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本心
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「大変です、殿下!」
「どうした、そんなに慌てて」
アンジェリカが流した噂に私が動揺しながら殿下の部屋へと向かうと、殿下はいつも通りの無表情で待っていた。
私はそれを見てほっとする。こんなことになっていても殿下が動じていないことで私も安心させられた。
「どうやらこの間私と殿下が関わることに文句を言って来たアンジェリカという人がどうやら殿下の悪口を噂として流しているようで……」
「いつものことだ、気にするな」
が、動揺している私とは対照的に殿下は動じる風もなかった。
それを聞いて先ほどは安心したが、今度は少し微妙な気持ちになってしまう。
確かに動揺していないのは頼もしいのだが、その理由がいつものことだから、というのは少し悲しかった。敵を作りやすいとは言っていたが、前々から似たようなことは何度もあったのだろう。
「殿下……」
「前にも言っただろう? 僕に近づくというのはメリットがないことだ、と。多分その時はどういうことかよく分からなかっただろうが、こういうことだ」
「もしやこれまでも似たようなことがあったのでしょうか?」
「まあここまで大々的にではないが、嫌な噂や悪口が流れることはしょっちゅうあった」
殿下は特に悲しむ様子もなく淡々と語る。
殿下は大丈夫だと言っているのに、それを聞いている私の方がまるで胸が締め付けられるような苦しみを覚えた。
「そういうことだ。今からでも遅くない、嫌なら僕の元を離れても構わない」
「離れません!」
その時、考えるよりも先に口からそんな言葉が出てしまっていた。
突然の私の大声に普段表情をほとんど動かさない殿下も少し驚いた表情を見せた。
「レイラ……」
「す、すみません大声をあげてしまって」
私は我に帰って恥ずかしくなってしまう。
悪い噂を流されたのも、本来それで悲しむべきも殿下なのになぜ私がこんなに取り乱しているのだろうか。
だが、殿下が「僕の元を離れても構わない」と言ったとき不思議と私は強い拒絶感を覚えてしまった。
もちろん正当に仕事をしているだけの殿下が、貴族的なしがらみを無視しているからといって逆恨みされていることへの義憤もある。
しかし何より、殿下を見捨てるという選択肢を提示された時に強い拒否感を覚えてしまった。
元々恩人ではあるものの、そもそも殿下に土地を寄付している時点でいわゆる貸し借りはなしだし、むしろ寄付を受けた側である殿下がこちらに借りを感じていてもおかしくはない。それなのにいつの間にか私は彼に惹かれていた。
そしてその気持ちがいつの間にここまで強くなっていたことに自分で気づき、驚いてしまった。
そんなことを思って呆然としている私に殿下は優しく微笑む。
「そう言ってくれてありがとう。実は昔は僕のやり方を正しいと思って味方してくれる人が何人かいたが、色々あっていつの間にかいなくなってしまったんだ。だからそう言ってもらえて実は僕もほっとしたんだ」
「それなら良かったです」
それを聞いて私もほっとする。
良かった、変に思われなかっただけではなく、私が殿下を安心させることが出来たなんて。
そして普段なかなか気持ちを表に出さない殿下にもきちんと感情が残っていたことにも私は少し嬉しくなったのだった。
「どうした、そんなに慌てて」
アンジェリカが流した噂に私が動揺しながら殿下の部屋へと向かうと、殿下はいつも通りの無表情で待っていた。
私はそれを見てほっとする。こんなことになっていても殿下が動じていないことで私も安心させられた。
「どうやらこの間私と殿下が関わることに文句を言って来たアンジェリカという人がどうやら殿下の悪口を噂として流しているようで……」
「いつものことだ、気にするな」
が、動揺している私とは対照的に殿下は動じる風もなかった。
それを聞いて先ほどは安心したが、今度は少し微妙な気持ちになってしまう。
確かに動揺していないのは頼もしいのだが、その理由がいつものことだから、というのは少し悲しかった。敵を作りやすいとは言っていたが、前々から似たようなことは何度もあったのだろう。
「殿下……」
「前にも言っただろう? 僕に近づくというのはメリットがないことだ、と。多分その時はどういうことかよく分からなかっただろうが、こういうことだ」
「もしやこれまでも似たようなことがあったのでしょうか?」
「まあここまで大々的にではないが、嫌な噂や悪口が流れることはしょっちゅうあった」
殿下は特に悲しむ様子もなく淡々と語る。
殿下は大丈夫だと言っているのに、それを聞いている私の方がまるで胸が締め付けられるような苦しみを覚えた。
「そういうことだ。今からでも遅くない、嫌なら僕の元を離れても構わない」
「離れません!」
その時、考えるよりも先に口からそんな言葉が出てしまっていた。
突然の私の大声に普段表情をほとんど動かさない殿下も少し驚いた表情を見せた。
「レイラ……」
「す、すみません大声をあげてしまって」
私は我に帰って恥ずかしくなってしまう。
悪い噂を流されたのも、本来それで悲しむべきも殿下なのになぜ私がこんなに取り乱しているのだろうか。
だが、殿下が「僕の元を離れても構わない」と言ったとき不思議と私は強い拒絶感を覚えてしまった。
もちろん正当に仕事をしているだけの殿下が、貴族的なしがらみを無視しているからといって逆恨みされていることへの義憤もある。
しかし何より、殿下を見捨てるという選択肢を提示された時に強い拒否感を覚えてしまった。
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そしてその気持ちがいつの間にここまで強くなっていたことに自分で気づき、驚いてしまった。
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「それなら良かったです」
それを聞いて私もほっとする。
良かった、変に思われなかっただけではなく、私が殿下を安心させることが出来たなんて。
そして普段なかなか気持ちを表に出さない殿下にもきちんと感情が残っていたことにも私は少し嬉しくなったのだった。
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