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2巻
2-3
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第二話 いざサマル村へ
翌朝、私は鏡に映る自分の姿を真剣な表情で見つめていた。
赤からオレンジ色へとグラデーションのかかった、朝焼けの空を彷彿とさせるローブ。胸には大海原の青を閉じ込めたようなサファイアのペンダント。
どちらも私に似合っている……よね? うん、寝癖も残っていないしバッチリ!
身だしなみチェックを終えてリビングへ向かうと、ティアがふたり分の朝食を用意していた。出発前の準備で忙しい私のためにわざわざ来てくれたのだ。
「今日の朝ごはんは、鹿肉のローストサンドイッチとオニオンスープですよ~」
「えっ、ほんとに!?」
「レイフェルさんに食べさせたいと思って、村長が昨日鹿をバキュンッと狩ってきたみたいです」
猟銃を撃つジェスチャーをしながら、ティアがそう教えてくれる。
玉ねぎの甘いにおいがキッチンに漂っていたからスープを作ってくれているのは気づいていたけど、大好物のローストサンドイッチも朝から食べられるなんてうれしい。ありがとう、村長!
サンドイッチもスープも美味しく完食して、食後のハーブティーで一息つく。ダチュラさんとの待ち合わせに間に合うように、飲み終えたらすぐに出なければいけない。
「ティア、お店のことよろしくね」
「任せてください。アルさんにもちゃんと説明しておきますので」
「お願いします! アルさん、きっと落ち込むと思うから……」
私はパンッと両手を叩いて、ティアに頭を下げた。
「……落ち込むだけの人じゃないと思うんだけどなぁ」
「え?」
「いえいえ~。あの人のことなら、あんまり心配しなくても大丈夫じゃないですか?」
そうだといいなぁと思いつつ、お店とアルさんのことをティアに託し、私は村の入口へ向かった。
「おぅ~、レイフェルさんおはよう~」
その途中で散歩中の村長に声をかけられた。お辞儀をしながら鹿肉のお礼を言うと、うれしそうな笑顔が返ってくる。
「レイフェルさんに喜んでもらえて何よりじゃ。おー、それとな。サマル村に行くんじゃろ? 実はその村長はワシの兄なんじゃよ。多分まだ生きていると思……いや、もう死んどるかのぅ?」
「ど、どっちですか!? 結構大事なことですよ!?」
「人間いつか朽ち果てるものじゃよ。ワシなんて棺桶に片足突っ込んどるし」
なんか哲学的だなぁ……
「まぁ長旅は何が起こるか分からんからのぅ。気をつけて行ってくるんじゃぞ」
「はい!」
村長に笑顔で送り出され、いよいよ出発だと自分を鼓舞しながら歩を速めたのだった。
さて、村の入口で待つこと数分。
ポックリポックリと、リズミカルな馬の足音が聞こえてきた。その方向に視線を向けると、一台の馬車がゆっくりとこちらへ近づいてくる。
「ダチュラさーん!」
私が馬車に向かって大きく手を振ると、御者はこちらに気がついて、小さく手を振り返した。
「ごめんなさい、待たせてしまったみたいね」
私の横で馬車を停止させると、ダチュラさんはスカーフを少し緩めながら私に謝った。
「いえ、私も今来たばかりです」
「だったらいいんだけど……あら、この前と雰囲気が少し違うわね。そのローブを着ているからかしら? とっても綺麗な色ね。レイフェルさんによく似合っているわ」
ヒャッハー! 褒めてもらえた!
「ありがとうございます! 蛇の集いに入会したときにいただいたローブで、裏地に蛇の刺繍がされているんですよ」
「蛇? ああ、蛇は薬の神様の使い魔だったかしら?」
「はい。ちなみにこのローブの色は、朝焼けをイメージしたものなんです」
「凝っているわねぇ。私もほしいから、蛇の集いに入れるように頑張ってみようかしら……なんて冗談よ。さあ、早く後ろに乗って」
ダチュラさんに似合うローブかぁ。瞳の色と同じ若葉色……とイメージしたけれど、ちょっと違うかな。紺色とか紫色とか、大人っぽい色がぴったりかも。
脳内でダチュラさんファッションショーを開催しつつ、荷台に乗り込む。屋根つきのその中には、クッションとブランケット、それから数日分の水と食料、数冊の分厚い本が積まれていた。
なんか……秘密基地に来たみたいで、ワクワクする!
