【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる

文字の大きさ
22 / 35

22. 子供の泣き声

しおりを挟む
 マクスウェル大国へ来て、二週間が過ぎた。

 相変わらず、ジャーヴィス様とはお会いしていない。そんなに忙しいのかしら。私が毎日書いている、簡単なお手紙も返事は一度も来ていないし。やはり、相手がお姉様ではない事に不満を持たれているのかしら…とさすがに不安にはなってきた頃。

 やっと少し時間が取れるからと、昼食を共にしようと先触れが来た。

(それまでは、時間が取れなかったという事…?そんなに忙しいの?)



 午前中のお勉強は少しだけにして、着飾る事になった。昼食だけの為に着飾るのはどうかと思ったけれど、ロッテだけでなくタミルにも言われたから仕方ないわね。

 衣装部屋には、思った以上のドレスがあった。
いつどこで着るの?と思ったけれど、今はの立場であるから、必要なのだとか。
私が、もう少し知識を詰め込めたら、夜会や舞踏会、ガーデンパーティーなども開催する予定だからと言われた。



 今日は、濃い青色の簡易ドレスを着て、髪もサイドで緩く髪留めで止めてもらった。
いつもは部屋で食事を取っているけれど、今日は少し歩いて本棟の食堂へと行くのだそう。

(いつも部屋に引き籠もっていたから、気分が変わって、良いわね。)

 そう思いながら廊下を歩いていると、どこからが泣き声が聞こえてきた。

 前を歩いていたキャスリンも少しゆっくりになり、辺りを警戒しながら歩いていく。
私もキョロキョロとしていると、後ろを歩いていたロッテも気づいたのか、『何か聞こえますね。』と言った。

 と、廊下から外れた生け垣の向こうで、小さな子供の泣き声と共に何か言っている声が聞こえた。

 私は、庭に出られる所からその声のする方へと道を逸れると、キャスリンが『お止め下さい!今人を呼びます。ロッテ、騎士団へ行き、人を呼んで来て下さい!』と言った。でも、それじゃ間に合わないかもしれないと思った。

「キャスリン、じゃあ一緒に来て!間に合わないかもしれないから!」

 そう言うと、駆け出しその声へと向かった。


《助けて!誰か助けて!!妹が、沈んじゃう!》

《大丈夫?え?妹!?》

《あそこだよ!僕、泳げないんだ!》

 そこは、池だった。池の中から色とりどりの花が咲き、綺麗な場所であったが、真ん中に掛かっている桟橋の五メートルほど先の付近でバシャバシャと水音がする。

《分かったわ!》

「アリーシャ様!?」

 すぐ後ろを走ってきたキャスリンが叫び声にも似た声を上げたが、私は背中にあるホックを素早く外し、ドレスとヒールを脱いでシュミーズとドロワーズ姿になると、桟橋を走ってそのまま池へと飛びこんだ。

(思ったより…花の根が絡み付くわね…)

《ゴホッゴホッ…》

《ほら、しっかり!よく頑張ったわ、あと少しよ!》

「アリーシャ様!掴まって!」

 私が、その溺れた子を手で掴み、進もうとするが池にある根や茎が絡み付いて上手く進めない。けれど、キャスリンが桟橋から伸ばした手にどうにか届いたようで、ぐいっ、とキャスリンに引っ張られ、どうにか池から私とその子を引き上げてくれた。

「ごぼっごほっ…」

《ゲホッ…ゲホッ…》

「どうされました!!」

「あ!アリーシャ様、私の上着を羽織って下さい。」

 そう言えば私、ドレスを着て水には入れないと下着になったんだわ。近衛兵達が走ってくるので、キャスリンが上着を脱いで私に羽織らせてくれた。

 小さな兄妹は、泣きながら抱きしめ合っていた。

 私はその姿を見ると、安心したのか意識が遠のいた。
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!

