【完結】学生時代に実った恋は、心に痛みを残した。

まりぃべる

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6. 二週目の木曜

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 昨日は、あれから焼き肉を食べて駅まで送ってくれた。
学生時代、免許を取ってからは車で送ってくれる事もあったのだけど、明日も仕事だからと近場で食事をした事もあり、千鶴は電車で帰った。

 食事中は、お互いの研修の話をし、早く研修が明け、一人前になれるといいよねと話し合った。

 千鶴は、晃が店を出てすぐにに言った言葉を忘れる事が出来なかった。


「はー美味しかったな!また来ようぜ!…それにしても仕事がこんなに疲れるとはなぁ…千鶴と一緒に住めたら、会社帰ったら家で一緒にいられるのにな!」


(あれって…どういう意味かな。存外に同棲しようって意味?それとも…結婚!?)





☆★

 次の日。

 研修室へ出社すると、すでにいた八戸が千鶴を見つけ近寄って来た。

「おはよ、あきちゃん!あきちゃんさぁ、ストレス発散したいんだろ?違う所にしようかと思ったけど、あきちゃん行きたいって言ってたから先週と同じ〝アミュパー〟にしたよ。どう?」


 ボーリングと室内スポーツが出来る〝アミュパー〟とは、入場料を支払えばあとは時間毎にお金を後払いするシステムの店の名前だ。
ミニバスケが出来る部屋、卓球台がある部屋、ビリヤードが出来る部屋、バトミントンネットが張られている部屋、ダーツが出来る部屋と五つの種目があり、どれでも時間で選べるのだ。部屋は限りがあるので、空いている部屋でないと使えないけれども。

 以前、千鶴が晃と行きたいと思っていた店は地元のショッピングモールにあるが、このアミュパーはこの都会の大きな駅のすぐ近くにあり、同期の皆も集まり易い立地にあるといえり。
ボーリング場は一階にあり、室内スポーツは、二階と三階にある。

「アミュパー?私駅前のは行った事ないの。だから行きたい!でも、皆先週も行ったのでしょう?同じ場所でいいの?」

「良かった~。いいのいいの!あきちゃんだって来てなかったし。それに、楽しかったっていう奴らも結構いたしさ。やっぱ、昨日の講師の先生の言ってた事は正しいな!」

「昨日…?あ!私生活も同じような生活をしましょうってやつ?」

「そうそう!だから今週も俺、元気いっぱいだぜ!あきちゃんも来週、きっとそうなるよ。あ、他の奴にも伝えてくるな。おーい!」

 そう言って、八戸は研修室に入ってきた他の同期の所へと行ってしまった。

(良かったのかなぁ?でも…私の希望を叶えてくれるなんて嬉しいかも。)

 ただ、八戸がまた同じ所に行きたかったからかもしれないし、他の理由から遊ぶ場所をアミュパーに決めたのかもしれない。それでも、千鶴が行きたいと言っていた言葉を覚えていてくれ、だからそこにしたと言ってくれた八戸に、いつの間にか好感を持ち始めていた。


 講師の先生が言っていたのは、『サービス業という業界は、他の業界とは違い、世間が休みの時に来てくれた人達を癒す場所を提供する業界です。その為、辛い気持ちになる事が多々あると思います。だから事私生活は家で寝る、という生活ではなく、仕事の時間と同じように起床し、朝食を食べて出掛けましょう。そうする事で、心が沈む事が減ります。
学生時代の友人とこれからは休みが重ならなくなるかもしれませんね。そんな時は、私達同期で話すだけでも気持ちが軽くなりますよ。』と。

 それを聞いた時、晃は休日はゆっくりしたいと言っていたな、と思い出した。そして、休みが重ならなくなると言った言葉。それも、自分達に当てはまる。研修が終われば、晃は土日祝日が休みで、千鶴が本社勤務なら土日休みだが、もし店舗の配属になれば平日休みになるなと思ったのだ。

(そうか…確かにそうだわ。今更だけど、デートがしにくくなるんだわ…。でも、同期と遊ぶのも楽しそうよね。)

 晃は、仕事が忙しいから休息の時間は必要だと言った。
でも講師の先生は、体のリズムを整える為にも、いつもと同じ時間に起きて出掛けるといいと言っていた。自分は果たしてどちらがいいのか暫く考えていた。
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