そして、ふくよかな体型をした女の人も同乗していた。
「初めまして、ヨランドと申します。普段はダチュラ様のご友人の介抱をしております。ですが、彼女から『私は大丈夫だから、たまにはダチュラについて行ってあげて』と……。そのためときどきこうして、ダチュラ様のお手伝いもしております。レイフェル様のことはお聞きしていました」
「よろしくお願いします、ヨランドさん」
「こちらこそよろしくお願いいたします。……ところでレイフェル様、その背負っているものはなんでしょうか?」
ヨランドさんは不思議そうな表情で、私が背負っているリュックサックに視線を向けた。
「よくぞ聞いてくれました。これはですね――」
ヨランドさんに説明をしながら、限界まで詰め込んだせいでパンパンになったリュックサックを下ろす。ドサッという重みを感じさせる音とともに、荷台の床に振動が伝わる。
……私こんなに重いのをよくここまで持ってくることができたな。
リュックサックの中に入っているのは消毒液、軟膏タイプの傷薬、鎮痛剤、包帯、綿、絆創膏、湿布などの応急処置セット。風邪薬や胃薬まである。
「ど、どうしてこんなにたくさんご用意されたんですか……?」
「いつ、どんなときに、何があるか分かりませんので!」
突然大きな事故に遭遇してもいいように、備えは万全にしておかな――
「うっ!」
突如私の肩を襲う激痛。肩めっちゃ痛い! 連日の無理が祟ったか……!
私は腕をクロスさせるように両肩を押さえながら、その場に蹲った。
「だ、大丈夫ですかレイフェル様!?」
「ヨランドさん、すみません。……肩に湿布を貼るのを手伝ってくれませんか?」
こんな形ではあるが、リュックサックに詰め込んだものが早速役に立った。こうして馬車に揺られながら私たちは目的地へ向かったのだ。
途中で何度か休憩を挟みながら、馬車を走らせること数時間。
今夜泊まる宿屋がある町に到着するころには、空は夕日に照らされて赤く染まっていた。
ダチュラさんによれば、この町では美味しいパンが食べられるみたい。そういえば数日前の新聞で、パン工場ができたって記事を読んだっけ。
素朴な造りの民家が立ち並ぶ町の中心部で、一際目立つ大きな建物があった。天に向かって伸びる数本の煙突から立ち上る煙。あれが噂のパン工場かな?
馬車預かり所に馬車を置いてから三人で町を歩いていると、歩きながらパンを美味しそうに食べている人たちとすれ違う。これは期待できそう……!
パン工場の周囲には屋台がずらりと並んでいて、工場で焼かれたパンが販売されているようだ。
これぞロード・オブ・ザ・パン。周辺に漂うパンのにおいを嗅いでいるだけで、お腹が空いてきちゃう。
「ここからは自由行動ってことで。自分のパンを買ったら、ここに集合ね」
「はい!」
ダチュラさんが待ち合わせの場所に決めたのは噴水広場。噴水の真ん中には謎のおじさんの石像が立っていて、ニッコリ笑顔が怖い。なんか目が合ったら石にされそう。
逃げるようにその場から離れて、早速パン選びへ。
焼きたてのソーセージを挟んだパン。揚げたあとにシナモンパウダーをまぶしたパン。パン生地に刻んだ海藻を練り込んだ変わり種なんかもある。
どれも美味しそうで、なかなか決められない。悩みすぎて途方に暮れていると、どこからか怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんだこのパンは! 生地がボソボソしているし、中に入っている具も不味いぞ!」
神経質そうな顔つきのおじさんが、屋台の店主を怒鳴りつけている。ん? あのおじさん、さっき見た噴水の銅像と似ていらっしゃる?
「私の経営する工場でこんなパンを作っているとは! 私に恥をかかせるつもりか!?」
「も、申し訳ございません! 早急にレシピの見直しを行いますので……」
「いや、私が責任者に直接文句を言う! 返答次第ではクビだな」
ドスドスと大きな足音を立てながら、おじさんが工場に向かって行く。
残された屋台の店主は、がっくりと肩を落としていた。公衆の面前で怒られちゃって、可哀想だな……
「すみません、パンをひとつください!」
このまま素通りすることもできなくて、私は彼に声をかけた。
「あ、ああ。でも……オーナーが怒鳴っているところを見たんじゃないのかい?」
「だって、とっても美味しそうじゃないですか」
台の上に並べられているまん丸のパンはうっすらと小麦色で、見るからに柔らかそう。他にも調理パンを二個購入した。それと木のコップに入ったジュースも買って、急いで噴水広場に戻る。
するとダチュラさんとヨランドさんは私より先に到着していた。選ぶのに時間がかかってすみません……
空いているベンチに座って、夕食タイム。
綺麗な夕焼けを眺めながら食べるなんて、なんだか風情がある。よきかな、よきかな。
最初に食べるのは、やっぱり例のまん丸パン。見た目は普通に美味しそうなんだけど、今になってちょっと不安になってきた。勇気を出して、大きな口でパンにかぶりつく。
「んんっ!?」
ふっくらとしたパン生地で、小麦の風味が鼻から突き抜けていく。中に入っているのは、トマトソースで炒めた鶏肉と野菜。ピリッとした辛さがいい刺激になって、食欲を倍増させる。
こ、これは……ッ!
