全てが終わったBADEND後の乙女ゲーム転生で反逆いたします

高梨

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転移先は……。

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 指揮権を交代? しに急に現れたグランド様が手際よく、僕から指揮権を奪い……交代してれて指揮を変わってくれた。そのままリエル様のところへ加勢して欲しいと言われたので、僕は慌てて準備をしようとしたら。

「安心しろ、準備は出来てる」

「本当ですか! え? なんで首根っこを」

 急にグランド様がいい笑顔で僕の首根っこを掴んで引きづった。ずるずると引きずられる中で、思い出したようにグランド様は「んじゃ、行くぞ」っと言った。僕は状況が飲み込めず。どこへ行くのかと何度か抗議をするように暴れると……。いつの間にかアンドールの魔術研究会へと連れて行かれた。

「あの」

「大丈夫だ。研究者ってのはそんなもんだ」

 僕が言いたいのは。こんな状況でも変わらずに、研究を行う研究員のことじゃなくて。剣とか色々な準備のことを言っているのですが……。心の中で叫びにならない叫びを言って、魔術研究会の中を引きずられていくと。一つの扉の前でグランド様は立ち止まって。

「おーい開けてくれぇー」

 大きい声で開けるようにグランド様が言うと。ゆっくり重苦しい両開きの扉が内側に開いた。

「一体……ここは?」

「転移陣の備えてある部屋だ。今からお前はワジェライ王国の城の中に飛ぶんだよ」

 だから、武器とかの準備がまだ……。せめて今すぐではなく準備をしてから行かせてくれと抗議をする前に。グランド様はずるずると転移陣の目の前まで引きずっていく。

「流石に無謀すぎますって! グランド様!」

「つべこべ言わずにッッ」

 グランド様の腕が……グンと後方に引かれて。
 
「行け!!」

 思いっきり僕の身体をぶん投げた。

 僕を15人の魔術師を集めて作った転移陣の中に放りこんだ。ギリギリ、ワジェライ王国の城のどこかへと転移出来るらしい。投げられた僕は転移陣の書かれた床に、肩から激突してしまった。せめて武器を持たせてくださいという言葉も虚しく。

「空間転移起動!」

「せめて、武器を」

「あ、やべ わりぃ」

「何がわりぃなんですか!!!」

 響き渡った。どんどん溢れていく光の中でグランド様の「あ、やべ」という言葉が響き渡る。丸腰で戦場へ飛ばすなんて……。鬼、悪魔、人でなし!!! ひとしきり「ごめん」と謝るグランド様に向かって散々な言葉を千切っては投げるように言って。僕は転移された。

 一瞬の光と共に包まれる謎の感覚が僕の身体に纏わり付いてくる。上下左右もわからないような黒い空間と。気持ちの悪いゆらゆら、ぐにゃぐにゃ、理解のしがたい感覚が僕を襲ってフラフラと意識をふらつかせてしまう。その感覚で、喉からこみ上げてくる吐き気。

「う、うぇ……」

 転移陣での転移は、即時空間転移はできないようになっている。大体10分時空と空間の狭間の暗闇を漂って、やっと、転移が完了するんだ。その狭間は劣悪な馬車よりも、ぐらぐらと酔わせるように揺れるような感覚に襲われる。初めて経験したことだけど。正直……すでに吐きそうだ。身体は動かせるから口を両手で覆って耐える。

【騎士団長として単騎で行かねばならない時がありましてな。あれは……。そうだな……。俺がまだ34歳の頃に転移陣に乗ったときゃそりゃ酷かった。感覚はぐにゃぐにゃ揺れましてな……。目の前が真っ暗で、このまま転移が失敗して暗闇の中に囚われるんじゃないかという不安に襲われ。

中で思いっきり嘔吐したのですが……。その嘔吐も一緒に空間と時空の狭間から追い出されて。自分のゲロまみれの恰好のまま戦場に奇襲せねばならなかったときがありましてのう。

