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第二章 動き出す関係(溺愛
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ふぅーん。
志摩子伯爵令嬢は田舎者丸出しに王宮を見渡した。
剛崎王宮はダイヤモンドが会場に埋められていて、白を基調にしているけれど、
至る所にエメラルドが埋め込まれているのね。
綺麗だわ。
コーヒーのパッケージも王国で作るのであればパッケージ時代に付加価値をつけるのもいいわね。
もし王宮御用達にしてもらえるのであれば、王宮のコンセプトや王国に合わせてパッケージのデザインを作るのもいいだろうし。
自国でもお土産用になるようにパッケージを剛崎王国の国旗にしてもいいわね。
「お一人ですか?」
王宮のドリンク置き場に移動したときだった。
一人の20歳くらいの男性が話しかけてきた。
志摩子は決して絶世の美女というわけではないが、美しい娘には違いない。
「ごきげんよう。今は一人です」
にっこり微笑み答えると、男は志麻子を頭のてっぺんから足元まで見る。
「初めてお会いするね。どこのお姫様かな?」
「姫ではありません。剛崎誠一皇太子殿下より指名され、1週間前に婚約者になりました。コーヒーの品評会で"2位"に輝いた篠田伯爵の長女志麻子でございます」
「あぁ。君があの噂の」
「学がない故、申し訳ございません。高貴なるあなたは・・・?」
「僕はマイサラン王国の第2王位継承者。マイサラン・ディだよ」
「改めて。お初にお目にかかります。他国の王宮での夜会は初めてで途方に暮れていたのでお声がけくださり感謝しております」
志麻子はにっこり微笑み言うとそれをきっかけに周囲は志麻子に視線を向けた。
「あなたが誠一皇太子殿下が指名した婚約者さんね。お噂は聞いているわ」
「篠田伯爵家の令嬢と言えば若くして、領地の公共施設を整え。次期領主は有能だと噂が広まって、移住者が多いとか」
「篠田コーヒーは知っているわ。2位に入賞したのね。おめでとう」
一人の婦人は褒めると志麻子はにっこり少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。
王宮で行われるパーティーは全てが公式の場。
そこで誰かと仲良くなることは今後の領地運営においても吉でしかない。
「お褒めに預かり光栄でございます。ありがとうございます」
誠一皇太子殿下は気まぐれで成り行きとはいえ。
私を婚約者に指名し、初めての他国の王宮での夜会だというのに放置して。
なんて怒ることも悲しむこともできるし。
おどおどとして、会場の隅っこで時が過ぎるのを待つこともできる。
けれど、そんな事をしても何の意味もない。
時間は有限なのだ。
この状況を有益に使おう。
剛崎王宮から支給された今日のパーティーに参加をするための今着ているドレス。
宝石。
全てにおいて国民の血税なのだ。
無駄になんてできない。
「ダンスを一曲どうかな?」
「一曲目は婚約者と踊るのが慣習です。2分ほどお待ちいただけますか?」
前回と同じね。
人脈を広げる機会は無下にできない。
志麻子は挨拶を受けている誠一の側にニコニコとしながら近寄ると、そっと、話が切れるのと同時に誠一の腕を引っ張った。
「殿下は私には1ミリも興味がないですよね?私、領地反映のダニ他国の王子と踊って来ます!礼儀に反さないという解釈でよいですよね?」
「待て」
「指さし婚約者無勢に個人的感情や、時間を割くことは求めませんが。殿下の許可なく踊ることにより我が篠田伯爵領に不利益が降りかかることは望んでおりません」
ハッキリと言いきる志麻子に誠一は志摩子の腰に手を回すとダンスを踊り出した。
「殿下?」
「慣例は守る主義だ」
「さようでございますか」
「・・・何を考えている」
誠一は心ここに在らずでダンスを踊る志摩子を見下ろす。
この女の頭の中が気になる。
だから聞いてみた。
「今夜だけで、3か国は人脈を広げ。コーヒー貿易を計画しています」
「ちゃっかりしているな」
「勿論でございます。領民が頑張っているのに私が頑張らないわけにはいきません」
「ほう」
誠一は面白そうに頷くと志麻子を抱きしめた。
