測量士と人外護衛

胃頭

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番外編⑥

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「な…おま…!」
「だからマキオがちゃんとオレのこと好きなンだってことは分かってるからねェ」
「そこまで分かっててなんで付き合ってねぇ認識になるんだ!」
 話を聞き終えクレスの脚の間に座っていた槇尾は立ち上がると振り返り見下ろす形でクレスを見た。
「お付き合いってなンか人間と人間の関係なのかなァって…?よく分かンないよ家族と恋人とお付き合いと何が違うのォ」
「それは……それもそうか」
 言われてみれば家族やら恋人やらなどは関係性を誰かに説明する為だけのていの良い言葉だ。この大陸に二人の関係はなんだと聞いてくる者はいないのだから槇尾とクレスが何かだなんて確かにそんなことどうでもよかった。
 ただ二人がどう在りたいか。
 それが大事なのだろう。
「んじゃ今お互いの認識が一致したつーことだな」
「そーだねェ」
 クレスが頷けば槇尾も笑う。ニッと笑う槇尾の顔が好きで意地悪な笑みも豪快な笑い方も好きだが嬉しそうに目を細めて笑う槇尾のこの顔がクレスは一番好きだった。
「よし!さっそくヤルか」
「………ン?」
 突然の宣言に頭を傾げれば槇尾はTシャツに脱ぎ始めクレスは慌てる。春とは言え夜はまだ肌寒い。毛も羽もない人間では風邪を引いてしまうかもしれない。
 の前に、ヤル…????
「お前は脱がなくていいから楽だな」
「ちょっと!待って!何する気なのかなァ~…なんて」
「あ?だからお互いの認識が合わさったんだからヤるだろ、セックス」
「セックス…!?」
「ん?お前の場合だと交尾になるのか?まあどっちでもいいか」
「待って!待って!いきなりすぎない!?」
「気持ちが盛り上がってるうちにヤる方がいいだろ。いいか、ヤリてぇ気持ちはあるが怖いもんは怖いんだからな!知ってんだぞお前のちんこのデカさ!」
「ギャ!どどどど、どこ触って…!!!」
 通常鳥類は総排出腔と呼ばれる便・尿・生殖、雌の場合は産卵の役割を全てを担う穴がある為に通常ペニスを持ち得ない。それはペニスを形成する生体組織を殺す遺伝子を持つが故の消失と判明したらしいがクレスは普通の鳥と訳が違う。
 生態調査という名の好奇心で寝ているクレスの体を弄ったことがあるが断じて夜這いではない敵情視察も兼ねていたと後に槇尾は弁明する。
 万が一、奥が一にでもクレスと性行為をする可能性があるかもしれないと気付いた槇尾はまず考えた「どちらが受け入れる側なのか」と。
 槇尾はヘテロだ。
 女性としか経験はない。本来であれば体格差もありクレスに受け入れる側をしてもらった方が楽なのだが彼の体内構造を知り得ないのが難点だ。それに比べて人間はこの長い愚かな歴史の中で世界を破壊し飢餓に苦しみ子を産むなと国から御触れが出ているので自然と同性同士の行為が増えた。軍内でもそういった行為は少なくはなく、さらに槇尾は医者なので一般人よりはその方面への知識は多い。
 つまり何が言いたいか、人の体は柔軟だ。
 ある程度の大きさならば時間をかけ拡張さえ出来れば挿入可能だろう。そうなれば受け入れる側は槇尾だ。
 (頼む~~!ねじれてたり、突起が付いてたり、鋭そうなのはやめてくれ~~~!)
 馬鹿みたいな願いを込めて丸太に上で座りながら眠るクレスの股の辺りを探ればスリットを見つけそおっと開けばみっちりとペニス(らしきもの)が収納されていた。
「ンン…」
「おっと」
 不快そうに唸るクレスに息を潜めすぐにスースーと寝息を立て始めたのを確認し息を吐く。今晩の食事に睡眠薬を入れたのだがクレスにも効いたようだ。
 流石にこの中に手を突っ込むのは衛生的にも倫理的にもマズいのは槇尾も理解している。触診するようにぐっぐっと腹の上から押し大きさと形を推測するに5、6センチといったところだろうか。やけに小さい気もするがそんなものかと安堵しながらも確認の為に更に揉み込むように撫でるが羽毛が邪魔で中々分かりにくい。
 (うーん…ま、ペニスがあるってことが分かっただけ良しとするか)
 そろそろ起きてしまっても困ると手を引っ込めようとしてクレスの羽が槇尾を抱き込むように包んだ。
「!?」
 一瞬起きたかと焦ったが見上げれば目は依然閉じたまま。
「ん?」
 良かったと一息付いたのも束の間。クレスの腰が槇尾に擦り付けるように動き出しスリットの辺りがぐぐぐと膨らむと中からずろんと薄ピンク色の粘液を纏った巨大なペニスが飛び出し槇尾の顔面を叩いた。槇尾の顔よりも長く根は太いが先端部分、いわゆる亀頭にあたる箇所は人間のようにカリはなく少し細まっていた。と言っても5センチ幅はあるだろうか、槇尾がクレスのペニスの全長だと思って触っていたのはこの先端部だったようだ。
 槇尾が刺激したせいで勃起し中から出て来たらしいソレは太く猛々しくそびえ、ビキビキと脈立ち熱を帯びていた。凶器になりえる怒張に怯み逃げようにも羽で体を囲われ動けない。そのまま腰を揺らそうとするクレスの動きを察知し槇尾は思わずペニスを両手で掴み自分の顔に当たらないようガードする。こんなものを顔面に擦られでもしたらひとたまりもない!
 しかしながらこんな状態にしたのは槇尾だ。
 ならば責任を取らねばならまいとクレスの股下でしゃがみ込んだまま上下に扱いてやる。
「ン…」
 起きてしまえば仕方ないそのまま行為に突入だと覚悟を決めたがどうにもクレスは目を覚ましそうにない。睡眠薬が相当効いてるのだろうか。大丈夫か…?まあ大丈夫だろ。
 柔らかくそれでいて芯のある硬さあるペニスを掌でゆっくり上下に擦るとビクビクと手の中で小さく脈立つ。その小さな反応が可愛いと思いながらも目の前にあるのは獰猛な肉棒。ダラダラと漏れ出る先走りを手に纏わせ水音を立てながら擦ってみるが刺激が足りないのかクレスの腰がヘコヘコと動く。淡い刺激をダラダラと与えられるのも苦痛だろう。意を決して先端をちろりと舌で舐めてみると少し苦くてしょっぱい。弱い部分なのかビクリと大きく反応を見せたのでそのままペロペロと舐めてやり竿の部分も継続して手で擦るとクレスの吐息が漏れる気配。誰かに見られれば何とも情けない顔をしているだろうがクレスは寝てるしここには誰もいない。ならばなりふり構わずクレスの熱を解放させてやることを優先しようと口をめいっぱい開き先端を頬張りぢゅっと吸えばビクリと大きく脈打ち粘着質な体液が口の中から喉奥にまで広がり槇尾は思わず咽せ口を勢い良く離した。
「ッ、ゲホッ!ゴホッ!ゴホッ!はぁっ、はぁ…あ"ー、喉痛ぇ…」
 器官に入ったのか喉が引き攣ったように痛む。次やる時は気を付けなければならない…と不思議と次回のことを考えながら熱を解放したことで萎え小さくなったペニスを眺めた。勃起時で直径25センチ、幅5センチ、根元になるほど太くなるが…まあここまで挿れることはないだろう。そんなことをすれば槇尾の腹は確実に裂ける。
 先端の残り汁を拭いてやりスリットの中に納め体を拭い服は全て水で洗えば完全犯罪の出来上がりだ。
 気持ち良さそうにグースカ寝ているクレスの横で槇尾は眠りに付く。ペニスはあったし射精も出来たこれならばセックスは可能だ。ただあのペニスを本当に肛門に挿れるのか…それはまたいつか考えようと未来の自分に託した。

