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高校一年生、桜川高等学校合唱部
35話「鬼の練習と異変」
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全国出場が決定した。
桜川高等学校は、今までにない、いわゆる
鬼練を開始した。
陸上部なども、練習をしているが、比べ物にならないレベルに。
通りすがりの、美術部や吹奏楽部からは
「え、練習しすぎじゃね?」と言われた。
ちなみに、吹奏楽部も全国出場だ。
部活動全体が、熱気に燃えてる。
合唱する。
「はい、ストップ。
赤崎さん。ここは、フォルテだって何度も言いましたよね?」
「はい!すみません」
「野坂さん。これで三度目の注意です。
ここは、滑らかに歌ってください」
50回とかに渡る注意のたび、歌い直す。
そんなのが続き、みんなもうクタクタだった。
朝練昼練、夜は、9時とかまで。
のどを痛めて、しょっちゅうのど飴を舐めてる子もいた。
ある日、ルアは、10分休みの間に、お弁当を、
かきこんでいた。
ぷりぷりの白米と、大好物のケチャップのかかった
チーズ入りハンバーグと、サラダ、フルーツをバクバクと
食べていく。
歌乃も、花も心も。
歌乃は、綺麗な、キメの細かい肉で作られた、
ステーキと、ご飯を、バクバクと、
小さく早く食べていく。
花は、パン屋さんの、ちょっといいパン、
心は、おにぎりを食べていた。
合唱部と吹奏楽部は皆早弁である。
「合唱部って大変だな」
そんな、誰かの声がした。
昼練の時。異変は起きた。
いつも通り、合唱していたとき、雪葉が、
顔をゆがめて、手をあげた。
「すみません、ビニール袋を」
青い顔と、その、疲れ果てた表情で、
全ては分かった。
港も、察したのか、コンビニ弁当の入った袋を、弁当だけ取って雪葉に差し出す。
雪葉が、ビニール袋を持って、皆からは見えない廊下に駆け込む。
「うぇっ」
...その声で、雪葉が何をしているか分かった。
吐いているのだ。あの、元気な雪葉が。
皆の顔がサーと、白くなるのが分かる。
確かに、病気や風邪だったら移る可能性もある。
それに、雪葉は、この部で一番上手いのだ。
それからも、雪葉のうめき声が聞こえた。
耐えかねたのだろうか。莉子が、
部室のドアをあけ、駆けていく。
「雪葉、大丈夫!?」
莉子が、背中をさする音だけが、部室には、響いていた。
雪葉は、保健室に運ばれていた。
熱などはなくて...
雪葉本人が、親には連絡しないで、早退したくないと
言った為、夜練には参加した。
使い捨てマスクをつけて、青ざめている雪葉は見ていて、
とても痛々しかった。
「雪葉先輩大丈夫ですか?」
「雪葉、大丈夫?」
星見空や莉子の言葉を、大丈夫だから、とそらす雪葉。
しかし、具合が悪いのは明らかである。
「見空、ちょっと」
琴とゆかが、見空を、隅に誘って、こしょこしょと
何か話している。
話し終わると、作戦決行という顔で、琴が雪葉に駆け寄る。
「雪葉先輩、東京の他の強豪校はありますか?」
なるほど、と皆瞬時に把握する。
解説マニアの雪葉に解説させることで、元気にしようとしてる。
しかし、雪葉の対応は思わぬ物だった。
「ごっ...ごめんね」
口元を押さえてうめく雪葉に、琴の顔が青くなるのがわかる。
ごめんなさい、とそれだけを言って雪葉の背中をさする琴。
合唱が始まった。雪葉の歌声はやはり聞こえる。
どこか弱々しい物だが。
その時だった。
ドタン!!