「前も思ったがお前は他の令嬢とは違うようだ」
「私の友人は私と同じ考えの者が多く存在しています。殿下の取り巻きに少ないだけだと思います」
誠一は志麻子を見下ろす。
面白い。
顔を見ることなくどこの娘かも認識することなく指名したが・・・。
興味をそそられる。
「この後は俺以外の誰と踊るつもりだ」
「一人で立っていた私に話しかけ。人脈を広げる足掛かりをしてくれた男性です」
「ほう」
志摩子は賢い。
踊る相手の名前は把握しているはずなのに名前を言わないことにも。
俺以外の男と踊ることにも誠一は心がもやっとするのが分かるが。
放置していたのは自分だ。
「放置されていたことに講義をしないのだな」
「講義も何も。誠一皇太子殿下は私の名前も年齢も知らず。婚約者にあの場の成り行きで仕方なく指名しただけのこと。誠実で、正義感と責任感のある殿方であれば気を遣うでしょうが・・・。殿下は国事以外については不誠実、不正義、不正論者。“せい”いちと“せい”が付くとはいえ、真実の愛をみつけるまでは、良識ある娘であれば期待しないでしょう」
「うるせぇ」
少しバツが悪そうに言うと志麻子はすでに曲が終わっており、すっと誠一の胸板を押す。
「それでは失礼いたします。殿下」
***
夜会も終わりの頃。
「うっぷっ」
誠一皇太子殿下に好意をもってる代名詞でもある。
ルネサンティカ皇女の従姉妹、ルルカベル王女一派から差し出されるグラスをジュースだと思って飲んでいたけれどお酒だったのね。
なんだか気分が凄く良いわ。
志摩子は小さなゲップをもらす。
歌いたい。
踊りたい。
ふふふ。
これが“酔う”ってことなのね。
志麻子はふふふっと少し、誰にも分からないようにげっぷをした時だった。
「未成年に飲ませたのは誰だ」
誠一は志麻子の前に立つ。
「あらぁ?殿下。私は楽しんでいるので、お気になさらなくて大丈夫でございますよ。ふふふ」
何をどのくらい飲まされた?
誠一は志麻子の飲んでいたグラスを調べろと淳二に指示を出す。
王宮でのパーティーでは未成年者にお酒を提供されることはない。
成人者が悪意をもって、酒を分かっていなから志麻子に渡したのは間違いない。
腹立たしい。
俺の"婚約者"に何をした。本当に腹立たしい。
志摩子伯爵令嬢は田舎者丸出しに王宮を見渡した。
剛崎王宮はダイヤモンドが会場に埋められていて、白を基調にしているけれど、
至る所にエメラルドが埋め込まれているのね。
綺麗だわ。
コーヒーのパッケージも王国で作るのであればパッケージ時代に付加価値をつけるのもいいわね。
もし王宮御用達にしてもらえるのであれば、王宮のコンセプトや王国に合わせてパッケージのデザインを作るのもいいだろうし。
自国でもお土産用になるようにパッケージを剛崎王国の国旗にしてもいいわね。
「お一人ですか?」
王宮のドリンク置き場に移動したときだった。
一人の20歳くらいの男性が話しかけてきた。
志摩子は決して絶世の美女というわけではないが、美しい娘には違いない。
「ごきげんよう。今は一人です」
にっこり微笑み答えると、男は志麻子を頭のてっぺんから足元まで見る。
「初めてお会いするね。どこのお姫様かな?」
「姫ではありません。剛崎誠一皇太子殿下より指名され、1週間前に婚約者になりました。コーヒーの品評会で"2位"に輝いた篠田伯爵の長女志麻子でございます」
「あぁ。君があの噂の」
「学がない故、申し訳ございません。高貴なるあなたは・・・?」
「僕はマイサラン王国の第2王位継承者。マイサラン・ディだよ」
「改めて。お初にお目にかかります。他国の王宮での夜会は初めてで途方に暮れていたのでお声がけくださり感謝しております」
志麻子はにっこり微笑み言うとそれをきっかけに周囲は志麻子に視線を向けた。
「あなたが誠一皇太子殿下が指名した婚約者さんね。お噂は聞いているわ」
「篠田伯爵家の令嬢と言えば若くして、領地の公共施設を整え。次期領主は有能だと噂が広まって、移住者が多いとか」
「篠田コーヒーは知っているわ。2位に入賞したのね。おめでとう」
一人の婦人は褒めると志麻子はにっこり少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。
王宮で行われるパーティーは全てが公式の場。
