という音の度見ているが、違う。
ふう、そろそろ帰ろうかな。
カフェオレを飲み干したその時、歌乃が入ってくる。
「ごめん、待ったよね」
歌乃が焦った顔で入ってくる。
「いいよ、こっちだって、帰っても大丈夫って 言われてたのに
帰んなかったんだからさ。」
カフェオレのカップを捨てて、自動ドアを歌乃と通る。
「さ、さむいっ...」
9月の夜は、寒い!
もう19時なのもあるだろうが、
冬服だけだとまあまあ寒い。
「そんなに寒い?手すりすりしたら?」
「冷たい手と冷たい手でスリスリしても、
冷たいだけだよ、多分」
実際、そこまで暖かくない。
「手つなご。私結構暖かいよ」
歌乃が、優しく、手を繋いでくれた。
暖かい。
普通につなぐと冷たいので、恋人つなぎをして、寮へ向かう。
「ねえ、ルア、スカートの丈短いよね?だから寒いんじゃないの?」
歌乃が、言う。
確かに、短いのかな太股ぐらいまでの長さだけど。
「歌乃が長いんじゃない?膝上スカートが普通でしょ、
歌乃、膝真ん中スカートじゃん。」
「でも、空陽革さんは、膝下だったし」
「空陽革さんは、優等生な感じだからでしょ。クラスの委員長だし。」
「え、そうなの?」

「東京の高校生、結構膝上だよ。」
歌乃が通りすがりの高校生を見る。
膝上だ。膝上11センチ。
歌乃、ちょっぴりスカート丈上げる。
可愛い。
寮につく。
名前順の一年寮は歌乃が隣なので、
ついでに、歌乃の部屋へいかせてもらう。
「えっ...」
衝撃を受けた。
同じ構成で、同じようなコンクリートの同じ10畳の部屋の、
1LDKなのに、
お洒落。黄色の優しいソファと、
透明なガラスのテーブル、ベージュのイス、
キッチンには、花色のガラス。入れてもらった水さえオシャレ。
定期的に掃除しているのか、ホコリ一つない。
凄い...ダブルサイズのベッドは、赤色ベースで、枕は5個あって、
固め、柔らかめ、低め、高め、普通の5つ。
照明も、自分で買ったのか、ガラス制だ。
だが、家具はしっかり固定されてる。
歌乃らしいなあ。
歌乃にだけは私の部屋には来てほしくないかも。
「はい、食べる?」
歌乃が、しばらくキッチンで何かしてると思えば、
カレーライスが出て来た。
「わー!カレーライス!!」
「頑張ったよ、また食べたくて、
行きつけのスーパーには売ってないから、
わざわざ知らないスーパーまでいったの」
...え?カレーライスがうってない?
「...歌乃、何てスーパーが行きつけなの?」
「え?ホルア。近いし。ルアもでしょ?」
ホルアって超セレブ用(年収8億レベルの)
スーパーじゃないか...あのスーパージャガイモも売ってない、
高級野菜ばっかなんだよな...
「私は、いつも、ハリットかなー。」
「ハリットって、カレーライスの材料を買いに行ったとこ!」
...
ハリット...庶民的に大人気スーパーを...知らない...
「冷蔵庫の中、見てもいい?」
歌乃にいう。いいよ、と返される。
野菜室を見ると、...
白トリュフがあった...
お嬢様め。
カレーライスは、試行錯誤したのだろうが、中辛の、ピリピリしたかんじと、
お米が美味しかった。
お礼を言って、
「今度は私が、歌乃に何か作るよ!」と言う。
歌乃の部屋をでる。
........,.まさか。明日。あんな事になるなんて。
私は、おもってもいなかった。

続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...