8 / 68
第2章 図書館での冒険
第8話 図書館の最初の謎とふたりの決意[4]
しおりを挟む
図書館の最深部、階段の先にある資料保管室。
開架ではない、閉じられた扉の向こう、職員しか立ち入れないその部屋へ、ふたりは静かに忍び込んだ。
鍵はかかっていなかった。
けれど、中に入った瞬間、息が詰まるような空気に包まれる。
ホコリの匂い。紙のにおい。静かすぎる空間。
「……あった」
そらたが、小さな棚の最下段に、やや厚めの古い本を見つけた。
カバーもなく、タイトルも色褪せかけていたけれど――確かにそこには書かれていた。
『まほうのとびら』
なつみがその本を両手で抱きしめた。
「お姉ちゃん……やっぱり、ここにいたんだね」
その声は涙交じりだった。
けれど、それは悲しみの涙ではなかった。
「行こう。とびらの前へ」
ふたりは再び、地下の“秘密の扉”へと向かった。
本を開くと、最後のページに一枚のしおりが挟まれていた。
手書きのメモがそこにあった。
『まほうのとびらは、きっとひらく。
あなたが、あなたのままでいられるなら』
――お姉ちゃんより
その文字は、なつみの記憶にある、お姉ちゃんの筆跡だった。
震えそうな手で、なつみはその本を壁に向かって差し出した。
――その瞬間、扉の中から、カチリ、と何かが外れる音がした。
「動いた……!」
ごうん、と低くうなるような音。
そして目の前の壁が、まるで幻のようにかすれ、奥に隠されていた通路がゆっくりと現れた。
「……ほんとうに、“まほうのとびら”だったんだ」
なつみがぽつりと呟いた。
そらたは、横に立つなつみを見て、静かに言った。
「この先に何があるか、わからないけど……一緒に行こう。なっちゃんが“ゆうしゃ”で、僕が“魔法使い”なんだから」
なつみはこくんと頷いた。
その顔に浮かんでいたのは、勇気と、決意と――少しの不安。
けれど、それでも前に進む強さが、彼女の背中にはあった。
ふたりは手を繋ぎ、ゆっくりと“まほうのとびら”の奥へと歩き出した。
まほうのとびら―――。
大人にとっては、ただの図書館の一角にある古いドアでもふたりには冒険を予感させるまほうのとびらに見えた。
――それは、ふたりの“冒険”の、ほんとうの始まりだった。
開架ではない、閉じられた扉の向こう、職員しか立ち入れないその部屋へ、ふたりは静かに忍び込んだ。
鍵はかかっていなかった。
けれど、中に入った瞬間、息が詰まるような空気に包まれる。
ホコリの匂い。紙のにおい。静かすぎる空間。
「……あった」
そらたが、小さな棚の最下段に、やや厚めの古い本を見つけた。
カバーもなく、タイトルも色褪せかけていたけれど――確かにそこには書かれていた。
『まほうのとびら』
なつみがその本を両手で抱きしめた。
「お姉ちゃん……やっぱり、ここにいたんだね」
その声は涙交じりだった。
けれど、それは悲しみの涙ではなかった。
「行こう。とびらの前へ」
ふたりは再び、地下の“秘密の扉”へと向かった。
本を開くと、最後のページに一枚のしおりが挟まれていた。
手書きのメモがそこにあった。
『まほうのとびらは、きっとひらく。
あなたが、あなたのままでいられるなら』
――お姉ちゃんより
その文字は、なつみの記憶にある、お姉ちゃんの筆跡だった。
震えそうな手で、なつみはその本を壁に向かって差し出した。
――その瞬間、扉の中から、カチリ、と何かが外れる音がした。
「動いた……!」
ごうん、と低くうなるような音。
そして目の前の壁が、まるで幻のようにかすれ、奥に隠されていた通路がゆっくりと現れた。
「……ほんとうに、“まほうのとびら”だったんだ」
なつみがぽつりと呟いた。
そらたは、横に立つなつみを見て、静かに言った。
「この先に何があるか、わからないけど……一緒に行こう。なっちゃんが“ゆうしゃ”で、僕が“魔法使い”なんだから」
なつみはこくんと頷いた。
その顔に浮かんでいたのは、勇気と、決意と――少しの不安。
けれど、それでも前に進む強さが、彼女の背中にはあった。
ふたりは手を繋ぎ、ゆっくりと“まほうのとびら”の奥へと歩き出した。
まほうのとびら―――。
大人にとっては、ただの図書館の一角にある古いドアでもふたりには冒険を予感させるまほうのとびらに見えた。
――それは、ふたりの“冒険”の、ほんとうの始まりだった。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる