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7.
しおりを挟む前から初対面の頃よりも随分と髪が伸びた正妃様が歩いてくる。
臣下の礼を取ると彼は慌ててこちらに走りよってくる。
「わわわやめてくださいジョゼフィーヌ様!!」
「ジルフォード様。そういう訳にはいきません。貴方様は正妃、私は側室なのですから。」
そうだけど…と、彼は困ったように笑みを浮かべた。
この人と出会ってから7年が経った。正妃が隣国の男性になったという発表が出された時は流石に暴動が起きたがすぐに沈静化された。貴族連中は今でもうるさいが世継ぎは私が産むということで王家の血筋が守られるならば、と一応は大人しくなった。
「それでもですよ!!……元気ですか?姫様」
「昨日もあったところじゃない!!王妃様はサファが病弱だと仰りたいの!?」
「ええ!?いや、そうじゃなくてね!?」
手を繋いでいる我が子が頬を膨らませてジル様を睨む。
「サファ。王妃様になんて口を聞くのです。」
「でもお母様!!」
「あぁ良いのですよ、ジョゼフィーヌ様。子供は好きですからこのやりとりが楽しいんです。」
「王妃様がそう仰るならば。」
そういうとまた困ったように笑みを浮かべた。
7年前あの後すぐジルフォード様が正妃になると発表され、市民、貴族両方の暴動を収めるのに1年を費やし、その後結婚式を挙げた。とはいえ側室の私は結婚式など行われないのだが。
そして5年前長女のサファーリア、4年前に次女チナリィシア、2年前長男アルセリオス、そして去年次男オルセジオを出産した。
王家の世継ぎとして男児を3人産むことが私の仕事だ。それが今の私の存在価値である。
「サファはね、これからアルとジオに会いに行くのよ!その後チナリィと図書館に行くの!王妃様も一緒にいこうよ!」
「あー、ごめんねこれから出掛けるんだよ」
「えー!!サファと遊ぶよりも大切なの!?」
「えっといや、姫様も大事なんだけどね?えーと」
私はサファを止めようと口を開きかけました。
しかし私が言葉を発するよりも先にその方が目に入ってしまいました。
私はまた臣下の礼を取ります。
「ぱぱ!!久しぶりー!」
「おーサファ元気だったか~?」
「うん!とーっても元気だったのよ!!」
「え、さっき僕がそう言ったとき…まぁいいけど…」
「ジョゼフィーヌ、面をあげなさい。毎度毎度臣下の礼を取らなくても良いと言っているだろ?」
「そういう訳にはいきません。」
そういうと陛下は彼のように困ったように笑った。
「ねぇぱぱ聞いて!王妃様がね、サファと遊んでくれないのよ!!」
「んー、あぁ…すまないなぁ…」
そう言ってまた困ったように陛下は笑った。
「これから俺と王妃様で遠乗りに行くんだよ」
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