「すっごく美味しい~~っ!」
――ドカーンッ!
私がパンの美味しさを叫んだと同時に、後ろからどえらい音がして地面が揺れた。慌てて振り向くと、パン工場からもくもくと立ちのぼる黒煙。
「え? 何あれ!?」
――ドカーンッ!
そして再び爆発音。オレンジ色の爆炎が工場から噴き上がり、煙突がゆっくりと倒れていく。
「きゃああああっ!?」
「なんで工場が爆発するんだよ!?」
「お、おい……炎が激しくなっているぞ! ここにいたら危ないんじゃねぇのか!?」
なんか大変なことになっているのでは~~!?
周りの人たちも混乱して右往左往している。
「皆さん、急いでこちらへ避難してください! 急いでっ!」
そ、そうだ。まずは逃げないと!
屋台の店主たちの誘導に従って、町のはずれまで避難する。工場の周辺で暮らしている人たちも慌てて逃げてきたみたい。中にはレードルと鍋の蓋を持っているおばさんもいた。
そして私たちとすれ違う形で、救助隊の人たちが工場へ走って行く。
「ここまでくれば大丈夫かしら」
ダチュラさんがふぅ……と、溜め息をつく。
工場内で連続して起きていた爆発は止まり、消火活動のおかげで次第に火の勢いも弱まり始めているみたい。だけど、工場の中には従業員がたくさんいたんじゃないかな……?
彼らのことを心配していると、あとから逃げてきた人たちの話し声が耳に入ってきた。
「ありゃあ、かなりヤバいことになりそうだな……」
「ああ。火はどうにか消し止められそうだが、どうやって怪我人の手当てをするんだ……?」
ん? 怪我人の手当て? 私は彼らに詳しく話を聞いてみる。
「あの、何かあったんですか?」
「薬が足りないんだとさ」
溜め息混じりにそう教えてくれたのは、避難の誘導をしていた屋台の店主。
「ちょうど傷薬や鎮痛剤の在庫が少なくなっていたみたいでな。しかも怪我人も大勢出ているとかで、全員手当てできるかどうか……あっ、どこに行くんだお嬢さん!?」
「お話ありがとうございましたぁー!」
お礼を言って、私が向かったのは馬車預かり所。
お目当ては、馬車の荷台に残してきたリュックサックだ。それを背負って、預かり所の人が案内してくれた診療所へと急ぐ。
ふらつきながら走っているうちに、怪我人が次々と運ばれていく建物が見えてきた。あそこが診療所だろうか。
中に入ると、待ち合い室には血のにおいと焦げたにおい、そして人々の悲鳴が充満していた。
「早く手当てしてくれ! いてぇ……いてぇよぉ……」
「腕から血が止まらないの……お願い助けて……」
「なぁ、薬が足りないって聞いたけど、本当なのかよ。俺たち助けてもらえないのか!?」
以前起きた、国境ゲート爆発事故のときのような光景が広がっている。
治療室に向かうと、医者と看護師が言い争いをしていた。
「患者の受け入れを断る!? 君は何を言っているんだ!」
「先生だって薬が残り少ないことは分かっているでしょう!? これ以上、患者が運ばれてきたところで対応できるか……」
「あ、あの! 薬が足りないようでしたら、私の薬を使ってください!」
私はそう叫びながらリュックサックをテーブルに置いた。そして中から、傷薬や消毒液を次々と取り出していく。それらを見た医者の目が、大きく見開く。
「こんなにたくさん……い、いいのか?」
「はい! もう全部使っちゃっていいんで!」
「ありがとう……これだけあれば、全員助けられるぞ!」
医者の瞳に希望の光が宿った。医者と口論していた看護師も「はい!」と嬉しそうな声で返事をする。
よーし。薬を渡すことができたし、私も手伝おう! そうすれば、医者たちが重傷患者を優先的に治療できるからね。
そうして待合室にいる軽傷者の手当てをし始め、七人くらい完了したときだった。
「もっとそっと運べ! 振動が足に響く!」
また新しく怪我人がやってきたみたいなので、そっちに視線を向ける。なんとさっき屋台の店主に文句を言っていたあの石像おじさんだった。
「おい、医者ども! 私は生死に関わる大怪我をしているんだから、とっとと治療しろぉ!」
すんごい元気そうだな……何しにきた?
