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Ⅷ
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「実は僕の婚約者はもうすぐ決まりそうで、その相手はローラなんだ」
そう言って彼は私の方を向く。
「「ええっ!?」」
彼の周囲を囲んでいた野次馬の令嬢たちは一斉に驚きの声をあげる。
私自身は実はそういう話があると聞いてはいたが、本当にそうなるのかよく分からなかったし、勝手に発表するのも良くないと思い黙ってジュリーの話を聞いていたが、やはりそれで本決まりだったのか。
ジュリーがクレアに自慢を始めた時点でそのことを話すことも出来たが正直なところジュリーが最初アイザックと婚約したと言い出した時は、本当にアイザックの婚約相手が変わっていたのではないかと内心焦っていた。ジュリーがどういう人物であろうと、彼女の家が裕福なのは変わりないので、アイザックの父親が裕福さに目がくらんでジュリーとの婚約を決めないという保証はなかった。
そうなったら嫌だと思っていたが、アイザックがやってきてジュリーの言葉を否定したのを見て安堵したと言う訳である。
もっとも、その後もなぜかジュリーが自分に希望があると思い込んでアイザックに食い下がっているのを見て同情していたが。
「ええっ!? そんなの聞いてないよ!」
皆驚いていたが、特に驚いていたのはクレアだった。
彼女に黙っていたのは少し申し訳なく思えてくる。
「ごめんクレア、多分この話まだ本決まりじゃないから言えなかったの」
「そうなんだ。済まないローラ、本当はもっとちゃんとした場で伝えたかったのだが」
「あはは……」
それに関しては苦笑いするしかない。
知らぬ存ぜぬで押し通すことも出来ないではないようにも見えたが、ここまで話が大きくなった以上、と思ったのだろう。
とはいえ、アイザックが面倒だからといだけで、わざわざまだ発表されていないことをこんなところで言うだろうか。
そう思って私はふと気づく。
「でもアイザックって意外と優しいんだね」
「ん、何がだ?」
「だってこれ以上言葉を濁しているとジュリーに無駄な期待を抱かせてしまうって思ったから言ったでしょう?」
「僕はただこれ以上色々訊かれるのが面倒だと思っただけだが……まあいいように言えばそうかもしれないな」
そう言ってアイザックは苦笑する。
「だってアイザックは面倒だからって楽をするタイプじゃないでしょう?」
「エレンは僕を買いかぶりすぎだと思うが……まあそうかもしれないな」
「エレンさんは彼のことをよく分かっていますのね」
「婚約者というか、付き合って長い恋人同士に見えますわ」
すると私たちは普通に話しているだけなのに、周囲の野次馬たちがそんなことを言って勝手に盛り上がり始める。
別にそんな騒がれるほどのことはないと思うけど……
言われてみれば、確かに私は今目の前で盛り上がっている人たちよりもアイザックのことをよく知っているという自負はある。
それが長年付き合っている恋人らしいと言われればそうなのかもしれない。
が、そんな空気になる中一人だけそれを受け入れられない人がいた。
「そ、そんなことは認められませんわ!」
そんな風に声をあげたのはジュリーだった。
そう言って彼は私の方を向く。
「「ええっ!?」」
彼の周囲を囲んでいた野次馬の令嬢たちは一斉に驚きの声をあげる。
私自身は実はそういう話があると聞いてはいたが、本当にそうなるのかよく分からなかったし、勝手に発表するのも良くないと思い黙ってジュリーの話を聞いていたが、やはりそれで本決まりだったのか。
ジュリーがクレアに自慢を始めた時点でそのことを話すことも出来たが正直なところジュリーが最初アイザックと婚約したと言い出した時は、本当にアイザックの婚約相手が変わっていたのではないかと内心焦っていた。ジュリーがどういう人物であろうと、彼女の家が裕福なのは変わりないので、アイザックの父親が裕福さに目がくらんでジュリーとの婚約を決めないという保証はなかった。
そうなったら嫌だと思っていたが、アイザックがやってきてジュリーの言葉を否定したのを見て安堵したと言う訳である。
もっとも、その後もなぜかジュリーが自分に希望があると思い込んでアイザックに食い下がっているのを見て同情していたが。
「ええっ!? そんなの聞いてないよ!」
皆驚いていたが、特に驚いていたのはクレアだった。
彼女に黙っていたのは少し申し訳なく思えてくる。
「ごめんクレア、多分この話まだ本決まりじゃないから言えなかったの」
「そうなんだ。済まないローラ、本当はもっとちゃんとした場で伝えたかったのだが」
「あはは……」
それに関しては苦笑いするしかない。
知らぬ存ぜぬで押し通すことも出来ないではないようにも見えたが、ここまで話が大きくなった以上、と思ったのだろう。
とはいえ、アイザックが面倒だからといだけで、わざわざまだ発表されていないことをこんなところで言うだろうか。
そう思って私はふと気づく。
「でもアイザックって意外と優しいんだね」
「ん、何がだ?」
「だってこれ以上言葉を濁しているとジュリーに無駄な期待を抱かせてしまうって思ったから言ったでしょう?」
「僕はただこれ以上色々訊かれるのが面倒だと思っただけだが……まあいいように言えばそうかもしれないな」
そう言ってアイザックは苦笑する。
「だってアイザックは面倒だからって楽をするタイプじゃないでしょう?」
「エレンは僕を買いかぶりすぎだと思うが……まあそうかもしれないな」
「エレンさんは彼のことをよく分かっていますのね」
「婚約者というか、付き合って長い恋人同士に見えますわ」
すると私たちは普通に話しているだけなのに、周囲の野次馬たちがそんなことを言って勝手に盛り上がり始める。
別にそんな騒がれるほどのことはないと思うけど……
言われてみれば、確かに私は今目の前で盛り上がっている人たちよりもアイザックのことをよく知っているという自負はある。
それが長年付き合っている恋人らしいと言われればそうなのかもしれない。
が、そんな空気になる中一人だけそれを受け入れられない人がいた。
「そ、そんなことは認められませんわ!」
そんな風に声をあげたのはジュリーだった。
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