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対決Ⅱ
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「ではまずは殿下に殴られたというメリアさんをお呼びしますわ」
そう言ってアンジェリカはまずメリアを連れてくる。
彼女は殿下を見ると一瞬びくりと身を震わせる。演技なのか本心で恐れているのかはよく分からない。
そして周囲に座る客席をぐるりと見回して言う。
「皆様、私はメリアと申します。私は元々殿下にお仕えしていましたが、元々殿下は完璧主義な方で些細なミスをしても厳しく注意されました。また、させられる業務の量も明らかに普通よりも多いものでした。そんな中、ある日突然の来客で業務が終わらなかった日があり、私は殿下に呼び出されました。その時私はその旨を述べたのですが、殿下は問答無用で私を殴ったのです」
そう言ってメリアは涙を流す。
そもそも客席の貴族の中には当たり前に使用人を殴っているという貴族も多く、最初彼らはメリアの訴えにあまり同情している様子はなかった。むしろここでメリアの言っていることが正しいという空気になると、自分たちにまで非難が向くのではないかと恐れている気配すらあった。
しかしメリアがそう言いながら涙を流すと、そんな風に思っていた者たちも次第に彼女に同情し始める。
もしかするとこの日のために他人の同情を惹くような演技の練習をしてきたのかもしれない。そう思えるぐらいだった。
「極めつけは、その後私は屋敷のお金を横領していると決めつけられて追放されてしまったのです。私は全くそのようなことをしていないのに。別にあの殿下の元から離れられるのは構わないですが、このように決めつけられたのが悔しくて……以上です」
そう言ってメリアは目から涙を流しながら戻っていく。
それを見て客席の雰囲気は変わった。貴族たちの中には殿下に小さな不正を指摘されて面子を傷つけられた者も多いらしい。
彼らからすれば横領を決めつけられたというのにメリアの訴えは共感してしまうものかもしれない。
ちなみにメリアが言っていることはほぼ出鱈目だが、恐らく元ネタは屋敷内に落ちていた金貨をポケットに入れたのを見つかって咎められた件だろう。
「次の証人は……」
アンジェリカも勝負に出なければならない以上は負けられない、と腹を括ったのだろう。
メリアの他にも数人の証人を用意していた。
そもそもこの対決の目的自体が「アンジェリカの流した噂が正しいかどうかをはっきりさせる」というふわっとしたものであるため、アンジェリカは他にも殿下の印象を悪くするために様々な人を用意していたのだろう。
やってきたのはこれまで殿下が不正を暴いた役人の娘や妻だった。
中にはネタがなかったのか、単に現状の生活を嘆いて涙を流すだけの者もいた。
「大丈夫でしょうか、殿下?」
正直なところメリアの主張に対抗する材料は嫌というほど集めてきたのだが、アンジェリカが呼んできたメリアの件と関係ない人々の主張には対抗する材料がない。
「とはいえ新たにやってきた者たちは同情を惹こうとしているだけで、別に僕が悪事をしたと言っている訳ではない。それならまずはメリアの嘘を指摘し、こちらは残りは昨夜のエミリーの事件について責め立てようと思っている」
「なるほど」
アンジェリカとエミリーが最近よく一緒にいたのを知っている者は多いはずだ。ならば、本当にアンジェリカが知らないとしても「エミリーがあんなことを企んでいたのに気づかなかった」と責めるだけで優位に立つことが出来る。
向こうも昨日の今日でエミリーのことに対する十分な言い訳を用意出来ていないだろう。
「だから安心して待っていてくれ」
「はい」
こうして殿下は颯爽と前に出ていくのだった。
そう言ってアンジェリカはまずメリアを連れてくる。
彼女は殿下を見ると一瞬びくりと身を震わせる。演技なのか本心で恐れているのかはよく分からない。
そして周囲に座る客席をぐるりと見回して言う。
「皆様、私はメリアと申します。私は元々殿下にお仕えしていましたが、元々殿下は完璧主義な方で些細なミスをしても厳しく注意されました。また、させられる業務の量も明らかに普通よりも多いものでした。そんな中、ある日突然の来客で業務が終わらなかった日があり、私は殿下に呼び出されました。その時私はその旨を述べたのですが、殿下は問答無用で私を殴ったのです」
そう言ってメリアは涙を流す。
そもそも客席の貴族の中には当たり前に使用人を殴っているという貴族も多く、最初彼らはメリアの訴えにあまり同情している様子はなかった。むしろここでメリアの言っていることが正しいという空気になると、自分たちにまで非難が向くのではないかと恐れている気配すらあった。
しかしメリアがそう言いながら涙を流すと、そんな風に思っていた者たちも次第に彼女に同情し始める。
もしかするとこの日のために他人の同情を惹くような演技の練習をしてきたのかもしれない。そう思えるぐらいだった。
「極めつけは、その後私は屋敷のお金を横領していると決めつけられて追放されてしまったのです。私は全くそのようなことをしていないのに。別にあの殿下の元から離れられるのは構わないですが、このように決めつけられたのが悔しくて……以上です」
そう言ってメリアは目から涙を流しながら戻っていく。
それを見て客席の雰囲気は変わった。貴族たちの中には殿下に小さな不正を指摘されて面子を傷つけられた者も多いらしい。
彼らからすれば横領を決めつけられたというのにメリアの訴えは共感してしまうものかもしれない。
ちなみにメリアが言っていることはほぼ出鱈目だが、恐らく元ネタは屋敷内に落ちていた金貨をポケットに入れたのを見つかって咎められた件だろう。
「次の証人は……」
アンジェリカも勝負に出なければならない以上は負けられない、と腹を括ったのだろう。
メリアの他にも数人の証人を用意していた。
そもそもこの対決の目的自体が「アンジェリカの流した噂が正しいかどうかをはっきりさせる」というふわっとしたものであるため、アンジェリカは他にも殿下の印象を悪くするために様々な人を用意していたのだろう。
やってきたのはこれまで殿下が不正を暴いた役人の娘や妻だった。
中にはネタがなかったのか、単に現状の生活を嘆いて涙を流すだけの者もいた。
「大丈夫でしょうか、殿下?」
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「とはいえ新たにやってきた者たちは同情を惹こうとしているだけで、別に僕が悪事をしたと言っている訳ではない。それならまずはメリアの嘘を指摘し、こちらは残りは昨夜のエミリーの事件について責め立てようと思っている」
「なるほど」
アンジェリカとエミリーが最近よく一緒にいたのを知っている者は多いはずだ。ならば、本当にアンジェリカが知らないとしても「エミリーがあんなことを企んでいたのに気づかなかった」と責めるだけで優位に立つことが出来る。
向こうも昨日の今日でエミリーのことに対する十分な言い訳を用意出来ていないだろう。
「だから安心して待っていてくれ」
「はい」
こうして殿下は颯爽と前に出ていくのだった。
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