「どこを怪我なさったんですか?」
私と一緒に軽傷者の手当てをしていた看護婦が、石像おじさんに声をかけた。
「工場から逃げる最中に、足を痛めた! まったく、早く私を診療所まで運べと救助隊に文句を言ったのに、他の怪我人を優先して私はしばらくほったらかしにされていたんだ!」
「それは……」
石像おじさんの言葉を聞いて、看護師の顔に呆れの色が浮かぶ。
言い方は悪いけれど、石像おじさんよりも酷い怪我をした人が大勢いる。その人たちを優先するのは当たり前のことだと思うんだけど……
「申し訳ありませんが、ただいま先生は他の患者の処置を行っております。もうしばらくお待ちいただいて――」
「他の患者なんぞ、あと回しにしろ! 私は金も地位も持っているんだ! 普通は偉い人間から治療するものだろう!?」
あのうるさい口に包帯の束でも突っ込んで、黙らせるべきかと真剣に検討していると、石像おじさんが担架から下りて、自分の足で治療室へ走り出した。走れるじゃん? 普通に走れるじゃん!!
「やめんか、馬鹿者!!」
私は石像おじさんを後ろから羽交い締めにして、待合室の隅へズルズルと引きずっていく。無駄な肉を落とした貧弱ガリガリボディなので、持ち運びが楽で助かる。
「やめろっ! 何をする!?」
「それはこっちの台詞です。治療の邪魔をしないでください」
そう注意しながら体を離してやると、石像おじさんは私を鋭く睨みつけてきた。
「い、芋臭い小娘の分際で私を愚弄しおってぇ……! 逮捕だ! 侮辱罪で貴様を逮捕してやる!!」
「ファッ!?」
「私はここの領主と親しい間柄でな! 彼に頼んで貴様を牢屋送りにすることなど、造作もないことなのだよ! フハハハハハ!!」
石像おじさんの高笑いが待合室に響き渡る。
好き勝手言わせておけば、この男……! 私の怒り指数が限界突破しようとしている。
ここは一発、闘魂ビンタでもお見舞いしてやろうか。気合いを込めてシャドービンタを始めたときだった。
「それは明らかな不当逮捕です。そんなことは許されませんよ」
後ろから聞こえてきたのは穏やかで、けれど怒りを抑え込んでいるような声だった。
ま、まさか……! 私が振り返ったと同時に、彼の手が私の肩にそっと置かれた。
「ア、アルさん……!? どうしてアルさんがここに?」
「お久しぶりですね、レイフェル様」
そう言いながら、ニッコリと微笑む私の恋人。
思いがけない再会にびっくりしていると、あんなに怒っていた石像おじさんが急に笑顔を見せ始める。
「こ、これは薬学王子ではありませんか~。なぜこちらにいらっしゃるのですか?」
「この国に蛇の集いの支部ができたことはご存じですか? 僕はそこの支部長を務めているんです」
「そ、そうですか~」
媚び全開スマイルの石像おじさんに対し、アルさんも優しそうな笑顔で答える。
ふたりは知り合いなのかな?
「失礼ですが、こちらの可愛らしいお嬢様とはどのようなご関係で……」
「僕の大切な人です」
アルさんは凛とした声で答えると、私の体を自分のほうへと抱き寄せた。
ちょっとちょっと、こんなところで何してんですか! けれど嬉しくて、アルさんの手を振り解くことなんてできなかった。
「そ、そ、そうですか~! いやぁ~、素敵な美男美女のカップルですなぁ~!」
私まで褒め始める石像おじさん。
なーにが美男美女か! さっき私のことを芋臭いと言ったことは忘れんぞ。
「看護師や他の患者から聞きましたよ。あなたが治療室に強引に押し入ろうとして、レイフェル様に止められていたと。……まさか、そんなことでレイフェル様を逮捕するつもりですか?」
アルさんはアルさんで、口角は上がっているけれど目が笑っていない。
「はて、そんなこと言いましたっけ……? 気が動転しておかしなことを口走ってしまったかもしれませんなぁ! なんか足の痛みも引いたことですし、私はこれで失礼いたします!」
口早にそう言い残すと、石像おじさんは猛ダッシュで診療所を飛び出していった。
彼と入れ違いに入ってきたムキムキマッチョマン。
「ハルバートさん!」
「よう、久しぶりだな嬢ちゃん。今、変な親父が飛び出していったんだが、何かあったのか?」
ニッカリと厳つい山賊スマイルを浮かべるハルバートさん。
「それがですね……あっ、今はそんなことよりも、怪我人の手当てをするのを手伝ってくれませんか!?」
怪我人はこれからもっと運ばれてくるはず。少しでも人手は多いほうがいい。
「もちろんです、レイフェル様。ハルバート様もいいですよね?」
「当然だ。簡単な手当てなら俺でもできるからな」
「アルさん……ハルバートさん……ありがとうございます!」
よーし、絶対にみんなを助けるぞ!
