金と権力ある俺様王子が、最強令嬢を溺愛結婚する件

湯川仁美

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第一章 馴れ初めついでに日常をお見せします。

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ーーーまったく。
あのお殿下様ったら。
各部署のトップが集まる機密部の部屋に入ると麗子はどかっと椅子に深く座り足を組む。
それだけでも、周囲には機嫌が悪いことはあきらかで。
形の良い眉が吊り上がっているのだが、美人は怒れどその顔は美しい。
「どうした?殿下と喧嘩か?」
気軽に声をかけてきたのは我が国の医療を取り仕切る医療省・幹部の高山陸。
彼は29歳でこの部署には麗子と彼しか20代はいないため気軽に職場で話せれる唯一の同僚。
「そうかもしれません」
「なんだ?その曖昧は表現は?」
彼は麗子の座る椅子の前の机に腰を下ろす。
「今朝、私は皆さんに日頃の感謝の意を込めて、義理チョコを一人一人のイメージに合わせて渡したでしょう?」
「あぁ。一粒食べたが、おいしかった。ありがとう」
「どういたしまして。・・・。それでね、玄翠お"殿下様"もたくさん義理チョコを貰っただろうから要らないだろうけど、こんなものは気持ちだし。・・・私、一応、彼女だし。配達ついでに、玄翠の義理チョコを下さる方々。ホワイトデーに顔見知りや高位なる方々にはお礼をしなきゃいけないわとっと思って、整理をする為に執務室にいったわけ」
「うん」
「そしたら。あいつ、俺様がチョコを沢山もらって心配かっですって」
麗子は机に頬杖を突き、その上に頭をのせる。
「心配かと聞くくらいなら、心配させるようなことはしなきゃいい。嫉妬されるなら、嫉妬するような真似はしなきゃいい。そういう、人を試すような言葉や行動は嫌いよ」
ふんっと麗子は言うと抱えていたパソコンを机に出す。
文句を言っても仕方がない。仕事をしよう。
「一つ言っても良いか?」
「何?」
「執務室はいちゃつくところではないぞ?」
「いちゃついてなんてっいないわよ!」
ふんっと麗子は顔を少し赤つつも鼻を鳴らす。
「・・・そういえば、麗子って。殿下といつから付き合ってるんだっけ?公爵令嬢ながら働いているとはいえ。令嬢なんだからとっくに・・・」
陸はそこで言葉を切って後は続けない。
「とっくに結婚してていい年齢でしょう?」
口籠った陸に麗子は続きを言うとため息を吐く。
確かに貴族の結婚は早い。
理由は一つ。子供をなして家を安定させなければならないからだ。
特に王族は生まれた時から婚約者を持ち、18歳で結婚するのが一般的だった。
 
あれは麗子が18歳の時。
高校を卒業し、大学入学前に大帝国の公爵令嬢である麗奈も4歳年上の婚約者と結婚をすることになってた。
彼はこの国の交通省に努めている一般官僚で、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と貴族階級のある中で、伯爵家の長男、東條大輝。
公爵家である鷺洲家に比べると小さいが、それなりの土地を持ち官僚に成れるだけの能力もあった。
結婚を間近に控え、尚且つ、大学が始まるまでの春休みを麗奈は慌ただしく過ごしていた時だった。
「王宮に呼び出しなんて、一体。あなた、何をしたの?」
母の問いかけに麗子はきっぱり答える。

