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神巫
調査
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アリエラの最期の悪あがきはあったものの、無事王位継承は行われ、どうにか王都は安定を取り戻しました。地方ではまだ災害は散発的に起こっているようですし、帝国軍も王国西方の帝国に味方した貴族たちの領地に留まっているものの、積極的な敵対は控えているようです。
そのため私は聖女としての祈りを再開するとともに、至急御使様に言われた調べ物を始めることにしようと決めます。
私が神殿に入ると、エメラルダ他私の帰りを待ち望んでいた神官たちが出迎えてくれました。皆私が帰ってきたことに改めて安堵しているようです。
「お待ちしておりましたシンシア様」
「お帰りなさいませ」
「皆ありがとう」
王都にいた者たちも様々な困難があったのにこうして温かく私を迎えてくれて嬉しい限りです。
「とはいえシンシア様は竜国の巫女も務めているとうかがいました。今後はどうなるのでしょう?」
歓迎ムードの中、一人エメラルダだけが不安そうに尋ねます。
「実はそれについてなのですが……」
そう言って私は神託や御使様に聞いた「神巫」についての一連の事実を話します。
「……と言う訳で聞いた話をまとめると本来は神様はこの周辺一帯全ての国に加護をもたらす力があり、その力を取り戻すには神巫の存在がキーになっているようなのです」
「何と、まさかそのようなことが」
私の話に誰もが驚きます。私ですら最初に聞いた時は半信半疑だったのでそれも当然でしょう。
「と言う訳で、ネクスタ王国が成立する以前のことも記されているような資料をあたってみたいのです」
「分かりました。それでしたら皆で手分けして書庫をあたってみましょう。王宮や神殿には古い書物が大量に眠っているので必ず手がかりがあるはずです」
エメラルダが力強く言います。早速私たちは手分けして書庫を探すことになりました。
神殿の地下にある書庫は古臭く、歩いているだけで鼻がむずむずしてきます。場所によっては蔵書の整理もあまりされていませんし、埃を被っているところもあります。そして王国成立以前の歴史など今まで誰も興味を持たなかったのでしょう、私が探している本も埃を被っていました。
そんな中私たちは数日間にわたって調査を進めました。
そして数日後のことです。
「ありました! この本には神巫についてのことが書かれていそうです!」
王宮の古文書を調査していたエメラルダが一冊の古い紙の束を持って神殿にやってきます。
「ありがとう! 早速読んでみます!」
私は早速その紙の束を広げます。
その紙に書かれている文字は古文であり、しかもところどころ汚れや破損で読みにくくなっています。そのため、読むのに大変苦戦しましたがまとめると以下のようでした。
元々この地域には一人の聖女がいて、神様に祈りを捧げていてその代わりに周辺を守ってもらっていた。しかし人間の数が増え、活動領域が広がっていくにつれ、聖女では力不足になる。そんな時に現れたのが神巫であった。神巫の力は聖女より大きかったが、それでも人間の領地が広がっていくと、力不足になっていった。
そこで人間たちは考えた。普通の人間では直接神様に祈りを捧げることは出来ない以上、神巫に対して祈りを捧げよう、と。また神巫は人間や神だけでなく竜や動物とも意思疎通が出来る。そのため、人間を代表する「聖女」や竜を代表する「巫女」などが神巫に祈りを捧げてサポートした。そのおかげで神巫と神様の力は強くなり、神様の力は一帯に及んだ、ということであった。
一応補足しておくと、ここにある「巫女」は神様の加護であり、竜国いる竜の巫女とはおそらく別物だ。
「……ということらしいです」
「何と、そのようなことが」
聞き終えた者たちは私も含め、しばしの間呆然としてしまいます。そういう話なら神巫が聖女よりも力が強いのは当然です。また、聖女が直接神様に祈りを捧げるという長い間続いて来ていた体制も実は正しくなかったということです。そのため、神様の力は徐々に弱まっていったのでしょう。
神巫が死んだり人間同士で争ったりしているうちに正しい知識は失われ、聖女という役職だけが少しずれた形で残ってしまっていたのです。
もしかしたら竜の巫女というのも、昔「巫女」という加護を持つ者がいたのでその名前を継承したのかもしれません。
「ということは私たちがシンシア様に祈りを捧げれば、間接的に神様も力を取り戻していくということですね」
