全てが終わったBADEND後の乙女ゲーム転生で反逆いたします

高梨

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歪な

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「コヨーテスか、お前から見てどうだった?」

 光が当たれば虹色に反射をする不思議な銀髪を長く揺らした、漢とも女とも取れぬ見目の良いヴァンヴェルディは、直接国の諜報がてら送った。冷たい女人の種族は【クイックシルバー】時代と場所が変わればポルターガイストとも呼ばれる妖精族の彼女は、他の認識外で事に及ぶことに長けている。その彼女から見たリエル・メーカー・アンドールとその身体の中に無理矢理引き込まれたもう一つの魂のことの意見を聞きたかった。

「貴族からの評判は最悪の一言、民からは生活水準の安定化を目指すエヴァ王国の歴代の王で一番素晴らしいと二分化している人物です。
人柄は良く、気の知った相手には庶民のように親しみのある口調になります。
今のところ、彼女の伴侶となる可能性はレミリス・ブライエとカペルリットの二人でございます。
人柄から考えてあと数人ほど増えてもおかしくはありません……まぁ、それはその二人が全力で踏み潰すので実現しないやもしれませんが」

「おや、お子の恋模様は随分過激な。して、肝心のリエル・メーカー・アンドールの方は……どうだ?
私の魂の会話には答えなかったからな、コヨーテスはどうだ?」

 我もコヨーテスも、ゆうに数百年は生きた。他人の魂をみて人柄と人生を判断するなど造作も無い。ただ、相手がこちらを完全に拒絶していなければの話しだ。解く為に頭を撫でてやれば余計拒絶してこちらの心の対話を突っぱねられてしまった。さて、腹心の部下はどうだ? と目を見た。

「せっかく、お母さんに復讐できるかも知れないのに……邪魔をするな。私はお母さんのせいでなんでもできるようになったんだから、邪魔するならば消してやる。言われたのはそれのみです……あとは反応はありません」

「それだけ物騒な事を考えてなお、聖域に入れる純粋さを持つのか……いや、純粋なればこそか」

「……。お言葉ですが王、彼女は一度暴走をしています。そんな危険人物が」

「やむを得ない、このまま我々が武力の対策に遅れれば、革命軍の良い餌になりかねん。大義名分を持った知的生命体のなんと恐ろしいことか、よもや忘れた訳であるまい」

「出過ぎたまねを……申し訳ありません」

「よい」

 月明かり美しいこの夜に、今後のことの……起こるやもしれない戦争の対策を紙に書いてはダメだと破り捨てる。我々妖精族はもとより魔力と手先以外は非力な存在、他に寄りかからねば生きてはいけない生物だというのも正しく認識せねばならない。たとえ、失敗しても我々には後はない。我々には武力を持ち得ようにないのだ。

「なに、無条件ではない。技術や職人を交渉道具にした対等な交換条件よ。案ずるな……。
あとは、なんどか、藪をつついてみるだけよ。

そうだな、バレたら国際問題となるが…アレをぶつけてみるか」


 ただ、一つの懸念を除いて……幼子がどうやって異世界の魂を引き込むことができたのだろうか?







 夜中のお城が綺麗すぎて帰りたくない。

「ちょっと抜け出して見て正解だね」

 小さな害のない蛍のような虫が暖かい黄色の光を放って舞い踊り、木の壁から生えているキノコは時折揺れて青色の光を噴射する。ふわりと舞い上がった青い光は空気に溶けるように霧散をする。もっと近くで見てみようとすると、ちょうど顔の近くで、また、キノコが青い光る胞子を放った。以外と甘い香りがして、堪能していると鼻がコチョコチョ、ぞわぞわした感覚がして鼻がピクピク動く。

「へぇ、えッッへっくちん!」

 鼻に入るとぞわぞわしてから、段々ムズムズしてからくしゃみと透明なサラサラした鼻水がでるから、このキノコはあんまり近づかないようにしないと、なんて思って避けているとあてがわれた部屋の近くには小さな庭園があった。地面を見ると魔方陣みたいなのが地面に描かれていて、若干魔力を帯びている。薄く光る魔方陣は、どこか暖かい温度を放っているような気がして、見て居るだけで落ち着いてくる。木の温もりとこの魔方陣の効果からかこのあたり一体の気温はエヴァ王国と違って安定して心地良い。少しだけ眠気がやってきて、くわりと空気を吸い込む。

