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第三章 信望
34 眼差し
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唐突な花火さんの提案はすんなりと承諾され、僕達は車椅子の女の子と共に小町通りを散策している。
女の子の名前は藤巻瑠璃ちゃん。
静岡県在住の13歳。
小さい頃から病気がちで、中学校には通えてないんだとか。
今回は海に行きたいと主治医に言ったら車椅子で、との条件付きで許可が下りたと、瑠璃ちゃんは嬉しそうに語った。
それにしても、瑠璃ちゃん、花火さん、冬乃さん、遥さんが横並びで揃うと注目されるな。
まぁ、みんな美人だからしょうがないか。
しかし、後ろで引っ付いている僕と品川さんは、どんな風に見えているのだろう。
友達には見えないだろうし、家族とかかな?
もしかしたら変質者に見えていたらどうしよう。
「ねぇ、君はどれにする?」
「えっ、何ですか?」
周りの事を考えていて殆ど会話を聞いていなかったので、全く分からなかった。
「話聞いてなかったのね。クレープ食べるんだけどどれにする?」
花火さんは呆れたようにため息をつき、説明してくれた。
それにしても、いつの間にクレープ屋さんになんて来てたんだろう。
「えっと、じゃあ、チョコバナナでお願いします」
「了解、じゃあ500円ね」
僕は急いでポケットから財布を出し500円玉を手渡した。
花火さんは、クレープ屋さんの店員に注文してお会計までしてくれた。
なんだが申し訳ないな、ぼーっとしていたばっかりに全部やらせてしまった。
「花火さん、ありがとうございます」
お釣りを受け取りながらお礼をする。
「まぁ、気持ちは分かるからね。君もどうせ......」
と言いながらチラッと花火さんは瑠璃ちゃんの方を見た。
僕には何の事かさっぱりわからない。
「どういう事ですか?」
「何でもないの、気にしないで。それより何でチョコバナナにしたの?」
「好きだからですけど。変ですか?」
「変よ。だって、ここのお店のベリーのクレープが有名で、食べに来るんだもん。君以外はみんなベリーだよ」
「そうなんですか?教えてくれたら良かったのに...」
「さっきその話してたんだけど、それも聞いていなかったの?」
「はい...残念です」
「ふふふ、それもいいんじゃない?君らしいよ」
今日の花火さんの言うことはイマイチ理解できない。
そういえば、今までは嫌いオーラが凄かったが、この旅行中は何だが親しげだ。
花火さんも旅行で舞い上がっているのかな?
頭がこんがらがってきた頃に、僕のクレープが出来上がったので、受け取ると瑠璃ちゃんが羨ましそうな目でこちらを見つめていた。
瑠璃ちゃんの分は自分の手に持っているけど......欲しいのかな?
「瑠璃ちゃん、少し食べる?」
「いいの?」
「いいよ。チョコバナナ好きなの?」
「うん。ベリーとチョコバナナで迷ってたの」
そう言ってクレープをパクパク嬉しそうに食べて、口にクリームをつけながら満面の笑みを浮かべた。
なんだかその笑顔で満腹になったので、半分以上食べられてしまったのは水に流そう。
でも、やっぱりもっと食べたかったな......
瑠璃ちゃんは雑貨屋さんに興味を示したみたいで、みんなでぞろぞろと入っていった。
それにしても、小町通りに来てかれこれ30分は経っているけど東さん達は全然見かけない。
大丈夫かな?
