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アンカサにて
ガルーダの思惑
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「ここは私の領土だ。どこにいようと私の自由だ」
ガルーダは低い声で笑う。
「可哀そうに。私のかわいいペットたちが自由に走れないではないか。殺戮人形殿、君の仕業だね?」
「その名は捨てた。オネットと呼んでほしい」
「どちらでもいいだろう。君は今もマルドゥクの操り人形なのだろう? 簡潔に人形さんと呼ぼう」
「やめろ」
オネットの眼光が鋭くなった。
「冗談にしても笑えるものではない」
「おやおや、怒っているのか。これは失礼した。悪気はなかったんだ」
ガルーダは下卑た笑いを浮かべた。
「そういえば、マリア王女はどうしているのかな。私は心配だ」
「……おまえが一番よく知っているだろう」
ミカエルが口を挟んだ。
「城に入ったマリア王女をどうした?」
「どうしましたかねぇ。一緒に探しましょう」
「……ついてこいという事か」
ミカエルが言うと、ガルーダは首を横に振った。
「嫌ならそれでも良いのですよ。私一人で見つかるとは思えませんがねぇ」
ガルーダの言葉がまとわりつくようで、ミカエルには不快であった。
「ついていくが、マリア王女に何かあればただじゃおかない」
「おや? マリア王女の警護はグローリア王国の騎士の役目では? 私たちに関係があるとは思いませんなぁ」
とぼけた口調に、ミカエルはいらいらした。
「さっさとマリア王女の所につれていけ!」
「はいはい。一緒に探しましょう」
ガルーダの下卑た笑いは、企みがある事を予感させた。
「それと、オネット殿。ペットたちを解放してくれませんかねぇ。おとなしくさせるので」
「分かった。もし暴れさせるなら、切り刻む」
「おお、怖い怖い」
ガルーダはまったく怖がっていないようだった。強力なバックがいるのかもしれない。
王城へと歩く。もうすぐ夜が訪れようとしていた。
アンカサの王城の門は開かれていた。
ミカエルがいぶかしげに口を開く。
「随分と気が変わったのだな。僕たちを入城させないように命令していたらしいが」
「あとでマリア王女だけでは可哀そうだと思いまして。頼りになる騎士団長がいた方が安心するでしょう」
ガルーダの口調に心はこもっていなかった。ミカエルを心底軽蔑しているような眼差しを向けている。
その視線はミカエルにとって不愉快であった。
「貴様が何を考えていようとマリア王女は守り抜く」
「はいはい、そうしてくださいね」
投げやりな返事に、ミカエルのこめかみに四つ角が浮かぶ。
「イライラする」
「せっかく案内するというのに、ガルーダを怒らせるのは得策ではない」
オネットがなだめた。
ミカエルは拳を震わせながら、槍を構えるのは我慢していた。
王城に入ると、数本のロウソクに照らされた廊下が続く。
「足元にはお気をつけください」
薄暗いため、ガルーダの言う通り、足元には気をつけた方が良さそうだった。
廊下には赤い絨毯が敷かれている。踏むと柔らかい。比較的新しいようだ。
「マルドゥク様のお知り合いの方が清潔な場を好むので、絨毯は頻繁に変えております。歩き心地はいかがですか?」
「悪くない。悪くないが、マルドゥク様と言ったか?」
「はい、ミカエル様。あの方はいずれ世界の覇者となる方ですよ」
ガルーダは低い声で笑う。
「ソール大陸において真っ先に味方になった私たちには便宜をはかるそうです。アンカサは安泰というものです」
「あてにしない方がいい。マルドゥクは他人を平気で犠牲にする」
「忠誠心が足りないからではないのですか?」
オネットの忠告を、ガルーダは聞き入れる気はないようだ。
しばらく歩くと、広い部屋に出る。猛獣の標本がいくつも飾られている。
そこに集団がいた。
グローリア王国の近衛兵たちと侍従たちであった。
「マリア王女はどうした?」
「……我々の口からお話する事はできません」
「なんだと?」
近衛兵の言葉に、ミカエルは眉をひそめた。
「マリア王女の様子は、おまえたちが一番分かっているだろうに」
「申し訳ありません。今はオネットを連れてくるように言われております」
ミカエルは眉をひそめた。
「マリア王女が?」
マリアが騎士団長を差し置いて異国の少年だけに会うなど、考えづらかった。
近衛兵たちは同じ言葉を繰り返すだけだ。
「申し訳ありません。オネットに来てほしいのです」
「分かった。どこに行けばいい?」
「ついてきてください」
オネットは近衛兵たちと共に歩き始める。
ミカエルはこっそり近衛兵の一人に耳打ちする。近衛兵たちの怪我に気づいていた。
「あとで事情を教えてくれ」
耳打ちされた近衛兵は深く礼をして、部屋を出る。
「ミカエル様、残念でしたなぁ。マリア王女はあなたをお呼びでないようで」
ガルーダが下卑た笑いを浮かべる。
「せめてくつろいでいってください。おもてなししますよ」