 と、まあ槇尾は過去を回想しながらもクレスにそのことを伝える気はない。薬で眠らされている間にペニスを弄り射精させたなんて言えば多分この鳥は飛び上がりそのまま大空へと駆けて行くだろう。
「マキオ!ねェどこ触ってンの!?」
「だからちんこ」
「ちちちち…!俺そんなの持ってないよォ!」
「は?まさかお前触ったことねーの」
「なぁにが…ぐすん」
 ぺしょりと泣く大きな鳥を唖然と見上げまさかと嫌な予感が走る。
「自分のここになにが入ってるのか知らなかったのか…」
「???」
 羽毛を掻き分けスリットをほれと見せてやれば首をグッと曲げ自分の股下にある切れ目の中にあるみっちりとしたナニカにクレスは驚きの声を上げた。
「なにこれ!!」
 親も同類もいないクレスには自分の生態を知る術はない。腹が減れば何かを口にしアレは上手いコレは不味い、糞尿が溜まれば意識せずとも排出する。ムズムズと不快だと思えば水を浴び本能的に空を飛び狩りをした。そのムズムズが発情期なのだがクレスは気付かずここまで生きてきた。性を知らない真っ新な生き物に槇尾は無意識に喉を鳴らす。小児性愛者でも処女厨でも童貞好きでもないが無垢な相手に性を教えることへの背徳感は中々に唆るものがある。
「ねぇ……なにその顔…」
 思わず笑みが溢れていたらしい。
「まって…マキオ…!なんか怖いこと考えてるンじゃないの…!?」
「大丈夫だ優しくする」
「まって!ねェ!!ほんとに…!!!」
 穏やかな春の夜の森にクレスの悲鳴がこだました。
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