そこで誰かと仲良くなることは今後の領地運営においても吉でしかない。
「お褒めに預かり光栄でございます。ありがとうございます」
誠一皇太子殿下は気まぐれで成り行きとはいえ。
私を婚約者に指名し、初めての他国の王宮での夜会だというのに放置して。
なんて怒ることも悲しむこともできるし。
おどおどとして、会場の隅っこで時が過ぎるのを待つこともできる。
けれど、そんな事をしても何の意味もない。
時間は有限なのだ。
この状況を有益に使おう。
剛崎王宮から支給された今日のパーティーに参加をするための今着ているドレス。
宝石。
全てにおいて国民の血税なのだ。
無駄になんてできない。
「ダンスを一曲どうかな?」
「一曲目は婚約者と踊るのが慣習です。2分ほどお待ちいただけますか?」
前回と同じね。
人脈を広げる機会は無下にできない。
志麻子は挨拶を受けている誠一の側にニコニコとしながら近寄ると、そっと、話が切れるのと同時に誠一の腕を引っ張った。
「殿下は私には1ミリも興味がないですよね?私、領地反映のダニ他国の王子と踊って来ます!礼儀に反さないという解釈でよいですよね?」
「待て」
「指さし婚約者無勢に個人的感情や、時間を割くことは求めませんが。殿下の許可なく踊ることにより我が篠田伯爵領に不利益が降りかかることは望んでおりません」
ハッキリと言いきる志麻子に誠一は志摩子の腰に手を回すとダンスを踊り出した。
「殿下?」
「慣例は守る主義だ」
「さようでございますか」
「・・・何を考えている」
誠一は心ここに在らずでダンスを踊る志摩子を見下ろす。
この女の頭の中が気になる。
だから聞いてみた。
「今夜だけで、3か国は人脈を広げ。コーヒー貿易を計画しています」
「ちゃっかりしているな」
「勿論でございます。領民が頑張っているのに私が頑張らないわけにはいきません」
「ほう」
誠一は面白そうに頷くと志麻子を抱きしめた。
「前も思ったがお前は他の令嬢とは違うようだ」
「私の友人は私と同じ考えの者が多く存在しています。殿下の取り巻きに少ないだけだと思います」
誠一は志麻子を見下ろす。
面白い。
顔を見ることなくどこの娘かも認識することなく指名したが・・・。
興味をそそられる。
「この後は俺以外の誰と踊るつもりだ」
「一人で立っていた私に話しかけ。人脈を広げる足掛かりをしてくれた男性です」
「ほう」
志摩子は賢い。
踊る相手の名前は把握しているはずなのに名前を言わないことにも。
俺以外の男と踊ることにも誠一は心がもやっとするのが分かるが。
放置していたのは自分だ。
「放置されていたことに講義をしないのだな」
「講義も何も。誠一皇太子殿下は私の名前も年齢も知らず。婚約者にあの場の成り行きで仕方なく指名しただけのこと。誠実で、正義感と責任感のある殿方であれば気を遣うでしょうが・・・。殿下は国事以外については不誠実、不正義、不正論者。“せい”いちと“せい”が付くとはいえ、真実の愛をみつけるまでは、良識ある娘であれば期待しないでしょう」
「うるせぇ」
少しバツが悪そうに言うと志麻子はすでに曲が終わっており、すっと誠一の胸板を押す。
「それでは失礼いたします。殿下」
***
夜会も終わりの頃。
「うっぷっ」
誠一皇太子殿下に好意をもってる代名詞でもある。
ルネサンティカ皇女の従姉妹、ルルカベル王女一派から差し出されるグラスをジュースだと思って飲んでいたけれどお酒だったのね。
なんだか気分が凄く良いわ。
志摩子は小さなゲップをもらす。
歌いたい。
踊りたい。
ふふふ。
これが“酔う”ってことなのね。
志麻子はふふふっと少し、誰にも分からないようにげっぷをした時だった。
「未成年に飲ませたのは誰だ」
誠一は志麻子の前に立つ。
「あらぁ?殿下。私は楽しんでいるので、お気になさらなくて大丈夫でございますよ。ふふふ」
何をどのくらい飲まされた?
誠一は志麻子の飲んでいたグラスを調べろと淳二に指示を出す。
王宮でのパーティーでは未成年者にお酒を提供されることはない。
成人者が悪意をもって、酒を分かっていなから志麻子に渡したのは間違いない。
腹立たしい。
俺の"婚約者"に何をした。本当に腹立たしい。
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