「心当たりが多過ぎて分かりません」

ピアノの国際コンクールで一位になったので王宮で行われるパーティーでの演奏依頼かもしれないし。
成績優秀のため王族の誰かの家庭教師の依頼かもしれない。
もしくは、祖父母の国であるオリーナ大帝国の事は詳しいから。
何か教えてほしいことがあるのかもしれない。
犯罪だの。悪いことは何一つ思い当たらないので、別段、恐れることはないだろう。
祖母に飛行機をプレゼントしてもらい。16歳から、自家用飛行機の操縦は許可されており。4月2日の18歳の誕生日と共に資格を取り、頻繁に世界を飛び回ったりもしていたのでパイロットの依頼かもしれない。
「それもそうね。・・・くれぐれもご無礼のないようにね。夕方までには帰宅して東條伯爵の御子息との夜会にいく準備もきちんとするのよ」
「はぁい。16時までには帰れるよう"計算しながら"道草食って帰ってきます」
王宮に行くと、どこの誰ですかとは新聞だのテレビに出たこともあり聞かれない。
麗奈が王宮で通されたのは会議室だった。
国王陛下夫妻、第一王子の玄翠。
そして、全体の省を見る統括省、医療省、交通省、財務省、教育省、法務省、警察軍省。全ての省のトップと椅子に借りてきた猫のように小さくなった婚約者の姿があった。
「ごきげんよう。お招きいただき、幸栄でございます」
優雅に一礼する麗子に国王はにこやかに笑う。
「こちらの東条大輝が交通省に素晴らしい、交通整備の案を次から次へと出したとおもったら。今度は、医療改革の案。次は教育改革の案と次々に案を出すものだから、統括省の幹部にしようと査問会を開いたんだが・・・」
その言葉に麗子は一瞬で悟った。
そう。
最近、大輝によく国の改革案を作らなければならないと相談を受けていたのだ。
「彼は案件に書いてあること以外を答えられない。そこで、問いただすと。麗子さん、君が提案していたことをしったんじゃ」
そこでっと国王は立ち上がる。
「ぜひ君を統括省の幹部として招きたい」
「・・・お言葉、ありがとうございます。しかしながら、私は公爵令嬢。習慣にしたがい東條大輝様と近々結婚し、家庭に入ります」
自分の立場は驚くほどよく弁えている。
結婚し、家庭に入り、家を守る。
子供を産み育て貴族の奥様連中とお茶を楽しんだり、花をめでたり。
反吐がでそうな生活が生まれた時から決められているし、受け入れている。
「結婚をしたからといって貴族の女性も働いていいと思うの」
王妃は穏やかな口調で立ち上がり。
麗子に歩み寄る。
「私も国王陛下と日夜、公務をしているし、子育てだって・・・。成功したのかと問われれば疑問点は多いけれど。立派な子に育てたと思うわ。働きたい貴族の女性が働ける社会を私の代で築きたいの。力を貸して下さらない?」

玄翠は麗子をみる。
「時給5千円だ」
「5千円っ!」
めちゃくちゃいい仕事じゃない。
麗子の目は輝く。
今だって何一つ不自由のない生活をしているが。
これから嫁ぐ高山家もそうだが、誰にも許可を取ることなく使うことのできるお金は嬉しい。
「しゅ、主人になります。大輝様のお許しがでれば・・・」
小さくなっている大輝に声をかける。
「もちろん許可をだすよな?」
玄翠の威圧的なオーラ、言葉に大輝は首を青ざめた顔で何度も縦に振った。
「時給5千円のアルバイトをお引き受け致しますわ」

るんるんっとしながら麗子は早々に契約書にサインをすると自宅に戻る。
「家庭教師か何かアルバイトをしようと思っていたから最高だわ」
小躍りする娘に母親は頬に手を当てる。
「ひもじい思いも、惨めな思いをさせてないのに・・・。どうしてうちの娘はこうも。お金に執着しているというか、金の亡者というか、銭ゲバというか」
「ふふふっ」
嬉しそうに笑う娘に拍手をしたのは、オリーナ大帝国の王妃である祖母だった。
「流石、孫!」
「お婆様っ」
麗子は嬉しそうに祖母に抱き着く。
62歳になるというのに、40代に見えるほど祖母は若く見えるだけではなく洗練された美しさと上品さがある。
「私もね~。若いころ、1か月5千万のアルバイトを引き受けたことがあって。(特殊治安部隊の暗殺成功率NO1-ジェントから大帝国の妃になる。他の小説の主人公の孫設定にしています)お金って、人を動かす魔力があると思うわ」
「私もそう思うわ。お婆様」
麗子はにっこり微笑むと、自室のある階段に向かって一回転して祖母と3歩距離を置く。
「この夜会は独身最後になるのでおめかししてきますわね。お婆様」
「いってらっしゃい。あ、麗奈っ。大輝さんはアルバイトの件を承諾してるのよね」
娘の背中に母は問いかける。
「ええ!お母様」
階段を駆け上がろうとした娘は母親の声に元気に答えると部屋に向かった。
このことが今後の運命を大きく変えることになるなんて思いもせず。
 麗子は独身最後の夜に備えることに一目散だった。
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