マルドゥクの殺戮人形

今晩葉ミチル

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ソール大陸の動乱

使命を託す

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 ソール大陸の目的は一つとなった。
 近隣諸国が連携して、ソール大陸を守り抜く。まさに、マリアたちの考えるところとなったのだ。
 グローリア王国を毛嫌いして、かつてマルドゥクの手下とやり取りしていたガルーダが会議に参加した事が大きな要因だ。
 会議はいつもと違う様相を見せるようになる。

「私たちは裏切りものとして真っ先に処分される事となるでしょう。ソール大陸で最もひどい荒れ野原となるでしょうねぇ。時間は稼ぎます。ソール大陸を守る作戦を考えてほしいですねぇ」

 のっけからガルーダの発言は、その場にいる大半の王たちの度肝を抜いた。

 国王の中には、ガルーダの冷めた態度に怒りを覚えるものもいた。
「自国を守るつもりはあるのか!?」
「私はリアリストですので。みんなで生き残るという夢は持ちませんよ。アンカサが戦場になる可能性は高いのです。復興は不可能でしょうねぇ」
「領主がそんな態度で良いのか!? 民はどう思っている!?」
「嫌なら避難するようには呼びかけております。故郷を捨てられない人間は多そうですがね」
 アンカサを大切に思っている人間が多いのだろう。
 スターが深々と頷く。
「お主はすぐれた領主じゃよ。ガルーダ」
「お褒めに預かり光栄です。しかし、現実的にどうしたものかと思いますね。駒は多いに越した事はありませんが、訓練しないと使い物にならないでしょう」
「今から素人を訓練したところで、たかが知れている。マルドゥクたちを相手にしても、無駄死にしてしまうじゃろう。もともと軍事訓練を受けてきたものたちが連携を取るのが良いと思うぞ」
「合同演習ですか。悪くない発想ですね」
 スターとガルーダのやり取りを、各国の王たちは頷きながら聞いていた。
 しかし、一人だけ異を唱えるものがいた。

「アンカサはマルドゥクの手下に騙されていただけよ。最も被害を受けるなんて間違っているわ。私たちの目的はソール大陸を守る事よ。アンカサを犠牲にする事じゃないわ。一番リスクを負うべきなのは、主導しているグローリア王国よ」

 しっかりとした声で言い放ったのは、マリアだった。

 王たちの間にどよめきが起こる。
「マリア王女は自国が戦場になっても平気なのか!?」
 通訳を頼りに、マリアは答える。
「戦場にしたくないわ。できれば戦争を回避したいと思うわ」
「いったいどうするつもりですか?」
「待っていれば、いつか攻めてくる。その前に手を打つ必要があると思うの。一番リスクを負うのは私のつもりよ」
 王たちが真剣な眼差しでマリアに注目する。

 マリアはゆっくりと言葉を紡ぐ。

「私がマーニ大陸に行くわ」

 王たちが驚きのあまり悲鳴をあげる。
「マーニ大陸はマルドゥクたちの巣窟……!」
「無謀すぎます! 撤回するべきです!」
 王たちの意見はもっともであった。
 しかし、マリアの意思は変わらない。
「待っていても、戦争になるだけよ。マルドゥクたちを退く事に成功しても、体制を立て直せばいつかまた攻めてくるわ。ソール大陸が荒れていくのが目に見えるわ。いずれマーニ大陸に行ってマルドゥクたちの動きを抑えるべきよ。私たちが動くのは早い方がいいわ」
 ミカエルが口を開く。
「おっしゃりたい事はよく分かります。しかし、どうやってマーニ大陸に行くのですか?」
「オネットがどうやって帰ったのか考えてみて。船を使ったでしょう? アンカサにあるはずよ」
 ガルーダは頷いた。
「たしかにありますねぇ」
「自国を荒れ野原にする覚悟があるなら、私たちに使命を託してほしいの」
「使命……ソール大陸を守る事ですか」
「そうよ!」
 マリアは両手を広げて立ち上がった。
「私たちの未来は、私たちで切り開くべきよ。戦争が最小限に押さえられるように、主導者であるグローリア王国に託してほしいの!」
「無茶を言うのぅ。じゃが、乗った!」
 真っ先に口を開いたのはスターだった。
「マーニ大陸の連中の意表をつけるかもしれないしのぅ」
「俺様も行くぜ!」
 なぜかジャックが名乗り出た。
「懐かしい故郷をたまには拝みたいぜぇ」
「僕も当然行く。人数は最小限の方が目立たない。四人で行こう」
 各国の王たちは、しばらく思案したがマリアに賛成した。
「ただの小娘だと思っていましたが、侮れませんねぇ」
 マリアに聞こえないように、ガルーダが感心したように呟いていた。
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