【完結】学生時代に実った恋は、心に痛みを残した。

まりぃべる

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5. 二週目の水曜 【晃とのデート】

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【今やっと終わったよ-。晃はもうすぐ家?私、どうすればいいー?駅に行こうか?】


 水曜日。
就業時間が終わった千鶴は、晃へ向けてメールを送った。

(本当は、駅から少し距離のある店に行きたいけど、仕事終わりだから晃に車で行ってもらうのは無理だろうから…いつもの駅の近くの店になるかなぁ…。)

 千鶴は、今月号のお出かけ雑誌に載っていた、新しく出来た店の特集の、パスタのお店が行ってみたいと思った。
だけど、それはまたの機会になるかなと思った。明日も変わらず仕事があるから、あまり遅くなれないなと思ったのだ。


ピロロン
【お疲れ~。今家に着いた。うん、じゃあ何分くらいに駅に着くか教えて。向かうから。】

(まぁ、そうだよね-。)

【分かった。あと三十分くらいで着くよー。また後でね!】

 と千鶴は晃へと返信し、車窓を見遣る。混んでいる車内は苦手だが、流れる景色を見ているのは好きだった。旅をしている気分になるからだ。


(そういえば、結局晃と旅行に行けなかったなぁ…。)


 大学の友達と、春休みに卒業旅行へ行く事にしたのだが、晃とも行きたいね、と話していた。
 が、千鶴が行った次の週に晃も学部の友達と卒業旅行に行ってしまい、その後日にちを合わせようとしていたが結局お互いの予定もあり行けなかったのだ。

「ま、仕方ないよ。落ち着いたら行こうぜ。」

 そう言ってきた晃。千鶴も、研修が終わり仕事が落ち着いたら、旅行に行けたらいいなと思っていた。




(あ、着いたわ。)

 晃の家の最寄り駅に着き、電車から降りた。改札口を出たところで晃に再度連絡を入れる。
千鶴の家から本社までの間に、晃の家の最寄り駅はある。本社からだいたい四十分ほどで着いた。

【着いたよー。】


ピロロン
【後ろ見て】

 ん?と千鶴が振り返ると、晃がもう来ていた。

「お疲れ。行こうぜ!もう腹減っちゃってさ!今の時間だと焼き肉かカレー屋どっちがいい?居酒屋も一応あるけど…。」

 そう言って、然り気無く手を繋いできた晃は、すぐに歩き出した。
晃の家は、ここから歩いて十分ほど。けれどいつもここまでは自転車で来るし、自転車の鍵に付いている鈴の音がチャラチャラと鳴っていた。
自転車は、駅前の自転車置き場に置いてあるのだ。

「んーと、じゃあ焼き肉!」

「お!いいね~、英気を養おうぜ!でまた、明日から二日、仕事頑張ろー!」

 そう言って晃と、駅から歩いてすぐの焼き肉屋へ向かった。




「へいらっしゃい!お、晃じゃねーか!彼女も!仕事帰りか?さぁ座って~!」


 ここの店主は、晃の家族が良く来る店で、晃の父と同級生だからこんなに気易く話し掛けてくれる。大学時代もたまに来ていた為、店主が覚えてくれているのだ。

 まだ時間は六時少し前。きっとこういう店はもう少し遅くから混み出すのだろう。まだ客は一人しか居なく、店主が奥のカウンターに座っていたその客と話をしていたが、立ち上がり席へと案内した。

(あ、そういえば私スーツだった…。)

 千鶴は、今更だが焼き肉の匂いがスーツに付くかなと思ったけれど、それよりも体が肉を求めていたから諦める事にした。

「そうか、もう就職かー!じゃあ肉サービスしてやるよ、さあ注文しな!」

「大将、この前も家族で来た時それでサービスしてくれたじゃん。いいのかよ?」

「今日は彼女もいるだろ?だからだよ。さぁ、どうする?飲むか?」

「明日も仕事だからなぁ…。一杯だけ。」

「お!じゃあ彼女も、飲むか?」

「んー…はい!ありがとうございます!」

「よし!うちの肉食べたら元気になるからな!ゆっくりしてけよ。」

 そう言って、大将はカウンターの奥に準備をしに行った。
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