5 / 6
第一章 転生先は推しカプの隣だが断罪イベントに進めない
第五話 入学式、断罪イベントには程遠い
しおりを挟む
「リ、リリアーナ様ぁぁぁ!! 本物、本物だわっ!! 網膜が幸せすぎて、今すぐ瞳孔が開ききっちゃいそうです……っ!!」
並木道を爆走してくる少女――ハチミツ色のふわふわした髪をなびかせ、翡翠色の瞳をキラキラと輝かせているアリスちゃんが、私の目の前でスライディング気味に急停止した。
(待って、速い。そして近い! この子が、あの可憐で清楚なはずのヒロイン、アリスちゃん……!?)
彼女の頭上に浮かぶモニターは、もはや数字が読み取れないほど激しく発光している。
【アリス → リリアーナ:150(崇拝/心酔/ERROR)】
「ああ、その冷徹な眼差し……。まるで冬の月明かりのように美しくて、私、感激で息が止まりそうです……っ!」
(どうしよう、この子、目がガチだわ。私の知ってるヒロイン像と180度違うんだけど!)
私は混乱する脳内を必死に整理した。 目の前にいるのは、この物語の正ヒロイン。私が誰よりも愛し、王子と結ばれるべき「推し」の片割れだ。彼女が私に懐いてどうする。 ここは心を鬼にして、徹底的に「嫌な女」を演じなきゃいけない。王子の騎士道精神に火をつけて、彼女を守らせるための『フラグ建築』をするのよ!
「……ふん。平民の分際で、私(わたくし)に気安く話しかけるなんて。その薄汚れた視線を向けられるだけで、肌が粟立ちますわ」
私は扇で口元を隠し、これ以上ないほど冷たく、傲慢に言い放った。 「薄汚れた」なんて言葉、前世の私なら一生使わなかったはずだ。心の中で「ごめんねアリスちゃん、これは君の幸せのためなの!」と土下座の勢いで謝罪しつつ、さらに追い打ちをかける。
「さあ、どきなさい。貴女のような方が立っているだけで、この学び舎の格式が下がるというものよ」
私は彼女の肩を突き放すようにして、強引に横を通り抜けようとした。 (これよ! これでアリスちゃんはショックを受け、地面にへたり込む。そこへ、背後からやってくるはずのギルバート様が――!)
「――そこで何をしている、リリアーナ」
背後から響いた、低く、威厳に満ちた声。 きた! ついにきたわ! 王道フラグの救済シーン! 振り向くと、数人の側近を引き連れたギルバート様が、黄金の髪を朝日に輝かせながら歩いてくる。その姿はまさに、一国の王子としての風格に満ち溢れていた。
(さあ、ギルバート様! 見てください! あなたの婚約者が、こんなに可憐で無実な女の子をいじめていますよ! 早く彼女を助けて、私を軽蔑して!)
私はわざとらしく、アリスちゃんを冷たく見下したまま、王子の方を向いた。
「あら、ギルバート殿下。見ていらしたの? この礼儀知らずな平民が、私の行く手を阻むものですから。少し……教育して差し上げていたところですわ」
さあ、怒鳴るなり、冷たく突き放すなりしてちょうだい!
ところが、ギルバート様は地面に立ち尽くすアリスちゃんを、ゴミを見るような冷ややかな目で一瞥しただけだった。 彼の碧眼が捉えているのは、ただ一点。私だけだ。
「……リリアーナ。朝からこんな不愉快な相手と関わって、気分を害していないか?」
「……え?」
ギルバート様は私の手を取り、まるで壊れ物を扱うような手つきで指先に触れた。
「こんな素性の知れない女に絡まれるとは、運が悪かったな。……おい、そこのお前。リリアーナに不快な思いをさせた罪は重いぞ。早々に視界から消えろ」
【ギルバート → リリアーナ:100(独占欲/爆発中)】 【ギルバート → アリス:-30(苛立ち/邪魔者)】
(嘘でしょぉぉぉ!? なんでヒロインへの好感度がマイナスからスタートしてんのよ!? 「なんてこと言ってるんだ、こんなに綺麗な女の子に!」っていう、あの伝説の救済セリフはどこ行ったの!?)
私が絶望に打ちひしがれていると、意外な人物が口を開いた。
「……あの、殿下。お言葉ですが」
アリスちゃんだった。 彼女は先ほどまでの「感動のあまり震える少女」の表情を一変させ、冷え冷えとした目でギルバート様を見据えていた。 そして、ギルバート様の手を跳ね除けるようにして、私の前に割り込む。
「殿下こそ、リリアーナ様を怖がらせているのではありませんか? そんなに強引に手を握るなんて、不躾にも程があります」
(ア、アリスちゃん……!? 王子様に向かってなんて不敵な……っ!)