僕がお店の外を見ていると、シャツの袖を瑠璃ちゃんに引っ張られた。
「ん、どうしたの?」
どうやら一人で車椅子を押してきたようだ。
「このヘアゴムどう思う?」
「可愛いよ。星の形がいいね」
「可愛いよね」
そう言って大事そうに抱えているので、仕方なく聞いてみることにした。
「これ、欲しいの?」
「うん、でもお金持ってない」
やっぱりそうか。
「じゃあ、プレゼントするよ」
「いいの?」
「いいよ」
「ありがとう!」
瑠璃ちゃんは満面の笑みで喜んだ。
もしかしたら、クレープをあげたことで狙われちゃったかな。
レジに持っていく途中で、値札を見ると一つで800円もした。
さすが、観光地価格。
バイトもしていない僕は、お小遣いも残り少なくなっていたので、かなり痛かったが、男に二言はない。
泣く泣くお会計を済ませたら、瑠璃ちゃんはすぐに袋を開けて髪につけ始めた。
「どう?似合ってる?」
「うん、似合ってるよ」
「ありがとう!そうだ、みんなにも見せに行こう」
僕は、お店の反対側のハンカチコーナーにいる遥さんの所まで車椅子を押していった。
「遥さん。これ、お兄ちゃんに買ってもらったの。いいでしょ!」
「よかったね瑠璃ちゃん、似合っているよ。冬乃ちゃん!こっち来て」
遥さんはハンカチを近くで選んでいた冬乃さんを呼んだ。
「どうしたんですか?」
「見て見て!空太くんにヘアゴム買ってもらったんだって」
「えー、いいなー可愛い!空太さん、私も欲しいな」
冬乃さんが、こっちを見たので咄嗟に目を逸らした。
これ以上は流石にお金が無くなっちゃう。
「えーっと、あの、ごめんね」
「ぷーっ、瑠璃ちゃんだけ特別だって。良かったね」
「うん!」
ホッとしていると、瑠璃ちゃんの携帯電話から音楽が流れた。
「ママ?今ね猫八って言う雑貨屋さんに来てるの......大丈夫だよ、一緒に居てくれる人がいるから......え、うん、わかった今行くね」
電話を切ると瑠璃ちゃんは、こちらを向いて悲しそうな顔をした。
「ママが、今すぐ喫茶店に戻ってきてだって。少し怒ってたかも」
流石に連絡もせずに連れ回したのは、まずかったかもしれない。
僕があたふたしていると、遥さんが瑠璃ちゃんの頭を撫でた。
「大丈夫だよ、怒ってたんじゃなくて心配なだけだと思うよ。私からも謝っておくから大丈夫だよ」
「うん...」
レジにいる花火さんを呼び、僕達は急いで待ち合わせの喫茶店に向かった。
喫茶店の前でそわそわしている人がいる。
あの人に違いない。
「瑠璃!勝手に居なくならないでよ。喫茶店で待っててって言ったのに」
「ごめんなさい」
「あの、お母さん。すみません連れ回しちゃって」
遥さんが頭を下げたので僕も一緒に頭を下げる。
「いえ、こちらこそ瑠璃の面倒を見てくれて、ありがとうございます」
「いえ、私たちが無理矢理連れ回しちゃったので、瑠璃ちゃんには叱らないであげて下さい」
「わかりました。瑠璃、楽しかった?」
「うん!いっぱい遊んでもらった」
「そっか、良かったね。今度からは電話してからにしてね」
「うん、ごめんなさい」
よかった、瑠璃ちゃんは怒られなくて済んだみたいだ。
僕も次からは気をつけないとな。
「じゃあ、私たちは行きますね。瑠璃ちゃん、楽しかったよ、またね」
「私も楽しかった、ありがとう!それて、あの、また会いたいからアドレス教えてくれる?」
「そうだった、番号交換しないと会えないもんね」
瑠璃ちゃんとみんなでアドレスを交換して、今度こそ本当にお別れ。
「瑠璃ちゃん、バイバイ」
花火さんが恥ずかしそうに、小さく手を振った。
「うん、バイバイ!みんなありがとう!」
瑠璃ちゃんは無邪気な笑顔で、僕ら一人一人を見て大きく手を振った。
僕達は手を振り返しながら、少しずつ瑠璃ちゃんから離れていった。
瑠璃ちゃんとお母さんが見えなくなった頃、僕は思った。
ここで偶々瑠璃ちゃんに会えたことは嬉しい。
だけど、別れというのはどんな短い付き合いでも心が冷えるように苦しくなる。
女の子の名前は藤巻瑠璃ちゃん。
静岡県在住の13歳。
小さい頃から病気がちで、中学校には通えてないんだとか。
今回は海に行きたいと主治医に言ったら車椅子で、との条件付きで許可が下りたと、瑠璃ちゃんは嬉しそうに語った。
それにしても、瑠璃ちゃん、花火さん、冬乃さん、遥さんが横並びで揃うと注目されるな。
まぁ、みんな美人だからしょうがないか。
しかし、後ろで引っ付いている僕と品川さんは、どんな風に見えているのだろう。
友達には見えないだろうし、家族とかかな?
