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反出生主義
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【反出生主義】
子は親を選べない。人生は苦しみの方が多い。ならば道徳の観念からも産まれなければいいのではないか?
という哲学から産まれた。菜食主義者のヴィーガンの派生とも言われ、元を正せば生き物を食べる我々は消えるべきでは?
そんな、一つの優しい人間から産まれた。一つの優しい主義……だったのだ。
・
・
【分子別つ 一線の空間の歪みは壁となり 我が盾となるッッ 略式詠唱 魔法障壁(無)】
私達とマイベルお姉様方を守るような大きな魔法障壁を作ったけど……流石に天井まるごとは重い。みるみるうちに岩の重みで私達は結界と廊下の地面の間に挟まれた。
「ヌファン! 一旦ヌファンは外に出て曲者が来ないかを見てから、リエル様を」
「ええ」
私達を守っているヌファンは一旦障壁から、横ばいに這い出て周りを見渡した。襲撃されたのならば、いつ敵が来てもおかしくないからだ。
「く、う……」
ヌファンが抜けた分一人で迫り来る瓦礫の乗った障壁を支えるソーラが呻いた。ソーラの身体からみちみちと骨が軋む音が鳴り響く。
「ソーラ! ッ……。敵は居ません。さぁ、リエル様……お手を」
「我が君、少し触れますね」
私の下にカペル君が居る。そのカペル君が私の腰のあたりを掴み上げて、ヌファンのところに押し出してくれた。お陰で、ヌファンの手を掴んで引っ張り出された。その後にカペル君は自力で這い出した。
「やだやだいたい 速く助けな、うわーん!!!」
侍女を沢山連れていたことが仇となって、身動きが取れないままに障壁と床に挟まれたマイベルお姉様。しょうが無いと、ソーラにもうちょっと耐えて貰って、私とカペル君とヌファンでどうにか全員引っ張り出してから、ソーラがゆっくりと最後に這い出た瞬間に、障壁が瓦礫の重みで割れた……。あと少し遅かったらソーラが瓦礫に潰されていたかも知れないと思って、背筋がゾッとした。
「我が君……急いで非難しましょう!」
「ええ、ガバンはレドビスが付いてるし行こうか」
カペル君が私の手を握ってその場を去ろうと誘導する。後ろには泣き叫ぶマイベルお姉様が居たけど、侍女達に任せて私達は去った。
「侵入者! 侵入者ァァァァァ!!!」
「この道もダメか」
「次に行きましょう」
なんとか城の上階から下ろうと、道を探しているんだけど。どこも黒づくめの侵入者と……混じる裏切り者のアンドール自国の兵士。どこの通路も混戦真っ只中だった……逃げるにはこの混沌をどうしても横切らないといけない。指をくわえる中で、どうにか別の通路を探しては混戦がすでに始まっていて。
「下が無理なら一旦上に上がろう。王族庭園のほうなら人が来ないし、隠れる所もあるから」
それと、レミリスが教えてくれた用水路の抜け道もあるし。上から下へ下から上へ繋がる用水路……無駄だなと思ってたけど、まさかこんなことに使われるとは……あと、タイミングの良いときにレミリス教えてくれたな……。まったくもう。
走ればどこもバタバタしている。下へ逃げられぬと悟った権力者達は、それぞれに障壁を張れる魔術師に命令を下して身を守っている。上に上がれば上がるほどに、障壁に守られた扉が増えてくる。そんな中で……私は会いたいような会いたくないような……微妙な人に出会ってしまった。
シャルリエールの面影を感じる天使のような甘い顔の男と、私に似た白髪の女……お母様がそこに居た。まるで、私の考えることなどお見通しとばかりに、庭園の道を塞いで立っていた。お母様の目はうつろで、ゾッと背中が数度に分けて泡立つ。ほぼ無意識にカペル君に預けてベルトに刺して貰っている私の剣に手をかけて抜けば……。手の痛みと共に鋭い金属音が、鳴り渡り私の身体は後ろ側に若干のけぞる。
お母様が私の首めがけて容赦なく……剣を振ってきたのだ。
「母さん!」
「まぁ、大きくなったのね……愛してるわ」
「ぐ、あ」