「何だと……?」
ギルバート様の眉間に深い皺が寄る。 周囲の生徒たちが、ただならぬ殺気に怯えて後ずさりした。
「リリアーナ様は、この学園の至宝です。それを独占しようなどという浅ましい考え……。殿下こそ、ご自分の立場を弁えてはいかがですか?」
「貴様……。リリアーナを軽々しく呼ぶな。不快だ」
「不快なのはこちらのセリフです! 殿下がリリアーナ様のお隣にいると、私の『拝顔タイム』の邪魔なんです!」
バチバチッ! 校門の前で、本来なら恋に落ちるはずの二人が、互いの喉笛を掻き切らんばかりの勢いで睨み合っている。 しかも、その争いの中心(原因)にいるのは私だ。
(待って、おかしいわ。これ、乙女ゲームよね? 推しカプの二人が、私を巡って『同担拒否』の喧嘩をしてるんだけど!?)
アリスちゃんは私のもう片方の手を必死に握りしめ、ギルバート様は私の腰を引き寄せて彼女を威圧する。 二人の頭上のメーターは、もはやお互いへの「殺意」で真っ黒に染まり、私への「溺愛」で真っ赤に燃え盛っている。
(このままじゃ、入学式が始まる前に血の雨が降るわ……!)
「――お、おやめなさい!! お二人とも!!」
私はたまらず、二人の間に割って入った。 右側に王子、左側に聖女。 全校生徒が息を呑んで見守る中、私は前代未聞の「両手にバグ」という地獄のシチュエーションで、叫んだ。
「せ、せっかくの入学式ですわ! お二人とも、そんなに……その、仲良く(?)喧嘩なさらないで! ギルバート様、彼女はこれからの学園を担う聖女様ですのよ! アリスちゃんも、殿下は私の婚約者なのですから、もう少し敬意を……!」
「「リリアーナ(様)がそう仰るなら……」」
二人の声が重なった。 だが、その視線は少しも和らいでいない。 ギルバート様は「後で消す」という目をしているし、アリスちゃんは「後で独占する」という目をしている。
(推しカプが……私の推しカプが、出会った瞬間に『犬猿の仲』を通り越して『宿敵』になった……。私の断罪イベント、どこに行っちゃったの……?)
入学を告げる鐘の音が、皮肉にも高く、美しく響き渡った。 私の「完璧な断罪ロード」は、入学初日にして、修正不可能なレベルで大破したのだった。
並木道を爆走してくる少女――ハチミツ色のふわふわした髪をなびかせ、翡翠色の瞳をキラキラと輝かせているアリスちゃんが、私の目の前でスライディング気味に急停止した。
(待って、速い。そして近い! この子が、あの可憐で清楚なはずのヒロイン、アリスちゃん……!?)
彼女の頭上に浮かぶモニターは、もはや数字が読み取れないほど激しく発光している。
【アリス → リリアーナ:150(崇拝/心酔/ERROR)】
「ああ、その冷徹な眼差し……。まるで冬の月明かりのように美しくて、私、感激で息が止まりそうです……っ!」
(どうしよう、この子、目がガチだわ。私の知ってるヒロイン像と180度違うんだけど!)
私は混乱する脳内を必死に整理した。 目の前にいるのは、この物語の正ヒロイン。私が誰よりも愛し、王子と結ばれるべき「推し」の片割れだ。彼女が私に懐いてどうする。 ここは心を鬼にして、徹底的に「嫌な女」を演じなきゃいけない。王子の騎士道精神に火をつけて、彼女を守らせるための『フラグ建築』をするのよ!
「……ふん。平民の分際で、私(わたくし)に気安く話しかけるなんて。その薄汚れた視線を向けられるだけで、肌が粟立ちますわ」
私は扇で口元を隠し、これ以上ないほど冷たく、傲慢に言い放った。 「薄汚れた」なんて言葉、前世の私なら一生使わなかったはずだ。心の中で「ごめんねアリスちゃん、これは君の幸せのためなの!」と土下座の勢いで謝罪しつつ、さらに追い打ちをかける。
「さあ、どきなさい。貴女のような方が立っているだけで、この学び舎の格式が下がるというものよ」
私は彼女の肩を突き放すようにして、強引に横を通り抜けようとした。 (これよ! これでアリスちゃんはショックを受け、地面にへたり込む。そこへ、背後からやってくるはずのギルバート様が――!)
「――そこで何をしている、リリアーナ」
背後から響いた、低く、威厳に満ちた声。 きた! ついにきたわ! 王道フラグの救済シーン! 振り向くと、数人の側近を引き連れたギルバート様が、黄金の髪を朝日に輝かせながら歩いてくる。その姿はまさに、一国の王子としての風格に満ち溢れていた。
(さあ、ギルバート様! 見てください! あなたの婚約者が、こんなに可憐で無実な女の子をいじめていますよ! 早く彼女を助けて、私を軽蔑して!)
私はわざとらしく、アリスちゃんを冷たく見下したまま、王子の方を向いた。
「あら、ギルバート殿下。見ていらしたの? この礼儀知らずな平民が、私の行く手を阻むものですから。少し……教育して差し上げていたところですわ」
さあ、怒鳴るなり、冷たく突き放すなりしてちょうだい!