さら
恋愛
 王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。  ――でも、リリアナは泣き崩れなかった。  「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」  庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。  「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」  絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。  「俺は、君を守るために剣を振るう」  寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。  灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

【完結】その令嬢は可憐で清楚な深窓令嬢ではない

まりぃべる
恋愛
王都から少し離れた伯爵領地に住む、アウロラ=フランソンは領地の特産物である馬を領民と共に育てている。 一つ上の兄スティーグは学友から、妹を紹介しろと言われるが毎回断っていた。そしてその事を、寮から帰ってくる度に確認される。 貴族で伯爵家の娘であるアウロラは、そのうちいつかはどこかの家柄の男性と結婚をしなければならないのだと漠然と思っている。ワガママが許されるのなら、自分の好きな乗馬は止めたくなかったし結婚はしたくなかったけれども。 両親は好きにすればいいと思っていたが、父親の知り合いから結婚の打診が来て、まずは会うだけならと受けてしまった。 アウロラは、『仕方ない…いい人だといいなぁ』と思いながら会い、中身を知ろうとまずは友人から始めようと出掛ける事になるのだが、なかなか話も噛み合わないし価値観も違うため会話も出来ない。 そんな姿を見てか相手からは清楚だなんだと言われていたが、相手がある女性を助けた事で「僕達別れよう」と一方的に言われることになった。 あまりの事に驚くが、アウロラもまたある男性と出会い、そして幸せになるお話。 ☆★ ・まりぃべるの世界観です。現実とは常識も考え方も似ているところもあれば、全く違う場合もあります。単語や言葉も、現実世界とは意味や表現が若干違うものもあります。 ・人名、地名など現実世界と似たもしくは同じようではありますが全く関係ありません。 ・王道とは違う、まりぃべるの世界観です。それを分かった上で、暇つぶしにでも楽しんでもらえるととても嬉しいです。 ・書き終えています。順次投稿します。

ここだけの話だけど・・・と愚痴ったら、婚約者候補から外れた件

ひとみん
恋愛
国境防衛の最前線でもあるオブライト辺境伯家の令嬢ルミエール。 何故か王太子の妃候補に選ばれてしまう。「選ばれるはずないから、王都観光でもしておいで」という母の言葉に従って王宮へ。 田舎育ちの彼女には、やっぱり普通の貴族令嬢とはあわなかった。香水臭い部屋。マウントの取り合いに忙しい令嬢達。ちやほやされてご満悦の王太子。 庭園に逃げこみ、仕事をしていた庭師のおじさんをつかまえ辺境伯領仕込みの口の悪さで愚痴り始めるルミエール。 「ここだけの話だからね!」と。 不敬をものともしない、言いたい放題のルミエールに顔色を失くす庭師。 その後、不敬罪に問われる事無く、何故か妃選定がおこなわれる前にルミエールは除外。 その真相は? ルミエールは口が悪いです。言いたい放題。 頭空っぽ推奨!ご都合主義万歳です!

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

初めから離婚ありきの結婚ですよ

ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。 嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。 ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ! ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

【完結】溺愛される意味が分かりません!?

もわゆぬ
恋愛
正義感強め、口調も強め、見た目はクールな侯爵令嬢 ルルーシュア=メライーブス 王太子の婚約者でありながら、何故か何年も王太子には会えていない。 学園に通い、それが終われば王妃教育という淡々とした毎日。 趣味はといえば可愛らしい淑女を観察する事位だ。 有るきっかけと共に王太子が再び私の前に現れ、彼は私を「愛しいルルーシュア」と言う。 正直、意味が分からない。 さっぱり系令嬢と腹黒王太子は無事に結ばれる事が出来るのか? ☆カダール王国シリーズ 短編☆

あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です。

秋月一花
恋愛
「すまないね、レディ。僕には愛しい婚約者がいるんだ。そんなに見つめられても、君とデートすることすら出来ないんだ」 「え? 私、あなたのことを見つめていませんけれど……?」 「なにを言っているんだい、さっきから熱い視線をむけていたじゃないかっ」 「あ、すみません。私が見ていたのはあなたではなく、別の方です」  あなたの護衛を見つめていました。だって好きなのだもの。見つめるくらいは許して欲しい。恋人になりたいなんて身分違いのことを考えないから、それだけはどうか。 「……やっぱり今日も格好いいわ、ライナルト様」  うっとりと呟く私に、ライナルト様はぎょっとしたような表情を浮かべて――それから、 「――俺のことが怖くないのか?」  と話し掛けられちゃった! これはライナルト様とお話しするチャンスなのでは?  よーし、せめてお友達になれるようにがんばろう!

処理中です...