もしかしたら変質者に見えていたらどうしよう。
「ねぇ、君はどれにする?」
「えっ、何ですか?」
周りの事を考えていて殆ど会話を聞いていなかったので、全く分からなかった。
「話聞いてなかったのね。クレープ食べるんだけどどれにする?」
花火さんは呆れたようにため息をつき、説明してくれた。
それにしても、いつの間にクレープ屋さんになんて来てたんだろう。
「えっと、じゃあ、チョコバナナでお願いします」
「了解、じゃあ500円ね」
僕は急いでポケットから財布を出し500円玉を手渡した。
花火さんは、クレープ屋さんの店員に注文してお会計までしてくれた。
なんだが申し訳ないな、ぼーっとしていたばっかりに全部やらせてしまった。
「花火さん、ありがとうございます」
お釣りを受け取りながらお礼をする。
「まぁ、気持ちは分かるからね。君もどうせ......」
と言いながらチラッと花火さんは瑠璃ちゃんの方を見た。
僕には何の事かさっぱりわからない。
「どういう事ですか?」
「何でもないの、気にしないで。それより何でチョコバナナにしたの?」
「好きだからですけど。変ですか?」
「変よ。だって、ここのお店のベリーのクレープが有名で、食べに来るんだもん。君以外はみんなベリーだよ」
「そうなんですか?教えてくれたら良かったのに...」
「さっきその話してたんだけど、それも聞いていなかったの?」
「はい...残念です」
「ふふふ、それもいいんじゃない?君らしいよ」
今日の花火さんの言うことはイマイチ理解できない。
そういえば、今までは嫌いオーラが凄かったが、この旅行中は何だが親しげだ。
花火さんも旅行で舞い上がっているのかな?
頭がこんがらがってきた頃に、僕のクレープが出来上がったので、受け取ると瑠璃ちゃんが羨ましそうな目でこちらを見つめていた。
瑠璃ちゃんの分は自分の手に持っているけど......欲しいのかな?
「瑠璃ちゃん、少し食べる?」
「いいの?」
「いいよ。チョコバナナ好きなの?」
「うん。ベリーとチョコバナナで迷ってたの」
そう言ってクレープをパクパク嬉しそうに食べて、口にクリームをつけながら満面の笑みを浮かべた。
なんだかその笑顔で満腹になったので、半分以上食べられてしまったのは水に流そう。
でも、やっぱりもっと食べたかったな......
瑠璃ちゃんは雑貨屋さんに興味を示したみたいで、みんなでぞろぞろと入っていった。
それにしても、小町通りに来てかれこれ30分は経っているけど東さん達は全然見かけない。
大丈夫かな?