そう言いながら、お母様は自分の愛すべき息子にも容赦無く剣を振るった。カペル君は身をかがめて後方に飛ぶことで避けた。けど、その後ろにはベアクローと言ったらいいのだろうか? そんな武器を左手に付けた……攻略者シャルリエールの面影を持つ男が、カペル君の背中にめがけてベアクローを突き刺そうとしたところで、ソーラの円盤みたいな刃物……チャクラム? が飛んできて男が、それを身体をひねることでかわした。
そして、私は魔法の刃を詠唱しようと魔力を込めたところで目に向かって矢が飛んできた。それをヌファンがあのときの綺麗な、長い棒だか長棍だかで、矢をたたき折ってくれた。
【戦陣を荒らすのは一つの意思であり この手に握る刃である 息吹け反逆の意思を その刃は我が身を切り裂けど敵を屠る一つの可能性とならん! 魔力刃(無)】
矢が飛んできた方向に魔力刃を放つが避けられた。避けた男は……アビスだった。マジで今回は本気で襲撃しに来たんだなぁっと思いながら、冷や汗を流しながら敵を見据えた。
そして、ぞろぞろと出てくる敵側の援軍……絶体絶命。
それでも、私達四人は持てる力をもって抵抗した。雑魚をたたき折り……本命のリーダー格の攻撃をどうにかあしらい。どうにか元の相手が3人に戦力を戻すことが出来たけど。
「はぁ、ハッ……。ぐッ」
全員が満身創痍だった。私は左手を雑魚の槍に貫かれ血まみれで。ヌファンはベアクローで背中をぱっくり切り裂かれた。ソーラは長中距離の武器だから一番怪我が少ないけど、それでも怪我がないわけじゃない。カペル君は背中に矢を撃たれた。たいしたことない毒だから解毒は戦闘中に行えたけど、それでも体力がない。
向こうは、余裕があるのにだ。
「随分持つね。流石は戦い女王といったところか」
「……私が殺しきれなかったから、辛い、痛い、ごめんね」
虚ろな目で、産んでごめんなさいと繰り返すお母様……。私はともかく横に控えてくれているカペル君への精神攻撃は抜群なようで。お母さんの声を聞く度に、カペル君の魔力が大きく不安定になる。そんな、異常なお母さんの方に手を乗せて笑うのは……。
「だって、君ら……殺されてくれないかい?」
平気で人に殺されろと宣う男だ。天使のようなフェイスをしているのに、どこか諦めた雰囲気の男だ。アビスは何も言わない反面に、この男は良く喋る。
「お断りよ! 独善が過ぎて反吐がでる」
「そもそも、人間が作った概念や思いは、全て不完全だからしかたないね。それを押しつけるのが独善だと理解はしているよ。断られても受け取ってくれないと困るんだよ!」
困るといいながら、真っ先に私めがけてツッコンできた。それをカペル君が防いで、横からヌファンが叩き潰そうとするところで、お母様がそれを剣で受け止める。いったいお母様のどこにそんな力があるんだか……っと思いながらも、後方で矢をつがえるアビスに向けて、詠唱破棄した魔力刃を放ち、避けた所をソーラのチャクラムで強襲してもらった……避けられたけど。
このまま行けば……絶対に負ける。相手側の援軍が来よう物ならあっという間に全滅だ。そう考えて居るうちに恐れていた相手側の援軍がぞろぞろと来たのだ。
「やっぱり変に戦争しかけるよりも、内部からやった方が速くカタが付きそうだ」
余裕面でそう呟く天使顔が……愁いて言う。
「それじゃ、総員……構え」
敵側の援軍が声と共に、弓を矢を魔法を構えてこちらへ向けてくる。明確に現れる【死】の予感で私の頭は凍えた。
どうする? どうすれば、私も皆も助けられる? と考えた。カタカタと剣が震える。震える私の前に守るようにカペル君が前に出た。高威力の魔法を撃てば勝てるのはわかる……けど。その場合は城が崩れて、私達も瓦礫となって死んでしまう。それじゃ意味は無い……どうする? どうする? そうグルグル考えて居ると。
ヌファンが陣形もなにもなくただ……前に出て私に振り向いた。ふわりと舞う、自身の散り場所を見つけた花のように綻んで笑っていた。
【破骨棍 円流上爆】
何気なく呟かれた声と共に、棍を地面に付くと登るような爆発の壁が下から上へと流れ……。ヌファンと私達を分断した。そして爆破の音と共に、さらに分断してくるように落ちてくる天井の瓦礫。不意に隙間のあいた爆破の壁の向こうに、こちらを優しい目で見て微笑む……ヌファンが、口を動かして言った。
生 き て く だ さ い。
子は親を選べない。人生は苦しみの方が多い。ならば道徳の観念からも産まれなければいいのではないか?
