魔法学園最弱の俺が英雄に

結城 もみじ

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第二十二話 奴隷

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 闘技大会から早くも三ヶ月が経った。
 異世界に来て三ヶ月も経てば学園にも慣れてくる。
 それに色々分かったこともあった。
 まず一つは貴族が全て。貴族が優先な世界なことだ。道も貴族が通る為真ん中を歩くことは許されないことや、ある街では市民から金を巻き上げて格差が急激に開いたこともあった。

 今の力は王女>貴族>市民>奴隷とミアに以前聞かされた。
 奴隷は賊が捕まえたり、罪を犯した場合になることだ。
 そういったものは、帝都の方の奴隷市場に出される。前の世界で言えばオークションみたいなシステムだろう。
 値段は若い女性が一番高く人気も高い。男性は値段が安く力仕事に向いてるため、農民の為に買う貴族も居るとか……。
 若い女性の奴隷は値段が高いため、基本は貴族が買う物となっている。

 そして今現在カケルの腰には幼い子供が怯えながら、しがみついていた。
 その子は『お願いです!今すぐ私を買って下さい』と涙を浮かべながらしがみついてるのだ。
 そうこの子は奴隷なのだ。

 どうしてこんな状況になったかと言うと……。


 一年生は大きなイベントの一つの闘技大会が終わったが、まだイベントはある。
 それは迷宮攻略遠征。
 迷宮は帝都にあり、毎年一年生はそこへ力を付けるために遠征に行くことになっている。
 遠征と言っても合宿みたいに行動に制限があるわけでなく、周りに迷惑をかけない程度の行動は許されている。

 迷宮攻略は班で行われることになっている。
 この前後片付けをした斑で攻略することになった。
 そうもしないと、いつまでも決まらないと教師が判断したからである。

 帝都までは馬車で行くことになって、大体一日半で到着すると聞いた。
 カケル斑は馬車に乗り楽しい話をしていたが、次第に睡魔が襲い眠りに就いた。これはカケル班以外も同じだった。
 食事は教師が食材を配り、調理をすることで団結力を高める良い機会だった。

 帝都に着くと皆はずっと座っていた腰を伸ばし、気持ちよさそうだった。
 その後は各自荷物を持ち、宿へ向かった。
 宿は班で大きな一部屋を使うことになっている。
 
 「おお!!狭い部屋だと思っていたけど、案外広いな」

 「そうですね。思ってたより広いですね」

 ギルが部屋に対してコメントしたのを、セレスが反応したからなのか頬が赤くなっていた。

 『まあ確かに広いなー。中学の時の修学旅行の宿ぐらい広いかな?
 高校は行けてないてないから、高校の修学旅行ぽくて良いな。
 確かこの後はフリータイムなんだっけ?ミーニァさんや、アイさんや、ミア先輩にお土産でも買いに行くか』

 フリータイムは班関係なく自由に動けるので、カケルにとって有り難い時間のはずだった。
 
 お土産は食べ物系だと腐ってしまうので、アクセリーを買おうと露店を回っていたところで足に何か当たる感触があった。
 なにかと思い下を向くとそこには、ボロボロの服を着た女の子だった。靴は履いておらず、裸足だった。

 『ぼく?と聞くのはおかしいか。だって女の子だもんな。
 どうしよう……。
 うん!これでいこう!』

 「お嬢ちゃん?どうしたんだい?」

 カケルは曲げた膝に手を置きながら訪ねた。
 怖がらせないように、優しい顔で。

 その顔を見た女の子は涙を浮かべらこう言った。

 「私を買って下さい!!」

 「……はひ?」

 
 そして今と至る。

 『ああ~これがミア先輩が言っていた奴隷というものなのか。
 周りは差別する目で女の子を見てるけど、気にすることなのだろうか。
 というかこの状況どうすれば良いのかな?』

 そんなことを考えていた時、向かいから『おい!あの女の奴隷はまだ見つからないのか!』と怒りがこもった声が聞こえた。
 体がここにいては危険と警告を鳴らしていたので、ひとまずここを離れることにした。

 「ここは危ないから、離れよう」

 女の子を手をしっかりと掴み、何があっても良いように宿の裏まで走った。
 二人とも息が上がっていたので、落ち着くまで無言だった。
 カケルは女の子の息が整うのを見て、話しかけた。

 「買うっていくらなの?」

 今お金を持ってないので買うことは出来ないが、遠征終了までだと値段によっては買えることもある。
 何故かって?それは迷宮にはモンスターが湧いており、モンスターを倒すとドロップアイテムを落とすことがある。それを迷宮受付に持っていくと換金してくれるのだ。ドロップアイテムは上の階層に行くほどレアになっていく。大金を稼ぎたい人は大体上位階層で狩りをしている。
 カケルも上位階層で狩りをすれば大金は稼げるのだ。

 女の子はあまり言いたくなかったからなのか、小さな声で答えた。

 「三十万ワード」

 うわー女の子ってこんなにするの?
 頑張れば稼げなくもないけど、どうしよう。
 そういえば買って欲しい理由聞いてなかったな。

 「ねえ。どうして僕に買って欲しいと頼んだの?」

 「そ、それは……優しそうだったから」

 「他には無いの?」

 「…………本当はねきぞくの人に買われることになってたの。でもね私知っちゃったの」

 「なにを?」

 「私みたいな幼い子をごうもんきぐで楽しそうに殺すことを」

 『酷いな。
 それを聞いて逃げるのも分かる。
 自分だって逃げるもん絶対。
 助けよう。うん!助けよう!!』

 カケルは別にヒーローを演じたいわけではない。
 昔から弱い物には手を差し出したい人なのだ。その思いは高校時代のいじめをきっかけに強くなった。

 「良いよ。今は無理だけど何日まで待てる?」

 女の子は意外な答えが返ってきたことに驚き、顔を上げた。
 そしてゆっくり落ち着いて答える。

 「分からない。泊まる場所がないから……」

 また女の子は落ち込み表情は暗くなった。

 「よし。じゃあ付いてきて。僕らが泊まる宿に連れって行くよ」

 そしてまた顔を上げ、驚いた。
 そしてすぐに不安そうな表情に変わった。

 「でも良いんですか?私みたいな重い荷物が宿なんかに。それに宿の部屋には仲間が居る感じだし」

 「僕が良いと言ってるんだから安心してよ。それに荷物なんかじゃないんだから。安心して」

 女の子は安心したのか、再び泣き出した。
 カケルは膝立ちで女の子を優しく抱いてあげた。
 抱きながらカケルは決心していた。

 『もうこの子を悲しませない。
 あんな貴族なんかに渡すわけにはいかない。
 僕が守るんだ。
 そのための力なんだから』
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