ところが、ギルバート様は地面に立ち尽くすアリスちゃんを、ゴミを見るような冷ややかな目で一瞥しただけだった。 彼の碧眼が捉えているのは、ただ一点。私だけだ。
「……リリアーナ。朝からこんな不愉快な相手と関わって、気分を害していないか?」
「……え?」
ギルバート様は私の手を取り、まるで壊れ物を扱うような手つきで指先に触れた。
「こんな素性の知れない女に絡まれるとは、運が悪かったな。……おい、そこのお前。リリアーナに不快な思いをさせた罪は重いぞ。早々に視界から消えろ」
【ギルバート → リリアーナ:100(独占欲/爆発中)】 【ギルバート → アリス:-30(苛立ち/邪魔者)】
(嘘でしょぉぉぉ!? なんでヒロインへの好感度がマイナスからスタートしてんのよ!? 「なんてこと言ってるんだ、こんなに綺麗な女の子に!」っていう、あの伝説の救済セリフはどこ行ったの!?)
私が絶望に打ちひしがれていると、意外な人物が口を開いた。
「……あの、殿下。お言葉ですが」
アリスちゃんだった。 彼女は先ほどまでの「感動のあまり震える少女」の表情を一変させ、冷え冷えとした目でギルバート様を見据えていた。 そして、ギルバート様の手を跳ね除けるようにして、私の前に割り込む。
「殿下こそ、リリアーナ様を怖がらせているのではありませんか? そんなに強引に手を握るなんて、不躾にも程があります」
(ア、アリスちゃん……!? 王子様に向かってなんて不敵な……っ!)
「何だと……?」
ギルバート様の眉間に深い皺が寄る。 周囲の生徒たちが、ただならぬ殺気に怯えて後ずさりした。
「リリアーナ様は、この学園の至宝です。それを独占しようなどという浅ましい考え……。殿下こそ、ご自分の立場を弁えてはいかがですか?」
「貴様……。リリアーナを軽々しく呼ぶな。不快だ」
「不快なのはこちらのセリフです! 殿下がリリアーナ様のお隣にいると、私の『拝顔タイム』の邪魔なんです!」
バチバチッ! 校門の前で、本来なら恋に落ちるはずの二人が、互いの喉笛を掻き切らんばかりの勢いで睨み合っている。 しかも、その争いの中心(原因)にいるのは私だ。
(待って、おかしいわ。これ、乙女ゲームよね? 推しカプの二人が、私を巡って『同担拒否』の喧嘩をしてるんだけど!?)
アリスちゃんは私のもう片方の手を必死に握りしめ、ギルバート様は私の腰を引き寄せて彼女を威圧する。 二人の頭上のメーターは、もはやお互いへの「殺意」で真っ黒に染まり、私への「溺愛」で真っ赤に燃え盛っている。
(このままじゃ、入学式が始まる前に血の雨が降るわ……!)
「――お、おやめなさい!! お二人とも!!」
私はたまらず、二人の間に割って入った。 右側に王子、左側に聖女。 全校生徒が息を呑んで見守る中、私は前代未聞の「両手にバグ」という地獄のシチュエーションで、叫んだ。
「せ、せっかくの入学式ですわ! お二人とも、そんなに……その、仲良く(?)喧嘩なさらないで! ギルバート様、彼女はこれからの学園を担う聖女様ですのよ! アリスちゃんも、殿下は私の婚約者なのですから、もう少し敬意を……!」
「「リリアーナ(様)がそう仰るなら……」」
二人の声が重なった。 だが、その視線は少しも和らいでいない。 ギルバート様は「後で消す」という目をしているし、アリスちゃんは「後で独占する」という目をしている。
(推しカプが……私の推しカプが、出会った瞬間に『犬猿の仲』を通り越して『宿敵』になった……。私の断罪イベント、どこに行っちゃったの……?)
入学を告げる鐘の音が、皮肉にも高く、美しく響き渡った。 私の「完璧な断罪ロード」は、入学初日にして、修正不可能なレベルで大破したのだった。
12
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生したので推しの悪役王子を救おうと思います!
かな
恋愛
大好きな乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生!?
しかもこのままだと最推しが死んじゃうんですけど!?
そんなの絶対ダメ!!
そう思って推しの死亡ルートを回避しようと奮闘していると、何故か溺愛が始まって……。
「私に構っている暇があったら、(自分の命の為に)ヒロインを攻略して下さい!」
距離を取ろうとしたのに、推しから甘やかされて……?
推しを救うために頑張ってたら、溺愛ルートに突入しました!?
他サイト様にも掲載中です
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
悪役令嬢ですが、今日も元婚約者とヒロインにざまぁされました(なお、全員私を溺愛しています)
ほーみ
恋愛
「レティシア・エルフォード! お前との婚約は破棄する!」
王太子アレクシス・ヴォルフェンがそう宣言した瞬間、広間はざわめいた。私は静かに紅茶を口にしながら、その言葉を聞き流す。どうやら、今日もまた「ざまぁ」される日らしい。
ここは王宮の舞踏会場。華やかな装飾と甘い香りが漂う中、私はまたしても断罪劇の主役に据えられていた。目の前では、王太子が優雅に微笑みながら、私に婚約破棄を突きつけている。その隣には、栗色の髪をふわりと揺らした少女――リリア・エヴァンスが涙ぐんでいた。
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる