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家督は誰のもの
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「ダミアン様が屋敷を出て行くって……どういうことですの?」
絶句しているダミアンに代わり、ポーラが訝しそうに問いかける。
「あなた方と言ったでしょう? ダミアン様だけでなく、あなたにも出て行っていただきます」
「え、何で私まで!?」
「当然です。ダミアン様と離婚なさったら、あなたはラクール公爵家と無関係の人間になりますから。他人を屋敷に置いておくわけにはまいりません」
頭の弱いポーラにも分かるように、露骨な言い方で理由を述べる。すると案の定と言うべきか、ポーラは勢いよくダミアンへと振り返った。
「ダミアン様、お願い私を捨てないで!!」
「な、何を言ってるんだ」
「だって、離婚したら公爵家に居られなくなっちゃう!」
ダミアンの胸元にしがみつき、必死に窮状を訴えているが、そこでアリシアが笑顔で水を差す。
「先ほど私が申し上げたことを、もう忘れてしまいましたか?」
「何よ!!」
「ダミアン様も屋敷から追い出す予定ですので」
「あっ……だ、だったら、意味ないじゃない!!」
ポーラはダミアンからぱっと離れると、汚いものに触ったように両手を振り始める。ダミアンはその変わり身の早さに、ふつふつと怒りが湧き上がるのを感じた。
「何だと!? さっきまであんなに僕に縋り付いていたくせに!」
「それはダミアン様が公爵様になると思ってたから! でも結局アリシアが公爵様になっちゃうなら、もういらない!」
「な、なっ……僕がどれだけ可愛がってやったと思ってるんだ!?」
白熱夫婦喧嘩を一目見ようと、署内の警察官が集まり始める。
「お二人とも、そろそろ屋敷に戻りましょうか。きちんと説明をしなければなりませんし、今すぐ出て行けと言うのも酷ですから。ある程度の猶予は差し上げたいと思います」
「説明? 一体何の説明だ? どうせお前が公爵になれたのは、父上が遺言書でお前を指名したからだろ。無駄に頭がいいし、高位貴族の女どもからも信頼されているからな! だがラクール公爵家の正統な血を引く僕を追い出すなんて、いくら何でも横暴過ぎる!!」
ダミアンは地団駄を踏みながら声を荒らげた。まるで幼い子供のような癇癪に、警察官はおろかポーラも唖然とする。
そんな中、アリシアだけは表情一つ変えることなく、さらりと切り返す。
「でしたらラクール公爵家の血を引く方が当主となり、その方がダミアン様を追放なさるというなら納得していただけますか?」
「はぁっ!? そんなの僕以外いるわけないだろ!」
その瞬間、警察官たちがざわつき始めた。一様に怪訝そうな眼差しでダミアンを見ている。
「嘘……だろ?」
「自分の親のことだぞ? どうして知らないんだ……」
彼らは何の話をしている? 状況が飲み込めず狼狽えるダミアンに、アリシアが苦笑混じりに質問をする。
「……つかぬことをお聞きしますが、ダミアン様は先代公爵様が家督を継いだ経緯をご存じではなかったのですか?」
「そんなの、父上がラクール公爵家の嫡子だからに決まっているじゃないか」
「違います」
「え?」
即座に否定されて、ダミアンの目が点になる。
「先代は婿養子として公爵家に迎えられ、家督をお継ぎになったのです」
「ということは……まさか……」
「ええ。ラクール公爵家の血を引くのはオデット様、あなたのお母上のほうです」
「そ、そんなバカな……」
「そして二人でよく話し合ったのですが……ラクール公爵家の当主は当面の間、オデット様に務めていただこうかと思います」
寝耳に水としか言いようがなかった。
絶句しているダミアンに代わり、ポーラが訝しそうに問いかける。
「あなた方と言ったでしょう? ダミアン様だけでなく、あなたにも出て行っていただきます」
「え、何で私まで!?」
「当然です。ダミアン様と離婚なさったら、あなたはラクール公爵家と無関係の人間になりますから。他人を屋敷に置いておくわけにはまいりません」
頭の弱いポーラにも分かるように、露骨な言い方で理由を述べる。すると案の定と言うべきか、ポーラは勢いよくダミアンへと振り返った。
「ダミアン様、お願い私を捨てないで!!」
「な、何を言ってるんだ」
「だって、離婚したら公爵家に居られなくなっちゃう!」
ダミアンの胸元にしがみつき、必死に窮状を訴えているが、そこでアリシアが笑顔で水を差す。
「先ほど私が申し上げたことを、もう忘れてしまいましたか?」
「何よ!!」
「ダミアン様も屋敷から追い出す予定ですので」
「あっ……だ、だったら、意味ないじゃない!!」
ポーラはダミアンからぱっと離れると、汚いものに触ったように両手を振り始める。ダミアンはその変わり身の早さに、ふつふつと怒りが湧き上がるのを感じた。
「何だと!? さっきまであんなに僕に縋り付いていたくせに!」
「それはダミアン様が公爵様になると思ってたから! でも結局アリシアが公爵様になっちゃうなら、もういらない!」
「な、なっ……僕がどれだけ可愛がってやったと思ってるんだ!?」
白熱夫婦喧嘩を一目見ようと、署内の警察官が集まり始める。
「お二人とも、そろそろ屋敷に戻りましょうか。きちんと説明をしなければなりませんし、今すぐ出て行けと言うのも酷ですから。ある程度の猶予は差し上げたいと思います」
「説明? 一体何の説明だ? どうせお前が公爵になれたのは、父上が遺言書でお前を指名したからだろ。無駄に頭がいいし、高位貴族の女どもからも信頼されているからな! だがラクール公爵家の正統な血を引く僕を追い出すなんて、いくら何でも横暴過ぎる!!」
ダミアンは地団駄を踏みながら声を荒らげた。まるで幼い子供のような癇癪に、警察官はおろかポーラも唖然とする。
そんな中、アリシアだけは表情一つ変えることなく、さらりと切り返す。
「でしたらラクール公爵家の血を引く方が当主となり、その方がダミアン様を追放なさるというなら納得していただけますか?」
「はぁっ!? そんなの僕以外いるわけないだろ!」
その瞬間、警察官たちがざわつき始めた。一様に怪訝そうな眼差しでダミアンを見ている。
「嘘……だろ?」
「自分の親のことだぞ? どうして知らないんだ……」
彼らは何の話をしている? 状況が飲み込めず狼狽えるダミアンに、アリシアが苦笑混じりに質問をする。
「……つかぬことをお聞きしますが、ダミアン様は先代公爵様が家督を継いだ経緯をご存じではなかったのですか?」
「そんなの、父上がラクール公爵家の嫡子だからに決まっているじゃないか」
「違います」
「え?」
即座に否定されて、ダミアンの目が点になる。
「先代は婿養子として公爵家に迎えられ、家督をお継ぎになったのです」
「ということは……まさか……」
「ええ。ラクール公爵家の血を引くのはオデット様、あなたのお母上のほうです」
「そ、そんなバカな……」
「そして二人でよく話し合ったのですが……ラクール公爵家の当主は当面の間、オデット様に務めていただこうかと思います」
寝耳に水としか言いようがなかった。
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