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4. 二週目の月曜日
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「おはよう。ねぇ、柿崎あきちゃん、どうして来なかったの?淋しかったよ-。」
千鶴が出勤して研修室に入ると早々に、八戸に声を掛けられた。
「八戸くん、おはよう。ごめんね、予定があって。みんな何処行ったの?」
「駅前にある、〝アミュパー〟だよ。いろんな種類の室内スポーツが出来るアミューズメント施設。あきちゃんは今週末予定空いてる?今度こそ行こうよ。」
そう誘ってくれるとやっぱり悪い気はしない。なんとなく、そうやって一緒に出掛けた同期は仲良くなっているようにも見えたから。
それに、今週末であれば千鶴も予定は無くなった所だ。晃が、『同期と遊べなくなった』と言ってくるかもしれないから予定空けとく?と自身に問いたが、皆で遊ぶのも楽しそうだと思って返事を返す。
「うん。分かった!今週も同じ所?私もストレス発散したいなぁ。」
「お!あきちゃんそうこなくっちゃ!じゃあまた決まったら言うな!」
(八戸くんは、私の名前もう覚えていないんじゃないだろうか?まぁ、いいけど。)
そう思える程、千鶴は名前を間違えられている。いや、顔を見て敢えて言っているから反応を楽しんでいるのだろうか?と千鶴は、思っていた。だからこそそこは突っ込まずにスルーしている。お笑い芸人の〝フユ子〟より、人気女優の名前を読んでくれているだけ、気遣ってくれてるのかな?と思いながら。
「あ、おい。ねぇ、君も今週末一緒に遊びに行かないか?」
そう言って一人で本を読んでいる眼鏡を掛けた男子に話し掛けた八戸。こうやって、周りを見て周りから浮きそうな子にも声を掛けているのはさすがだな、と千鶴は密かに見ていた。
「おはよう!千鶴ちゃん。今週末は行ける-?」
席に着いたところで、咲良が話し掛けてきた。
「咲良ちゃん、おはよう。うん、行こうかなー。楽しかった?」
「そうだねー!ストレス発散してきたよ!…そこでさ、小林くんが詩織ちゃん来て無かったから小林くんがものすごく残念がってて…意外な事に、まだ付き合って無かったらしいの!八戸くんが『じゃあ俺の巧みな話術で今週こそ来て貰うから』って言っていたわ。」
「そうなんだ…そういえば小林くん、詩織ちゃんを見掛けた時から話し掛けてたもんねぇ。」
「あ、千鶴ちゃんも覚えてる?あれにはびっくりだったよねー!初対面だったらしいのに、すごいよね!」
「一目ぼれなんて、愛されてるねぇ。」
「いや、んーどうなんだろうね。」
小林くんとは、小林一輝、顔も彫りが深く外国人の血が入っていそうなイケメンで、同期の子だ。彼は大学院卒で、千鶴より二歳年上だった。
詩織ちゃんとは、三倉詩織と言って、背が一般身長よりも低く女子から見ても可愛いと思う見た目だった。
☆★
入社式の日。
研修室に詩織は時間ぎりぎりに息を切らせて入ってきた。
入り口で、誰に話し掛けるともなく、ハアハアと肩で息をしながら『あー間に合ったぁ…!』と呟いた。
すると、入り口近くで話していた男子の塊から一人出てきた小林が、『君可愛いね!良かったね、間に合って。お疲れさま。俺、小林一輝って言うんだ!よろしく!』と言って詩織にいきなり手を差し伸べたのだ。さすがに、詩織は驚いたような表情を見せ、『お、おはよう。よろしくね!』と詩織は言って席に着いた。
その後も一輝は詩織をジーッと見つめていたが、一緒にいた友達に何か言われたのか意識を取り戻し、何事もなくまた友達と話し始めていた。
それから、毎日、就業時間が終わると一緒に帰ろうと一輝が声を掛けていた。始めこそ引いていたように見えたが、詩織もいいよ、とニッコリ笑って帰る姿も見受けられすっかり付き合っているんじゃないかと周りは思うほど、仲良さげだった。
けれど彼は、意外にもまだ付き合えていないのだと言い、しかも一緒に遊びたかったのに、と項垂れていたというわけだ。
「ま、どちらにしても今週末は千鶴ちゃんも来てくれるなら楽しみが増えたわ!休みにまで会えるなんて、嬉しいもの!」
千鶴は、そう言われて嬉しくなった。晃とは会えないが、それはそれで良かったんじゃないかと思った。
