金と権力ある俺様王子が、最強令嬢を溺愛結婚する件

湯川仁美

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第一章 馴れ初めついでに日常をお見せします。

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目の前の王子は麗子に向かって不服そうな笑みを浮かべつつ見下ろす。
「パーティーを継続させやがって。俺は・・・」
ぼそっと玄翠は呟くと麗子を更に見下ろす。
な、な、な、何?
私は殺される?
たじろぐ麗子だったのだが。

「踊っていただけますか?」

玄翠は膝を折ると麗子の手に口付けを落とす。
まるで手から食べられてしまうのではないかと恐怖を感じ。
ダンスの拒否権などなく有無を言わさず応じざる得ないほどの重圧が玄翠から伝わってくる。
「踊っていただけますね?公衆の面前で殺されかけた公爵令嬢」
「は、はい」
普段、誰に対しても、何に対しても恐るるに足らず。
怖いものには立ち向かう!そして、打ち勝つ、打ち負かすっをモットーに生きて来た麗子なのだが。
この人は違う。
なんか、怒ってる。
私にではないのだけど、すごく怒ってる。
そして・・・。
凄く心配してて、なんだろ?この感じ。

「見事なまでに婚約破棄をされたな」

玄翠は踊りながらにこやかに麗子に話しかける。
「はい。見事なまでに婚約を破棄されました」
馬鹿にしてる訳ではなさそうね。
しめしめ。よくやったっという感情が玄翠の手から、眼差しから伝わってくる。
まるで彼はこの時を待っていたかのようだった。
釣りをしてて、魚が竿に引っかかって。
網と竿とで釣るよう。
「これを機に一層のこと、生涯独身。キャリアウーマンでも目指そうと思います」
「ほう。1人孤独で生き、そして、死ぬと」

イラッ。

仕事があれば孤独にはならないわ。お友達も作る自信があるもの。
麗子はダンスに乗じて失礼ねと軽く玄翠の脚を踏もうとするが彼は踏ませてはくれない。
麗子よりもずっとダンスが上手なのだ。
婚約破棄を公衆の面前でされた公爵令嬢と結婚したい貴族はいませんし。公爵家と庶民の男は釣り合わない。
「独身貴族主義者の恋人を職場で探しますよ」
「恋人っていうのは、俗にいう彼氏と彼女というやつか?」
「ええ。そうですよ。お互いが好きで交際をする。庶民の特権のやつです。そして、好きが愛にかわったら結婚するアレです」
「彼氏が欲しいのか」
「ええ。欲しいです。今まで興味がなかった恋愛を先程の暴挙にあい興味が湧きました」
「そうか。では俺と付き合おう」
唐突な提案に麗子はポカンと玄翠を見る。
「・・・今、何とおっしゃいましたか?」
「俺と付き合おう。恋人になろう」
「何を言ってるんですか?」
「軽い気持ちでいい付き合おう」
「軽い気持ちでって」
この第一王位継承権を持つこの男は確かに婚約者がいない。
女に言い寄られるが全く相手にせず。
男色の噂すら近隣諸国にまで広がっていた。
「俺も恋愛に興味がある」
「は?」
「愛も恋もまやかしだ。一緒にいれば、情が湧き。それを人間は愛と錯覚する」
「あー、まぁ。そうですね。父と母を見ていると、なんとなく分かります」
「それに。俺からダンスを申し込むのは生まれて初めてだ。お前、俺の親に囲い込まれるぞ?」
「あー。確かに、ウサギを狙う鷹のような心情でしょうね」
それが二人の交際の始まりだった。
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