「……ああ、ありがとう」
ミカエルはつっけんどんな口調でお礼を言っていた。
ガルーダは低い声で笑う。
「可哀そうに。私のかわいいペットたちが自由に走れないではないか。殺戮人形殿、君の仕業だね?」
「その名は捨てた。オネットと呼んでほしい」
「どちらでもいいだろう。君は今もマルドゥクの操り人形なのだろう? 簡潔に人形さんと呼ぼう」
「やめろ」
オネットの眼光が鋭くなった。
「冗談にしても笑えるものではない」
「おやおや、怒っているのか。これは失礼した。悪気はなかったんだ」
ガルーダは下卑た笑いを浮かべた。
「そういえば、マリア王女はどうしているのかな。私は心配だ」
「……おまえが一番よく知っているだろう」
ミカエルが口を挟んだ。
「城に入ったマリア王女をどうした?」
「どうしましたかねぇ。一緒に探しましょう」
「……ついてこいという事か」
ミカエルが言うと、ガルーダは首を横に振った。
「嫌ならそれでも良いのですよ。私一人で見つかるとは思えませんがねぇ」
ガルーダの言葉がまとわりつくようで、ミカエルには不快であった。
「ついていくが、マリア王女に何かあればただじゃおかない」
「おや? マリア王女の警護はグローリア王国の騎士の役目では? 私たちに関係があるとは思いませんなぁ」
とぼけた口調に、ミカエルはいらいらした。
「さっさとマリア王女の所につれていけ!」
「はいはい。一緒に探しましょう」
ガルーダの下卑た笑いは、企みがある事を予感させた。
「それと、オネット殿。ペットたちを解放してくれませんかねぇ。おとなしくさせるので」
「分かった。もし暴れさせるなら、切り刻む」
「おお、怖い怖い」
ガルーダはまったく怖がっていないようだった。強力なバックがいるのかもしれない。
王城へと歩く。もうすぐ夜が訪れようとしていた。
アンカサの王城の門は開かれていた。
ミカエルがいぶかしげに口を開く。
「随分と気が変わったのだな。僕たちを入城させないように命令していたらしいが」
「あとでマリア王女だけでは可哀そうだと思いまして。頼りになる騎士団長がいた方が安心するでしょう」
ガルーダの口調に心はこもっていなかった。ミカエルを心底軽蔑しているような眼差しを向けている。
その視線はミカエルにとって不愉快であった。
「貴様が何を考えていようとマリア王女は守り抜く」
「はいはい、そうしてくださいね」
投げやりな返事に、ミカエルのこめかみに四つ角が浮かぶ。
「イライラする」
「せっかく案内するというのに、ガルーダを怒らせるのは得策ではない」
オネットがなだめた。
ミカエルは拳を震わせながら、槍を構えるのは我慢していた。
王城に入ると、数本のロウソクに照らされた廊下が続く。
「足元にはお気をつけください」
薄暗いため、ガルーダの言う通り、足元には気をつけた方が良さそうだった。
廊下には赤い絨毯が敷かれている。踏むと柔らかい。比較的新しいようだ。
「マルドゥク様のお知り合いの方が清潔な場を好むので、絨毯は頻繁に変えております。歩き心地はいかがですか?」
「悪くない。悪くないが、マルドゥク様と言ったか?」
「はい、ミカエル様。あの方はいずれ世界の覇者となる方ですよ」
ガルーダは低い声で笑う。
「ソール大陸において真っ先に味方になった私たちには便宜をはかるそうです。アンカサは安泰というものです」
「あてにしない方がいい。マルドゥクは他人を平気で犠牲にする」
「忠誠心が足りないからではないのですか?」
オネットの忠告を、ガルーダは聞き入れる気はないようだ。
しばらく歩くと、広い部屋に出る。猛獣の標本がいくつも飾られている。
そこに集団がいた。
グローリア王国の近衛兵たちと侍従たちであった。
「マリア王女はどうした?」
「……我々の口からお話する事はできません」
「なんだと?」
近衛兵の言葉に、ミカエルは眉をひそめた。
「マリア王女の様子は、おまえたちが一番分かっているだろうに」
「申し訳ありません。今はオネットを連れてくるように言われております」
ミカエルは眉をひそめた。
「マリア王女が?」
マリアが騎士団長を差し置いて異国の少年だけに会うなど、考えづらかった。
近衛兵たちは同じ言葉を繰り返すだけだ。
「申し訳ありません。オネットに来てほしいのです」
「分かった。どこに行けばいい?」
「ついてきてください」
オネットは近衛兵たちと共に歩き始める。
ミカエルはこっそり近衛兵の一人に耳打ちする。近衛兵たちの怪我に気づいていた。
「あとで事情を教えてくれ」
耳打ちされた近衛兵は深く礼をして、部屋を出る。
「ミカエル様、残念でしたなぁ。マリア王女はあなたをお呼びでないようで」
ガルーダが下卑た笑いを浮かべる。
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ミカエルはつっけんどんな口調でお礼を言っていた。
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