「うん、私も嬉しいかも。」
千鶴も、思わずそう言っていた。
千鶴が出勤して研修室に入ると早々に、八戸に声を掛けられた。
「八戸くん、おはよう。ごめんね、予定があって。みんな何処行ったの?」
「駅前にある、〝アミュパー〟だよ。いろんな種類の室内スポーツが出来るアミューズメント施設。あきちゃんは今週末予定空いてる?今度こそ行こうよ。」
そう誘ってくれるとやっぱり悪い気はしない。なんとなく、そうやって一緒に出掛けた同期は仲良くなっているようにも見えたから。
それに、今週末であれば千鶴も予定は無くなった所だ。晃が、『同期と遊べなくなった』と言ってくるかもしれないから予定空けとく?と自身に問いたが、皆で遊ぶのも楽しそうだと思って返事を返す。
「うん。分かった!今週も同じ所?私もストレス発散したいなぁ。」
「お!あきちゃんそうこなくっちゃ!じゃあまた決まったら言うな!」
(八戸くんは、私の名前もう覚えていないんじゃないだろうか?まぁ、いいけど。)
そう思える程、千鶴は名前を間違えられている。いや、顔を見て敢えて言っているから反応を楽しんでいるのだろうか?と千鶴は、思っていた。だからこそそこは突っ込まずにスルーしている。お笑い芸人の〝フユ子〟より、人気女優の名前を読んでくれているだけ、気遣ってくれてるのかな?と思いながら。
「あ、おい。ねぇ、君も今週末一緒に遊びに行かないか?」
そう言って一人で本を読んでいる眼鏡を掛けた男子に話し掛けた八戸。こうやって、周りを見て周りから浮きそうな子にも声を掛けているのはさすがだな、と千鶴は密かに見ていた。
「おはよう!千鶴ちゃん。今週末は行ける-?」
席に着いたところで、咲良が話し掛けてきた。
「咲良ちゃん、おはよう。うん、行こうかなー。楽しかった?」
「そうだねー!ストレス発散してきたよ!…そこでさ、小林くんが詩織ちゃん来て無かったから小林くんがものすごく残念がってて…意外な事に、まだ付き合って無かったらしいの!八戸くんが『じゃあ俺の巧みな話術で今週こそ来て貰うから』って言っていたわ。」
「そうなんだ…そういえば小林くん、詩織ちゃんを見掛けた時から話し掛けてたもんねぇ。」
「あ、千鶴ちゃんも覚えてる?あれにはびっくりだったよねー!初対面だったらしいのに、すごいよね!」
「一目ぼれなんて、愛されてるねぇ。」
「いや、んーどうなんだろうね。」
小林くんとは、小林一輝、顔も彫りが深く外国人の血が入っていそうなイケメンで、同期の子だ。彼は大学院卒で、千鶴より二歳年上だった。
詩織ちゃんとは、三倉詩織と言って、背が一般身長よりも低く女子から見ても可愛いと思う見た目だった。
☆★
入社式の日。
研修室に詩織は時間ぎりぎりに息を切らせて入ってきた。
入り口で、誰に話し掛けるともなく、ハアハアと肩で息をしながら『あー間に合ったぁ…!』と呟いた。
すると、入り口近くで話していた男子の塊から一人出てきた小林が、『君可愛いね!良かったね、間に合って。お疲れさま。俺、小林一輝って言うんだ!よろしく!』と言って詩織にいきなり手を差し伸べたのだ。さすがに、詩織は驚いたような表情を見せ、『お、おはよう。よろしくね!』と詩織は言って席に着いた。
その後も一輝は詩織をジーッと見つめていたが、一緒にいた友達に何か言われたのか意識を取り戻し、何事もなくまた友達と話し始めていた。
それから、毎日、就業時間が終わると一緒に帰ろうと一輝が声を掛けていた。始めこそ引いていたように見えたが、詩織もいいよ、とニッコリ笑って帰る姿も見受けられすっかり付き合っているんじゃないかと周りは思うほど、仲良さげだった。
けれど彼は、意外にもまだ付き合えていないのだと言い、しかも一緒に遊びたかったのに、と項垂れていたというわけだ。
「ま、どちらにしても今週末は千鶴ちゃんも来てくれるなら楽しみが増えたわ!休みにまで会えるなんて、嬉しいもの!」
千鶴は、そう言われて嬉しくなった。晃とは会えないが、それはそれで良かったんじゃないかと思った。
「うん、私も嬉しいかも。」
千鶴も、思わずそう言っていた。
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