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結城凛子

愛欲

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 初めてセックスしてから、週に二回ほど羽野くんの家へ行くようになった。うちと同じように、羽野くんのご両親も仕事で遅くなったり二人で出掛けたりする日があるみたいで、私が家に行く時はいつもご両親が不在だった。
 奇妙な成り行きで始まった関係のまま、私たちはまるで発情期の動物みたいにお互いの身体を求め合った。



 今日も羽野くんの家で勉強した後、いつも通り身体を重ねた。帰り支度をしていると羽野くんが声をかけてくる。

「そういえば、結城さんは夏休みどうするの?」
「?特に予定はないけど・・・」
「そっか・・・」

 羽野くんが何か言いたそうにもじもじしている。なんとなく言いたいことがわかる気がしたけれど、もし本当にそうだったら私にとって都合が良すぎる。

「もし良かったら、夏休み中も一緒に勉強しない?日中は親がいないし・・・」

 まさかの期待通りだった。内心ガッツポーズをしながら、表面上は取り繕ってうん、とだけ返す。そんな素っ気ない返事にも羽野くんは嬉しそうに微笑んでくれる。
 特に予定の無かった夏休みが待ち遠しくなった。

 

 羽野くんのお蔭で今年の夏休みは充実している。
 私たちはまだ高校二年生だから受験生まではあと一年半ほど時間があるけれど、進学校の宿命か、そこそこの量の課題が出ている。数学に難ありの私は、いつも通り羽野先生に教えを乞いながら黙々と課題をこなす。

 羽野くんと定期的にセックスするようになってから、今までみたいに勉強内容を理解できなくてイライラしたりムラムラしたりすることは減っていた。だけど・・・。

「羽野くん、ここ終わってる?」
「うん、ちょうどさっき終わった。どうしたの?」
「これの答え合わせしてたんだけど、ちょっと回答が腑に落ちなくて。ここってどういうこと?」
「あー確かに、ちょっと説明不足だったかも。ここの公式が省略されているから・・・」

 羽野くん綺麗な指しているなぁ、いつもその指で私のこと触ってるんだな・・・。

「結城さん?」
「あ、ごめん!説明ありがとう!すごくわかりやすかった!」

 羽野くんに邪な感情を抱くことが増えた。以前より具体的に。
 今みたいにぼーっとしてしまって羽野くんに心配されることも増えている気がする。気をつけないと。
 内心の動揺を気取られないように、慌てて課題の続きに取り掛かる。羽野くんの視線を感じるけれど、無理矢理意識を向けないようにする。

 それから二時間ほど、真面目に課題に取り組んだ。昼過ぎに羽野くん宅を訪れたので、そろそろおやつ時だ。勉強すると甘いものが欲しくなる。
 羽野くんは私が家に行くたびにお菓子を出してくれる。甘えてばかりでは悪いので、私も毎回何か持参するようにしている。今日はずっと食べてみたかった新作のチョコ菓子をコンビニで買ってきていた。わくわくしながら開封すると、一つ取り出して口へ運ぶ。

「美味しい?」
「うん!はい、羽野くんも・・・」

 羽野くんが静止した。と思ったら、顔を真っ赤にした。どうしたんだろう、と思って私も固まった。
 ・・・何当然のように食べさせようとしてるんだろう。

「あ、ごめん、間違えた。えっと・・・」

 動揺しまくってあたふたしていると、羽野くんに手を掴まれる。そのまま顔が近づいたかと思うと指先からチョコが消えた。

「っ・・・」

 チロっと熱い舌で舐められて、指先に電流が走る。指先と羽野くんの視線から目を離せなくて、時が止まったように動けなくなる。

「結城さん・・・」

 名前を呼ばれただけ。ただそれだけなのに、羽野くんが何を欲しがっているかわかってしまった。身体が熱くなって手を引き抜こうとしたけれど、逆に強い力で引っぱられて羽野くんの腕の中に閉じ込められる。

「ん・・・っ♥」

 食べたばかりのチョコの味がする。
 羽野くんの口付けの気持ちよさを知っている私は、唇が合わさっただけで小さく口を開けてしまっていた。そんな反応を揶揄うこともなく、羽野くんは脳が蕩けそうなほど優しく丁寧に口腔を貪ってくる。
 舌をちゅうっと吸われて思わずため息が出た。力が抜けて羽野くんに寄りかかると、もっと強く抱き締められる。ちょっと汗ばんだ背中がTシャツ越しに熱を放っていて、もっとくっつきたくなって手を這わせると、羽野くんが身体を離した。キスもほどけてしまってちょっと寂しい。