もう、二度と経験したくないものの一つですな】

 そう語ってくれた騎士団長の顔は真っ青を通りこして白かった。経験していない周りの騎士達はドッと一斉に笑うけど。当事者の騎士団長は口をへの字にして、眉間に皺を寄せながら。もう一度「二度と……」っと意味深に呟いて居たのが今思い起こされる。

「速く、速く、うぅ」

 涙目になりながら、10分過ぎるのを待って……やがて転移完了を告げる明るい光が僕を包んだ。所で……すぐにまた暗くなった。

「ひぃ」

「ここは……」

 嗅いだことのある失意とカビの混じった匂い。僕が奴隷だったころに嗅いだことのある匂いが……充満している暗い空間。暗い空間の中で人が怯えて息を潜める音が聞こえる。ザッと数えるだけで僕の周りに11人くらいは居る。先ほどの閃光のお陰で、暗くて目が役に立たないが……気配は感じられる。

【火よ我に在れ】

 短い詠唱で指先に小さな炎を携えて周りを見れば。赤いべっとりとした液体に塗られた鉄格子と……。僕を見て怯える市民。おそらくは罪もない市民が収容されているということに気がついた。

「貴方達はワジェライ王国の……」

「うぇ……」

「……」

 老若男女構わず僕を見て恐れている。こんな状況になったことがあるからわかる。怖いんだ……。自分と同じ所に収容されて居る人も僕も……全てが。

 その証明に11人全員が綺麗に離れて蹲っている。大方……罪悪感を煽る形の拷問をされて居たのであろうことが、経験で理解できてしまった。

(すみません、リエル。先に……この人達を助けますから。どうか……耐えて)

ー小話【思春期セミファイナル】ー

「今日はなんて良い天気なのでしょう。翡翠色のお姉さん……貴方はなんと美しい」

「僕はおとこですううううううううううううう!!!」

「はっはっは、冗談は近所の弟の娘だけでよしてくださいよ」

 城中を追いかけ回してくるマーベラスト様。日々の女性はこれに耐えているのかと思うと、もっと女性のことを知ろうと思いました。そんなことは良いんです。今問題なのはこの状況です。冗談は近所の弟の娘って誰ですか? それよりも……。

「だから、幻覚を見ているだけなんですってばあああああああ」

「幻覚を見るほどに貴方に惚れ込んでいるということですよ。んぁレディ~。あっはーん」

 本当に怖い。心の底から鼻息を荒くして追い掛けてくるマーベラスト様が怖い! 加減しているのか、追いつくか追いつかないかの寸前で距離を保っている。そこの理性はまだ働いているらしい。

「あ、カペルく」

「我が君、逃げてぇぇぇぇぇ」

 逃げているうちにいつの間にかリエル様の居るところへと逃げてしまっていたらしい。曲がり角でたまたま鉢合わせしてしまったリエル様が手を振っている。後ろはマーベラスト様で前はリエル様……どうしようと考えていたら、もう目の前にリエル様とその後ろにマーベラスト様。

「とう!」

「へぼらっじゃ……きゅう……」

 我が君が容赦無くマーベラスト様の顔面を蹴り上げた。なかなかの脚力で後方へすっ飛んだマーベラスト様は、気を失ってピクピク痙攣していた。心配になって駆け寄ろうとすれば、リエル様は僕の手を引いて後ろから抱きしめてきた。

「へ?」

 暖かい体温と、仄かに成長途中の胸が背中に当たって顔が赤く染まる。僕の顔はわかりやすく熱を持っていると後ろから我が君が頭を撫でて……。

「怖かったよね~。この馬鹿に今度言い聞かせるから」

「あの、わがき」

「補充、補充」

 抱きしめながら、補充と言って頭をさらさら撫でられる。最初は僕が撫でる側だったのに……いつの間にか僕は撫でられる側になってしまった。言いようもない悔しさに口をつぐんでいると。

「いつものカペル君が、私は落ち着くから好き。いつも、ありがとう」

 耳元でそう……囁かれた。

《カペルメモ》

あの後は目覚めたマーベラスト様が大変でしたけど。

僕は僕のままで、我が君の役に立っているのがわかってよかったです。

このまま……僕は少しずつ大人になろうとがんばります。
 
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