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第44話ランガの森ダンジョン編㉕

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「ベックのアドバイスを受けてミラー大隊長にコースの迂回を進言した時、まともに聞こうともせず急に怒り出して……ずいぶん慌てているように見えたわ」
「部隊を放り出して単独行動とは大胆だな。ミラーの野郎、ますます怪しくなってきたぜ」
 オリバーが薄暗い森の奥に視線を向ける。
「急いでミラーに追いつかなくちゃ!」
 マリアが慌てて立ち上がった。
「確かにそれは大事だが、その前にお嬢さん方のその状況を何とかするのが先決だ」
「ここから少し先の北東に泉があります。そこで体を洗えますよ」
 ベックの提案にオリバーが頷いた。


 マリアとベネディクタは泉の水でモンスターの体液を洗い流した。2人ともモンスターに上衣を破られたため、ベネディクタの部下が騎士団の制服を用意してくれたものの、巨乳のせいでサイズが合わずに断念した。

「お、おいっ。2人ともなんて恰好してんだよ!」
 上衣を着ないでブラジャーのまま戻って来た2人にベックが動揺する。
「うるさいっ、見るな! 仕方ないでしょ。胸が邪魔で制服入らなかったんだから……」
 マリアが恥ずかしそうにIカップの谷間を両手で隠す。
「ハルトが作ってくれたブラだから、戦闘において全く問題ないわ」
「別の問題おおありだと思うが……」
「……問題ありません」
 ベネディクタがJカップの谷間を手で覆いながら冷静に答える。
「ヘルトリング中隊長、顔赤いぞ。その恰好は無理があるだろ。意外に頑固だな」
「赤くありませんし、無理してません。オルトリンガム中隊長が直視なさってるのが若干気になるだけです」
「こりゃ失敬」
 オリバーはおどけた顔で言いながら視線をそらした。

「で、これからミラーを追いかけてダンジョンへ向かう。その後はどうするんすか?」
「相手の出方次第だな。部下にも伝えたが、身内同士でやりあう可能性もあり得る。ミラーが抜けた後にダンテスの部隊が離脱してる。アイツはミラーの腰ぎんちゃくだからな」
 ベックの質問にオリバーが答える。
「まずは、ミラーに追いつく。そして彼の目的を明らかにする。これでいいかしら?」
 ベネディクタの発言に一同が首を縦に振る。
「ミラーに直接問いただしても本当のことはしゃべらないわよね? ダンジョン内を密かに尾行して確かめるのはどうかしら?」
「マリアの言うとおりね。オルトリンガム中隊長、いかがですか?」
「ああ、その作戦でいこう。なるべく戦闘は避けたいが、向こうがその気ならためらうな」
 オリバーが真剣な表情で語り、確認するように全員の顔を見つめた。
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