何かをぶつけたかの衝撃音が、隣からした。
恐ろしくて振り返る事もできない。
「きゃあー!!」
誰かの悲鳴で、少しだけ、隣を見る。
そこには、立った状態のはずの雪葉が、
床に倒れ、パイプ椅子に頭をぶつけ、血を流してる姿であった。
そして、雪葉は、救急車に運ばれた。
意識不明のまま。
雪葉の、命の危機が、全国大会前という時に、やってきた。
異変は最悪のタイミングできたのだ。
つづく
桜川高等学校は、今までにない、いわゆる
鬼練を開始した。
陸上部なども、練習をしているが、比べ物にならないレベルに。
通りすがりの、美術部や吹奏楽部からは
「え、練習しすぎじゃね?」と言われた。
ちなみに、吹奏楽部も全国出場だ。
部活動全体が、熱気に燃えてる。
合唱する。
「はい、ストップ。
赤崎さん。ここは、フォルテだって何度も言いましたよね?」
「はい!すみません」
「野坂さん。これで三度目の注意です。
ここは、滑らかに歌ってください」
50回とかに渡る注意のたび、歌い直す。
そんなのが続き、みんなもうクタクタだった。
朝練昼練、夜は、9時とかまで。
のどを痛めて、しょっちゅうのど飴を舐めてる子もいた。
ある日、ルアは、10分休みの間に、お弁当を、
かきこんでいた。
ぷりぷりの白米と、大好物のケチャップのかかった
チーズ入りハンバーグと、サラダ、フルーツをバクバクと
食べていく。
歌乃も、花も心も。
歌乃は、綺麗な、キメの細かい肉で作られた、
ステーキと、ご飯を、バクバクと、
小さく早く食べていく。
花は、パン屋さんの、ちょっといいパン、
心は、おにぎりを食べていた。
合唱部と吹奏楽部は皆早弁である。
「合唱部って大変だな」
そんな、誰かの声がした。
昼練の時。異変は起きた。
いつも通り、合唱していたとき、雪葉が、
顔をゆがめて、手をあげた。
「すみません、ビニール袋を」
青い顔と、その、疲れ果てた表情で、
全ては分かった。
港も、察したのか、コンビニ弁当の入った袋を、弁当だけ取って雪葉に差し出す。
雪葉が、ビニール袋を持って、皆からは見えない廊下に駆け込む。
「うぇっ」
...その声で、雪葉が何をしているか分かった。
吐いているのだ。あの、元気な雪葉が。
皆の顔がサーと、白くなるのが分かる。
確かに、病気や風邪だったら移る可能性もある。
それに、雪葉は、この部で一番上手いのだ。
それからも、雪葉のうめき声が聞こえた。
耐えかねたのだろうか。莉子が、
部室のドアをあけ、駆けていく。
「雪葉、大丈夫!?」
莉子が、背中をさする音だけが、部室には、響いていた。
雪葉は、保健室に運ばれていた。
熱などはなくて...
雪葉本人が、親には連絡しないで、早退したくないと
言った為、夜練には参加した。
使い捨てマスクをつけて、青ざめている雪葉は見ていて、
とても痛々しかった。
「雪葉先輩大丈夫ですか?」
「雪葉、大丈夫?」
星見空や莉子の言葉を、大丈夫だから、とそらす雪葉。
しかし、具合が悪いのは明らかである。
「見空、ちょっと」
琴とゆかが、見空を、隅に誘って、こしょこしょと
何か話している。
話し終わると、作戦決行という顔で、琴が雪葉に駆け寄る。
「雪葉先輩、東京の他の強豪校はありますか?」
なるほど、と皆瞬時に把握する。
解説マニアの雪葉に解説させることで、元気にしようとしてる。
しかし、雪葉の対応は思わぬ物だった。
「ごっ...ごめんね」
口元を押さえてうめく雪葉に、琴の顔が青くなるのがわかる。
ごめんなさい、とそれだけを言って雪葉の背中をさする琴。
合唱が始まった。雪葉の歌声はやはり聞こえる。
どこか弱々しい物だが。
その時だった。
ドタン!!
何かをぶつけたかの衝撃音が、隣からした。
恐ろしくて振り返る事もできない。
「きゃあー!!」
誰かの悲鳴で、少しだけ、隣を見る。
そこには、立った状態のはずの雪葉が、
床に倒れ、パイプ椅子に頭をぶつけ、血を流してる姿であった。
そして、雪葉は、救急車に運ばれた。
意識不明のまま。
雪葉の、命の危機が、全国大会前という時に、やってきた。
異変は最悪のタイミングできたのだ。
つづく
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