という哲学から産まれた。菜食主義者のヴィーガンの派生とも言われ、元を正せば生き物を食べる我々は消えるべきでは?
そんな、一つの優しい人間から産まれた。一つの優しい主義……だったのだ。
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【分子別つ 一線の空間の歪みは壁となり 我が盾となるッッ 略式詠唱 魔法障壁(無)】
私達とマイベルお姉様方を守るような大きな魔法障壁を作ったけど……流石に天井まるごとは重い。みるみるうちに岩の重みで私達は結界と廊下の地面の間に挟まれた。
「ヌファン! 一旦ヌファンは外に出て曲者が来ないかを見てから、リエル様を」
「ええ」
私達を守っているヌファンは一旦障壁から、横ばいに這い出て周りを見渡した。襲撃されたのならば、いつ敵が来てもおかしくないからだ。
「く、う……」
ヌファンが抜けた分一人で迫り来る瓦礫の乗った障壁を支えるソーラが呻いた。ソーラの身体からみちみちと骨が軋む音が鳴り響く。
「ソーラ! ッ……。敵は居ません。さぁ、リエル様……お手を」
「我が君、少し触れますね」
私の下にカペル君が居る。そのカペル君が私の腰のあたりを掴み上げて、ヌファンのところに押し出してくれた。お陰で、ヌファンの手を掴んで引っ張り出された。その後にカペル君は自力で這い出した。
「やだやだいたい 速く助けな、うわーん!!!」
侍女を沢山連れていたことが仇となって、身動きが取れないままに障壁と床に挟まれたマイベルお姉様。しょうが無いと、ソーラにもうちょっと耐えて貰って、私とカペル君とヌファンでどうにか全員引っ張り出してから、ソーラがゆっくりと最後に這い出た瞬間に、障壁が瓦礫の重みで割れた……。あと少し遅かったらソーラが瓦礫に潰されていたかも知れないと思って、背筋がゾッとした。
「我が君……急いで非難しましょう!」
「ええ、ガバンはレドビスが付いてるし行こうか」
カペル君が私の手を握ってその場を去ろうと誘導する。後ろには泣き叫ぶマイベルお姉様が居たけど、侍女達に任せて私達は去った。
「侵入者! 侵入者ァァァァァ!!!」
「この道もダメか」
「次に行きましょう」
なんとか城の上階から下ろうと、道を探しているんだけど。どこも黒づくめの侵入者と……混じる裏切り者のアンドール自国の兵士。どこの通路も混戦真っ只中だった……逃げるにはこの混沌をどうしても横切らないといけない。指をくわえる中で、どうにか別の通路を探しては混戦がすでに始まっていて。
「下が無理なら一旦上に上がろう。王族庭園のほうなら人が来ないし、隠れる所もあるから」
それと、レミリスが教えてくれた用水路の抜け道もあるし。上から下へ下から上へ繋がる用水路……無駄だなと思ってたけど、まさかこんなことに使われるとは……あと、タイミングの良いときにレミリス教えてくれたな……。まったくもう。
走ればどこもバタバタしている。下へ逃げられぬと悟った権力者達は、それぞれに障壁を張れる魔術師に命令を下して身を守っている。上に上がれば上がるほどに、障壁に守られた扉が増えてくる。そんな中で……私は会いたいような会いたくないような……微妙な人に出会ってしまった。
シャルリエールの面影を感じる天使のような甘い顔の男と、私に似た白髪の女……お母様がそこに居た。まるで、私の考えることなどお見通しとばかりに、庭園の道を塞いで立っていた。お母様の目はうつろで、ゾッと背中が数度に分けて泡立つ。ほぼ無意識にカペル君に預けてベルトに刺して貰っている私の剣に手をかけて抜けば……。手の痛みと共に鋭い金属音が、鳴り渡り私の身体は後ろ側に若干のけぞる。
お母様が私の首めがけて容赦なく……剣を振ってきたのだ。
「母さん!」
「まぁ、大きくなったのね……愛してるわ」
「ぐ、あ」
そう言いながら、お母様は自分の愛すべき息子にも容赦無く剣を振るった。カペル君は身をかがめて後方に飛ぶことで避けた。けど、その後ろにはベアクローと言ったらいいのだろうか? そんな武器を左手に付けた……攻略者シャルリエールの面影を持つ男が、カペル君の背中にめがけてベアクローを突き刺そうとしたところで、ソーラの円盤みたいな刃物……チャクラム? が飛んできて男が、それを身体をひねることでかわした。
