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プロローグ -??視点ー

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「もう、無理ですね…。私では食い止めれませんわ。お願いです、この子を連れて、ラッセルブラウン国へ逃げてくれる?」

王妃様はそう言うと、布にくるまれて魔法で眠らされている銀髪の、王妃様によく似た女の子を私に預けてきた。そして、その隣の国王陛下は杖を持ち、その腕をかざしてその子の額に向ける。
と、髪の色が瞬く間にどこにでもいる焦げ茶色に変わった。

「いえ、しかし王妃様!」

私は、それでも王家と共にあろうと思い、言葉を掛ける。
だが王妃様は顔を背け、手を口にあて涙を堪えている。

「私の魔力でも無理だった。済まない…今まで世話になった。我が子をよろしく頼む。我らのピアスだけ、ここで外し、そこに置け。それからあれを持って行け。」

と国王陛下が言って、金貨の何百枚も入った巾着と、日持ちのする食べ物が入った布袋を侍女が持ってきた。
こんなに入っていたら重いだろうに、国王様が術をかけたのか重さは全く感じなかった。

「国王陛下、私は…!」
「もうよい。今まで大義であった。これからはその子は頼んだぞ。よろしく頼む。」
そういって国王陛下は、もう一度私の腕の中にいる娘を撫でた。

「さぁ、行ってくれ!」

「…!」

私は涙を拭い、腕に抱いた未だ眠っている幼い子をもう一度しっかりと抱き、荷物を持って隠し扉へ入って行く。

私が入るとすぐに、隠し扉は音も無く閉まった。暗いのは一瞬で、足元はほの暗いが照らされている。光苔のおかげで、歩く程度には問題ない。

ここは、隠し通路であり魔法がかけられている為どう行っても迷ってしまう。しかし、国王陛下から賜った側近である証の指輪がその魔法のカギとなり、出口を指し示してくれている為難なく進む。

何故こうなってしまったのか。悔し涙が浮かびそうになるが、それを堪えて先へと進む。


外には、バルグェン国が攻め入っている。より遠くへ逃げなければ。この腕の中にいらっしゃるお子を生かさなければという思いだけで進んで行く。


気が遠くなる位進んだ所に、やっと出口へと続く扉があり、外へ出る。
目はくらんだが、それは少しの事。周りを伺い、人の気配が無いことを悟ると再び進む。目の前は森。これを抜ければ南隣の国ラッセルブラウン国だ。

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