【完結】学生時代に実った恋は、心に痛みを残した。

まりぃべる

文字の大きさ
3 / 19

3. 一週目の土曜 【晃とのデート】

しおりを挟む
 五日間平日を過ごした千鶴は、やっと休日になり喜んでいた。

 一週間ぶりに晃に会えるからだ。

 今日は、晃の住む市まで電車で来た。遊びに来くと言えば大抵、晃が住み慣れたというこの街へ千鶴は来ていた。


(今日は何処に行くのかしら。)


 と、最寄りの駅に着いて千鶴は、考えていた。せっかくなら、日頃の鬱憤を晴らす為に体が動かせるスポーツをしに行こうか、といろいろと頭を巡らせる。
 駅には、晃が車で迎えに来てくれる。
それを駅のコンビニで、晃が来るのを待っていた。


ピロロン
【 ごめんね、あと少しで着く。】


 そうスマホに連絡が入り、やっと会えると思って少しニマニマとした顔つきで、心弾ませて駅のロータリーへと急ぐ。あと少しといっていたが、もう到着していたらいけないと急いだ。
 

 それから十分程して、晃の車が見えた。少し年代は古いが、黄色いスポーツカーだ。

「ごめん、お待たせ。乗って。」

 千鶴が素早く助手席に乗り込むと、車を動かしながら晃は言った。

「今日は何処に行く?」

「そうねぇ。日頃の鬱憤を晴らしたいから、体を動かさない?」

「お、鬱憤を晴らすのはいいね!でも、体が思ったよりも仕事で疲れているんだよ。よかったら、映画とかどう?昨日公開された、ミステリーなんだけど。」

「あ!それって…私も、気になってたやつかも!!」

「よし!じゃあ映画館へ行こう!」


 千鶴は、ボーリングやバスケットに卓球やビリヤードなど、お金を払って一定時間そこにあるものなら何でも出来るショッピングモールに併設されている店に行ってみるのもいいかなぁと思った。けれど、晃が言った映画も確かに数日前からテレビやSNSで話題になっていたし、面白そうだと思ったものだったので、そこに行く事にした。



「やばっ…あんな結末になるなんて…!」

「おいー、千鶴泣くなよ。確かにミステリーなのに感動したけどさ。」

 そう言いながらも、千鶴の頭をぐりぐりと撫でる晃。
映画が終わり、上映室から出て来た所だった。

「どうする?お昼ご飯にしよっか?腹減ったよな。」

「うん、減った-!食べよ食べよ!」


 お洒落なカフェでランチをして、ウィンドウショッピングをしながら、途中にあったクレープ屋で注文し、外のテラスで食べる。

「どう?研修。少しは慣れた?」

「全然!でも来週からは、人数を分けて研修なんだって。接客する人とされる人に分ける感じでどうしたら接客が良くなるか学ぶらしいの。でも座学だけじゃなくなるらしいから、少しいいかなーと思ってるの。晃は?」

「うん、俺も来週からは職場見学が入るんだ。いろんな部署を見学させてもらって、どの部署がいいか最後に希望を取られるんだ。」

「へー、素敵!配属される前から職場の雰囲気が分かるっていいわね。」

「そうだね。まぁ、絶対に希望が通るわけじゃないみたいだけど、配属される前に見られるのはいいかな。それに俺も、座学は減るから眠気との戦いも終わるかな。」


 お互いの近況を話し、今日は夕方には、晃が待ち合わせた駅まで送ってくれた。

(今日はもうお別れ…。また明後日から仕事で会えなくなるわ。)

「ねぇ、来週どこかで仕事終わったら、夕飯一緒に食べない?」

「え?んー…いいけど。じゃあ来週の水曜とかどう?その日は俺帰りが三十分早いからさ。」

「やったぁ!うん!」

 水曜は、週の真ん中だからか晃の会社の就業時間がいつも三十分早く終わるのだ。

「あ、でもその代わり週末は会えないけどいい?」

「え!?どうして?」

「昨日同期の奴が土曜遊べないか?って誘ってくれてさ。今日は千鶴と遊ぶ約束だったろ?だから、来週約束したんだ。」

「じゃあ日曜は…」

「日曜も遊ぶと、体が持たないじゃん?日曜は家でゆっくりしたくない?千鶴も会社まで遠いだろう?だから、水曜食事しようぜ?」

「うん…そうね。分かった。じゃあ、また金曜にね!」

「ああ。仕事終わったら、連絡してくれ。」

「うん!」

 千鶴は、来週も会いたかったけれど晃にそう言われたらそれもそうだと思い直し、納得した。日曜も会って疲れて月曜から五日間出勤しないと行けないなんて体が持つか…。


(でも、晃と会うと疲れなんて吹っ飛んで、嬉しい気持ちが勝つのになぁ…。)


 そう思ったが、確かに往復約二時間、電車に揺られながら通うのも疲れる原因だと思ったので、外の流れゆく景色を見ながら次のデートは何処に行こうかとプランを練っていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

処理中です...