そして、私は魔法の刃を詠唱しようと魔力を込めたところで目に向かって矢が飛んできた。それをヌファンがあのときの綺麗な、長い棒だか長棍だかで、矢をたたき折ってくれた。
【戦陣を荒らすのは一つの意思であり この手に握る刃である 息吹け反逆の意思を その刃は我が身を切り裂けど敵を屠る一つの可能性とならん! 魔力刃(無)】
矢が飛んできた方向に魔力刃を放つが避けられた。避けた男は……アビスだった。マジで今回は本気で襲撃しに来たんだなぁっと思いながら、冷や汗を流しながら敵を見据えた。
そして、ぞろぞろと出てくる敵側の援軍……絶体絶命。
それでも、私達四人は持てる力をもって抵抗した。雑魚をたたき折り……本命のリーダー格の攻撃をどうにかあしらい。どうにか元の相手が3人に戦力を戻すことが出来たけど。
「はぁ、ハッ……。ぐッ」
全員が満身創痍だった。私は左手を雑魚の槍に貫かれ血まみれで。ヌファンはベアクローで背中をぱっくり切り裂かれた。ソーラは長中距離の武器だから一番怪我が少ないけど、それでも怪我がないわけじゃない。カペル君は背中に矢を撃たれた。たいしたことない毒だから解毒は戦闘中に行えたけど、それでも体力がない。
向こうは、余裕があるのにだ。
「随分持つね。流石は戦い女王といったところか」
「……私が殺しきれなかったから、辛い、痛い、ごめんね」
虚ろな目で、産んでごめんなさいと繰り返すお母様……。私はともかく横に控えてくれているカペル君への精神攻撃は抜群なようで。お母さんの声を聞く度に、カペル君の魔力が大きく不安定になる。そんな、異常なお母さんの方に手を乗せて笑うのは……。
「だって、君ら……殺されてくれないかい?」
平気で人に殺されろと宣う男だ。天使のようなフェイスをしているのに、どこか諦めた雰囲気の男だ。アビスは何も言わない反面に、この男は良く喋る。
「お断りよ! 独善が過ぎて反吐がでる」
「そもそも、人間が作った概念や思いは、全て不完全だからしかたないね。それを押しつけるのが独善だと理解はしているよ。断られても受け取ってくれないと困るんだよ!」
困るといいながら、真っ先に私めがけてツッコンできた。それをカペル君が防いで、横からヌファンが叩き潰そうとするところで、お母様がそれを剣で受け止める。いったいお母様のどこにそんな力があるんだか……っと思いながらも、後方で矢をつがえるアビスに向けて、詠唱破棄した魔力刃を放ち、避けた所をソーラのチャクラムで強襲してもらった……避けられたけど。
このまま行けば……絶対に負ける。相手側の援軍が来よう物ならあっという間に全滅だ。そう考えて居るうちに恐れていた相手側の援軍がぞろぞろと来たのだ。
「やっぱり変に戦争しかけるよりも、内部からやった方が速くカタが付きそうだ」
余裕面でそう呟く天使顔が……愁いて言う。
「それじゃ、総員……構え」
敵側の援軍が声と共に、弓を矢を魔法を構えてこちらへ向けてくる。明確に現れる【死】の予感で私の頭は凍えた。
どうする? どうすれば、私も皆も助けられる? と考えた。カタカタと剣が震える。震える私の前に守るようにカペル君が前に出た。高威力の魔法を撃てば勝てるのはわかる……けど。その場合は城が崩れて、私達も瓦礫となって死んでしまう。それじゃ意味は無い……どうする? どうする? そうグルグル考えて居ると。
ヌファンが陣形もなにもなくただ……前に出て私に振り向いた。ふわりと舞う、自身の散り場所を見つけた花のように綻んで笑っていた。
【破骨棍 円流上爆】
何気なく呟かれた声と共に、棍を地面に付くと登るような爆発の壁が下から上へと流れ……。ヌファンと私達を分断した。そして爆破の音と共に、さらに分断してくるように落ちてくる天井の瓦礫。不意に隙間のあいた爆破の壁の向こうに、こちらを優しい目で見て微笑む……ヌファンが、口を動かして言った。
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