 羽野くんは何も言わず、私の手を引いてベッドへ連れて行く。ベッドがギシッと小さく軋んで、今まで何回も同じことをしているのにひどくドキドキする。
 頬に手を添えられて自分の頬がかなり火照っていたことに気づくけれど、羽野くんの頬も同じくらい火照っているのを見ると、身体の奥から熱いものが溢れ出しそうになる。
 もう一度キスされてふにっとした唇の感触を味わっていると、下唇を甘噛みされて小さく吸われた。応えるように上唇を舐めて吸うと、羽野くんの舌に歯列をなぞられる。誘い込むように舌を出して先っぽを吸ったら、いきなりガバッと抱きしめられて舌を奥まで差し込まれる。ちょっと苦しくて身体を捩るけれど、腕の力は弱まらない。
 熱心に舌を吸われているうちに意識が朦朧としてくる。今までどうやって離れていたのかと思うくらいぴったり身体同時が寄り添っていて、このままずっとこうしていたい。

 すっかりキスに夢中になっていると、ちゅくっと淫らな水音を立てて羽野くんの唇が離れていった。そのままそっと押し倒されてもう一度小さくキスされる。額にも口付けられてブラウスの前ボタンが外されていく。
 薄手の白いブラウスは夏らしく涼しげで透けやすい素材なので、下に同じ色のキャミソールを着ていた。それをぐいっと押し上げるように持ち上げられると、ベビーピンクのブラが現れる。
 一瞬我に返ったのか、照れたような顔で手を口元に当てた羽野くんの姿に、股の間がキュンとする。早く触ってほしい。恥ずかしくて言うことができない気持ちを視線に乗せる。
 小さく息を吸い込んだ羽野くんの手がブラ越しに胸を揉む。刺激自体は弱いけれど、羽野くんに触られていると思うと気持ちいい。私の胸に夢中になってくれているのが嬉しい。

 胸を揉む力が少し強まったと思ったら背中に手が差し込まれたので、手伝うように背を浮かせる。開放された胸の上で震える二つの突起を見つけた羽野くんが息を呑む。
 まじまじと見られて隠したくなるけれど、どうにか我慢していると羽野くんの顔がそこへ近づいてきた。

「んぁっ♥」

 わかっていたはずなのに、声を抑えきれなかった。
 今まで散々恥ずかしい声を聞かれているけれど、それでも胸だけで蕩けた声をあげてしまうことに抵抗があって慌てて口元を覆う。

「声、聞かせて?」

 熱に浮かされたような声で羽野くんが囁く。

「んっ♥や、いやっ」
「聞きたい」
「羽野くんのへんたいっ!」
「そうだね、変態かも・・・結城さんの気持ちよくなってる声が好きなんだ」

 悪びれる様子もなく認めてみせた羽野くんにびっくりして目を見開くと、色気をまとった笑みを向けられる。

「そんなに嫌なら、我慢できなくなるくらい気持ちよくしてあげる」

 楽しそうにそう言われた瞬間鳥肌が立って、思わず両手で羽野くんの身体を押してしまった。でも逆に羽野くんの手に両手を絡め取られてシーツに縫い付けられてしまう。無防備に胸を晒した状態になったことに気づいて動揺しているうちに、悪戯っぽく口角を上げた羽野くんの唇が突起を包み込む。

「ぁっ♥ふっ♥うっ、んんっ♥んぁッ♥」

 ぴちゃ♥ぴちゃ♥ぴちゃ♥と濡れた音を立てて舐められると、腰がぞわぞわして太ももを擦り合わせたくなる。
 踵でシーツを蹴ってもがいていると、脚の間に陣取っている羽野くんが私の湿ったショーツ越しに昂りを押し付けてきた。もうすっかり硬くなっている。
 許しを乞うように口付けられて舌を吸われたら、早く欲しいという気持ちが溢れてしまいそうになって夢中で舌を吸い返す。