「そうですね。後は神巫に対して祈りを捧げる方法が分かれば良いのですが……皆様、よろしくお願いします」
「はい」
こうして私たちは引き続き調査を続けるのでした。
そのため私は聖女としての祈りを再開するとともに、至急御使様に言われた調べ物を始めることにしようと決めます。
私が神殿に入ると、エメラルダ他私の帰りを待ち望んでいた神官たちが出迎えてくれました。皆私が帰ってきたことに改めて安堵しているようです。
「お待ちしておりましたシンシア様」
「お帰りなさいませ」
「皆ありがとう」
王都にいた者たちも様々な困難があったのにこうして温かく私を迎えてくれて嬉しい限りです。
「とはいえシンシア様は竜国の巫女も務めているとうかがいました。今後はどうなるのでしょう?」
歓迎ムードの中、一人エメラルダだけが不安そうに尋ねます。
「実はそれについてなのですが……」
そう言って私は神託や御使様に聞いた「神巫」についての一連の事実を話します。
「……と言う訳で聞いた話をまとめると本来は神様はこの周辺一帯全ての国に加護をもたらす力があり、その力を取り戻すには神巫の存在がキーになっているようなのです」
「何と、まさかそのようなことが」
私の話に誰もが驚きます。私ですら最初に聞いた時は半信半疑だったのでそれも当然でしょう。
「と言う訳で、ネクスタ王国が成立する以前のことも記されているような資料をあたってみたいのです」
「分かりました。それでしたら皆で手分けして書庫をあたってみましょう。王宮や神殿には古い書物が大量に眠っているので必ず手がかりがあるはずです」
エメラルダが力強く言います。早速私たちは手分けして書庫を探すことになりました。
神殿の地下にある書庫は古臭く、歩いているだけで鼻がむずむずしてきます。場所によっては蔵書の整理もあまりされていませんし、埃を被っているところもあります。そして王国成立以前の歴史など今まで誰も興味を持たなかったのでしょう、私が探している本も埃を被っていました。
そんな中私たちは数日間にわたって調査を進めました。
そして数日後のことです。
「ありました! この本には神巫についてのことが書かれていそうです!」
王宮の古文書を調査していたエメラルダが一冊の古い紙の束を持って神殿にやってきます。
「ありがとう! 早速読んでみます!」
私は早速その紙の束を広げます。
その紙に書かれている文字は古文であり、しかもところどころ汚れや破損で読みにくくなっています。そのため、読むのに大変苦戦しましたがまとめると以下のようでした。
元々この地域には一人の聖女がいて、神様に祈りを捧げていてその代わりに周辺を守ってもらっていた。しかし人間の数が増え、活動領域が広がっていくにつれ、聖女では力不足になる。そんな時に現れたのが神巫であった。神巫の力は聖女より大きかったが、それでも人間の領地が広がっていくと、力不足になっていった。
そこで人間たちは考えた。普通の人間では直接神様に祈りを捧げることは出来ない以上、神巫に対して祈りを捧げよう、と。また神巫は人間や神だけでなく竜や動物とも意思疎通が出来る。そのため、人間を代表する「聖女」や竜を代表する「巫女」などが神巫に祈りを捧げてサポートした。そのおかげで神巫と神様の力は強くなり、神様の力は一帯に及んだ、ということであった。
一応補足しておくと、ここにある「巫女」は神様の加護であり、竜国いる竜の巫女とはおそらく別物だ。
「……ということらしいです」
「何と、そのようなことが」
聞き終えた者たちは私も含め、しばしの間呆然としてしまいます。そういう話なら神巫が聖女よりも力が強いのは当然です。また、聖女が直接神様に祈りを捧げるという長い間続いて来ていた体制も実は正しくなかったということです。そのため、神様の力は徐々に弱まっていったのでしょう。
神巫が死んだり人間同士で争ったりしているうちに正しい知識は失われ、聖女という役職だけが少しずれた形で残ってしまっていたのです。
もしかしたら竜の巫女というのも、昔「巫女」という加護を持つ者がいたのでその名前を継承したのかもしれません。
「ということは私たちがシンシア様に祈りを捧げれば、間接的に神様も力を取り戻していくということですね」
「そうですね。後は神巫に対して祈りを捧げる方法が分かれば良いのですが……皆様、よろしくお願いします」
「はい」
こうして私たちは引き続き調査を続けるのでした。
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