「ふぁ……ふ、眠い。けど、これが噂に聞くフェアリーダンスの後か、か、へ……、へ……、ふぇ……ふぇくしーん!!! ずび……あー」

 そして、あのキノコの胞子微妙に鼻に残る。何度かぞわぞわ、むずむずの後に何回かへくしょん、へくしょんやって落ち着いた。まだ、ちょびっと鼻がムズムズするけど仕方が無い諦めようと思って、さて、そろそろ帰るか……見つかったら大事だしっと思って。抜き差し忍び足で戻ってゆくと、兵士からの大声が耳に飛び込んできた。何人もの人間の走る音が、足下を揺らして確実にこっちに近づいてゆく、明らかに尋常じゃない様子に、私の額に汗が噴き出して頬を伝う。

「侵入者だー!!! 国王の暗殺者だ!!! であえーそっちに向かったぞー!!」

「そっちってこっちですかってちょっとぉぉぉ!」

 急に私の進路方向から兵士の怒号が聞こえると同時に、私の進路方向に暗殺者らしい顔の見えない衣服に身を包んだ人と兵士さんが飛び込んできた。暗殺者さんは咄嗟によくわからない液体に濡れたナイフを持って進路方向に居る私を蹴散らそうと殺気を纏って突撃してくる。

「あーーー客人の!!! よけてくださぁぁぁぁい!!!」

「あぁぁぁぁ、国際問題ぃぃぃぃぃ!!!」

「無茶」

 とても避けろと言われて避けれる距離と速度じゃないから、丸腰だけど私は迎え撃つように向き直った。暗殺者は何にも反応せずにナイフを握りしめてこちらへ突進してくる。妖精族とはいえ、背丈の種族差が大きい種族だから人間か妖精だか、体格では判断できないけど。間違いなく人間族の漢の平均以上の背丈を持つ相手が迫ってくる。騒ぐ兵士の声が段々と荒くなってくる。もう目と鼻の先まで近くなった私と暗殺者の距離……素早く暗殺者は私に向かってナイフを振り下ろした……。

「言うなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 手を寸前で掴んで、驚いて体勢が崩れたところを力の法則を利用して投げ飛ばした。結構な力が合ったみたいで向こうの壁まで暗殺者は転がって、頭から壁に激突した。

「ご、ご協力、アリガトウゴザイマース」

「さ、流石姫君、艶やかな体術のお手前で、あはははははははははは……」

 うわ、凄い兵士さんにドン引きされているわ。左目がピクピク動かしながら伸びている暗殺者さんを回収して、何度も何度も、私にし謝りながらも、ちょこっと手を繋いで丁寧に、壊れ物を扱うように私の部屋まで送っていってくれた……けど。


「リエルさま?」


 私のヘアに阿吽の仁王となったメイドが立っていた。後ろからゴゴゴゴゴ……なんて効果音が聞こえそうなほどに、威圧感たっぷり私に向けて、ソーラもヌファンも似た威圧の笑みでこちらを見て居る。からっぽのベット両脇に控えて。

「さぁリエル様、お休みの お じ か ん で す よ? 私とヌファンで心地よく寝れるように見て居ますので、さぁさぁ、どうぞお休みになられて下さいませ。私もヌファンも片時もぜぇぇぇったいに離れませんので、ご安心を」

「ひぃぃぃぃぃ!!! ごめんなさぁぁぁぁぁぁい」

 こうして、私は兵士さんに引き渡された後に、監視されながら眠ることとなった。何にも言わない視線だけのお叱りが身に染みた私は、二度と二人に気付かれるような抜け出し方はしないと私は心に誓った。だって、こんなに監視されながら寝るってなんか寝た気がしないどころか。


「……」

「……」


 二人の何も言わない威圧が凄すぎて、怖い。無理、嫌。
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