「結城さんも欲しかったの?」

 男の人の目をした羽野くんがそう言いながら、指を湿ったショーツに這わせてくる。欲しかった、なんて直接的な言葉を言えるはずがない。それなのに羽野くんが嬉しそうに笑ったので、私が何を考えていたのかバレバレだったらしい。
 羽野くんは性急な仕草で服を脱ぎ捨てて、私のショーツも脱がしてしまった。すぐにすっかり勃ち上がっていたクリトリスを撫でてくる。触れるか触れないかぐらいの強さで、ひどく敏感になっているそこをくすぐられると腰が震えてしまう。

「大丈夫?痛くない?」
「んっ♥うん、大丈夫・・・」
 
 まだ羽野くんを受け入れていないのに、こんなに気持ちよくなって大丈夫なのかな。痛みよりもそっちの方が心配になる。

「ふ、ぅっ♥んっ♥あ、そこ♥」
「ここだよね?いつも気持ちよくなっちゃうとこ」

 くちゅっ♥ぴちゃっ♥と濡れた音が耳を犯す。繊細な指遣いで突起を撫でられて、お腹の奥で快感が積み上がっていく。
 馴染みのある感覚が湧き上がってきて目をつぶる。このまま果ててしまいそうだ。

「まだダメだよ、イッたら」

 あともう少し、というところで指が止まった。戸惑いながら羽野くんを見上げる。
 今までこんな中途半端に止められたことなんてなかったのに。

「声を我慢できなくなるくらい気持ちよくするって言ったよね?」

 そう言って楽しそうに笑った顔がまるで別の人みたいに見えて、ちょっと怖いような恥ずかしいような気持ちが混ざり合う。戸惑う私を満足げに見つめて、羽野くんがもう一度突起に指を這わせてきた。

「ひっ♥んっ♥んんっ♥んぁっ♥」

 おあずけされたからか、さっきよりもずっと刺激が強くて、大きな声が漏れそうになる。でも何となく羽野くんの思い通りになるのが嫌で、グッと耐えていると面白くなさそうな羽野くんの声がした。

「ふーん、がんばるね」

 秘部の指を動かしたまま、胸の突起を食まれる。

「はふっ♥んぁ♥それ、だめ♥だめになるっ♥」
「いいよ、もっともっと可愛い声を聞かせて?」
「や、いじわる♥」
「意地悪じゃないよ、ただ気持ちいいことをしてるだけ」

 だから可愛い声を聞かせて。
 ねっとりと指で刺激されながら耳元で囁かれたらもうダメだった。

「ぁああーーーっ♥♥♥」

 びくんッ♥びくんッ♥びくんッ♥と弾けるように身体が上下する。凄まじい快感に飲み込まれて溺れたように息をしていると、羽野くんが股の間に顔を埋めた。

「っ、だめ♥いま、ーーーーー~~~~~ぁっ♥♥♥」

 脳が焼き切れそうなほど鮮烈な快楽に、一瞬意識が遠くなる。

「挿れていい?」

 頬を赤く染めた羽野くんが、腰に手を添えて熱い塊の切先を擦り付けてくる。ふわふわした意識のままなんとか頷くと、水気を帯びた秘部をぬちょ♥ぬちょ♥と往復されて腰が揺れる。

「んぁっ♥♥♥あっ♥♥♥あっ♥♥♥」

 擦るだけじゃ物足りない。早く中に入ってきてもっと奥までぐちゃぐちゃにしてほしい。

「はのくっ♥♥♥おねがぃ♥♥♥いれてぇ♥♥♥」

 恥ずかしくなるくらい甘ったるい声で懇願すると、一瞬羽野くんの動きが止まった。と思った次の瞬間。
 ズプププププッ♥と勢いよく熱杭が押し入ってきた。

「あぁぁッ♥♥♥♥♥」
「はぁっ、きっつ・・・っ」

 眉間に皺を寄せて呻くように呟いた羽野くんが、奥へ奥へ入り込んでくる。気持ち良さしか感じなくて、子宮口をぐいっと押すほど奥まで埋められる頃には、身体だけじゃなく心まで満たされていた。
 肩で息をする羽野くんがどうしようもなく色っぽい。ぼんやりとその姿を見つめていると、身体を傾けてきた羽野くんにキスされる。