僕がお店の外を見ていると、シャツの袖を瑠璃ちゃんに引っ張られた。
「ん、どうしたの?」
どうやら一人で車椅子を押してきたようだ。
「このヘアゴムどう思う?」
「可愛いよ。星の形がいいね」
「可愛いよね」
そう言って大事そうに抱えているので、仕方なく聞いてみることにした。
「これ、欲しいの?」
「うん、でもお金持ってない」
やっぱりそうか。
「じゃあ、プレゼントするよ」
「いいの?」
「いいよ」
「ありがとう!」
瑠璃ちゃんは満面の笑みで喜んだ。
もしかしたら、クレープをあげたことで狙われちゃったかな。
レジに持っていく途中で、値札を見ると一つで800円もした。
さすが、観光地価格。
バイトもしていない僕は、お小遣いも残り少なくなっていたので、かなり痛かったが、男に二言はない。
泣く泣くお会計を済ませたら、瑠璃ちゃんはすぐに袋を開けて髪につけ始めた。
「どう?似合ってる?」
「うん、似合ってるよ」
「ありがとう!そうだ、みんなにも見せに行こう」
僕は、お店の反対側のハンカチコーナーにいる遥さんの所まで車椅子を押していった。
「遥さん。これ、お兄ちゃんに買ってもらったの。いいでしょ!」
「よかったね瑠璃ちゃん、似合っているよ。冬乃ちゃん!こっち来て」
遥さんはハンカチを近くで選んでいた冬乃さんを呼んだ。
「どうしたんですか?」
「見て見て!空太くんにヘアゴム買ってもらったんだって」
「えー、いいなー可愛い!空太さん、私も欲しいな」
冬乃さんが、こっちを見たので咄嗟に目を逸らした。
これ以上は流石にお金が無くなっちゃう。
「えーっと、あの、ごめんね」
「ぷーっ、瑠璃ちゃんだけ特別だって。良かったね」
「うん!」
ホッとしていると、瑠璃ちゃんの携帯電話から音楽が流れた。
「ママ?今ね猫八って言う雑貨屋さんに来てるの......大丈夫だよ、一緒に居てくれる人がいるから......え、うん、わかった今行くね」
電話を切ると瑠璃ちゃんは、こちらを向いて悲しそうな顔をした。
「ママが、今すぐ喫茶店に戻ってきてだって。少し怒ってたかも」
流石に連絡もせずに連れ回したのは、まずかったかもしれない。
僕があたふたしていると、遥さんが瑠璃ちゃんの頭を撫でた。
「大丈夫だよ、怒ってたんじゃなくて心配なだけだと思うよ。私からも謝っておくから大丈夫だよ」
「うん...」
レジにいる花火さんを呼び、僕達は急いで待ち合わせの喫茶店に向かった。
喫茶店の前でそわそわしている人がいる。
あの人に違いない。
「瑠璃!勝手に居なくならないでよ。喫茶店で待っててって言ったのに」
「ごめんなさい」
「あの、お母さん。すみません連れ回しちゃって」
遥さんが頭を下げたので僕も一緒に頭を下げる。
「いえ、こちらこそ瑠璃の面倒を見てくれて、ありがとうございます」
「いえ、私たちが無理矢理連れ回しちゃったので、瑠璃ちゃんには叱らないであげて下さい」
「わかりました。瑠璃、楽しかった?」
「うん!いっぱい遊んでもらった」
「そっか、良かったね。今度からは電話してからにしてね」
「うん、ごめんなさい」
よかった、瑠璃ちゃんは怒られなくて済んだみたいだ。
僕も次からは気をつけないとな。
「じゃあ、私たちは行きますね。瑠璃ちゃん、楽しかったよ、またね」
「私も楽しかった、ありがとう!それて、あの、また会いたいからアドレス教えてくれる?」
「そうだった、番号交換しないと会えないもんね」
瑠璃ちゃんとみんなでアドレスを交換して、今度こそ本当にお別れ。
「瑠璃ちゃん、バイバイ」
花火さんが恥ずかしそうに、小さく手を振った。
「うん、バイバイ!みんなありがとう!」
瑠璃ちゃんは無邪気な笑顔で、僕ら一人一人を見て大きく手を振った。
僕達は手を振り返しながら、少しずつ瑠璃ちゃんから離れていった。
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