「んっ♥んっ♥ちゅっ♥んちゅっ♥」

 ぐちゅっ♥ぐちゅっ♥ぐちゅっ♥パン♥パン♥パン♥と淫らな音が響いて、身体の熱が最大まで高まっていく。
 熱を吐き出すための口を塞がれて、揺れる腰を押さえつけられるように律動を早められると、逃げ場のない快感が子宮を大きく揺さぶる。
 やめてほしいのかやめないでほしいのかわからない。気持ちいいってことしかわからない。

「んーーー~~~っ♥♥♥♥♥」

 悲鳴は全て羽野くんに食べられてしまった。身体の痙攣が治まっていないのに、どちゅどちゅどちゅ♥と奥を突かれ続ける。

「ん~~~~~っ♥♥♥♥♥ん~~~~~っ♥♥♥♥♥~~~~~ーーーーーっ♥♥♥♥♥」
「っ、出る・・・っ!」
「ん”あ”っ♥♥♥♥♥」

 最奥で羽野くんの熱が弾ける。膜越しに吐き出される精子が欲しくて、ぎゅうぎゅうに締め付けてしまう。

「はぁ、っ、結城、さん、足離して・・・」

 気がついたら、羽野くんの腰を引き寄せるように足をクロスさせていた。まるで孕ませてほしいと言っているみたいだ。
 普通の精神状態であればありえない格好をしているとわかるのに、熱に浮かされたままの頭ではとても自然な体勢に思えた。むしろもっと深く交わるべきだと思ったので、一旦羽野くんの腰を開放して重たい身体を起こし、羽野くんをぐいっと押し倒す。荒く息をついている羽野くんを見下ろして、恍惚とした気持ちになる。

「ちょっ、まっ」

 羽野くんが慌てたように身体を起こそうとしたけれど、手で押し留めた。

「あっ、ゆうき、さん、やめっ」

 やめてという割に押し倒した瞬間からすっかり勃ち上がっていた昂りを中に招き入れると、ぎゅっ♥ぎゅっ♥と締め付けながら腰を前後に揺する。

「あっ♥♥♥はのくんっ♥♥♥きもちいいよぉ♥♥♥」
「っ、だめだ、また・・・っ」
「んっ♥♥♥もっとほしいの♥♥♥あっ♥♥♥そこぉ♥♥♥きもちぃ♥♥♥きもちいいよぉ♥♥♥」
「そんなに動いたらっ、はぁっ、・・・くっ、結城さんっ!」
「あ”っ♥♥♥♥♥ん”ぁっ♥♥♥♥♥」

 ビュクッ♥ビュクッ♥ビュクッ♥とまたたっぷり中に吐き出される。
 真っ赤な顔で震えている羽野くんが可愛い。もっと可愛い顔が見たくて胸の突起に舌を這わせる。

「うっ、ゆうきさんッ!」

 ちゅくちゅく♥レロレロ♥と突起を執拗に舐めしゃぶっていると、羽野くんの熱がまた膣壁を圧迫し出した。

「はのくん、えっちだね♥♥♥だいすき♥♥♥」
「・・・っ!」

 羽野くんが一瞬目を見張ったかと思うと、喉を鳴らした。ガシッと腰を掴まれる。

「結城さんのせいだから・・・ッ」
「ん”ぉ”っ♥♥♥♥♥」

 ただでさえ深く入る体位なのに、羽野くんが足を立ててごちゅごちゅ♥ごちゅごちゅ♥と腰を突き上げてきた。
 だめ、このままじゃおかしくなる・・・♥

「あ”っ♥♥♥あ”っ♥♥♥あ”っ♥♥♥あ”っ♥♥♥」
「っ、はぁっ」
「ふっ♥♥♥あ”っ♥♥♥またきちゃ♥♥♥きちゃうぅっ♥♥♥~~~~~ーーーーーっ♥♥♥♥♥」
「僕もっ、出すよ!」
「あ”ーーーーー~~~~~っ♥♥♥♥♥」

 勢いよく精子が吐き出されるのに合わせて、膣襞がぎゅうぎゅう収縮する。最奥にいる羽野くんがビクビク震えていて、愛おしさで胸が締め付けられる。

 力尽きて羽野くんの上に倒れ込むと、苦しそうに息を吐きながらぎゅっと背中を抱き締めてくれた。気持ちいい―――ただそれだけしか考えられなくて、羽野くんの腕の中で甘くため息をついた。


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