翌朝、私は鏡に映る自分の姿を真剣な表情で見つめていた。
赤からオレンジ色へとグラデーションのかかった、朝焼けの空を彷彿とさせるローブ。胸には大海原の青を閉じ込めたようなサファイアのペンダント。
どちらも私に似合っている……よね? うん、寝癖も残っていないしバッチリ!
身だしなみチェックを終えてリビングへ向かうと、ティアがふたり分の朝食を用意していた。出発前の準備で忙しい私のためにわざわざ来てくれたのだ。
「今日の朝ごはんは、鹿肉のローストサンドイッチとオニオンスープですよ~」
「えっ、ほんとに!?」
「レイフェルさんに食べさせたいと思って、村長が昨日鹿をバキュンッと狩ってきたみたいです」
猟銃を撃つジェスチャーをしながら、ティアがそう教えてくれる。
玉ねぎの甘いにおいがキッチンに漂っていたからスープを作ってくれているのは気づいていたけど、大好物のローストサンドイッチも朝から食べられるなんてうれしい。ありがとう、村長!
サンドイッチもスープも美味しく完食して、食後のハーブティーで一息つく。ダチュラさんとの待ち合わせに間に合うように、飲み終えたらすぐに出なければいけない。
「ティア、お店のことよろしくね」
「任せてください。アルさんにもちゃんと説明しておきますので」
「お願いします! アルさん、きっと落ち込むと思うから……」
私はパンッと両手を叩いて、ティアに頭を下げた。
「……落ち込むだけの人じゃないと思うんだけどなぁ」
「え?」
「いえいえ~。あの人のことなら、あんまり心配しなくても大丈夫じゃないですか?」
そうだといいなぁと思いつつ、お店とアルさんのことをティアに託し、私は村の入口へ向かった。
「おぅ~、レイフェルさんおはよう~」
その途中で散歩中の村長に声をかけられた。お辞儀をしながら鹿肉のお礼を言うと、うれしそうな笑顔が返ってくる。
「レイフェルさんに喜んでもらえて何よりじゃ。おー、それとな。サマル村に行くんじゃろ? 実はその村長はワシの兄なんじゃよ。多分まだ生きていると思……いや、もう死んどるかのぅ?」
「ど、どっちですか!? 結構大事なことですよ!?」
「人間いつか朽ち果てるものじゃよ。ワシなんて棺桶に片足突っ込んどるし」
なんか哲学的だなぁ……
「まぁ長旅は何が起こるか分からんからのぅ。気をつけて行ってくるんじゃぞ」
「はい!」
村長に笑顔で送り出され、いよいよ出発だと自分を鼓舞しながら歩を速めたのだった。
さて、村の入口で待つこと数分。
ポックリポックリと、リズミカルな馬の足音が聞こえてきた。その方向に視線を向けると、一台の馬車がゆっくりとこちらへ近づいてくる。
「ダチュラさーん!」
私が馬車に向かって大きく手を振ると、御者はこちらに気がついて、小さく手を振り返した。
「ごめんなさい、待たせてしまったみたいね」
私の横で馬車を停止させると、ダチュラさんはスカーフを少し緩めながら私に謝った。
「いえ、私も今来たばかりです」
「だったらいいんだけど……あら、この前と雰囲気が少し違うわね。そのローブを着ているからかしら? とっても綺麗な色ね。レイフェルさんによく似合っているわ」
ヒャッハー! 褒めてもらえた!
「ありがとうございます! 蛇の集いに入会したときにいただいたローブで、裏地に蛇の刺繍がされているんですよ」
「蛇? ああ、蛇は薬の神様の使い魔だったかしら?」
「はい。ちなみにこのローブの色は、朝焼けをイメージしたものなんです」
「凝っているわねぇ。私もほしいから、蛇の集いに入れるように頑張ってみようかしら……なんて冗談よ。さあ、早く後ろに乗って」
ダチュラさんに似合うローブかぁ。瞳の色と同じ若葉色……とイメージしたけれど、ちょっと違うかな。紺色とか紫色とか、大人っぽい色がぴったりかも。
脳内でダチュラさんファッションショーを開催しつつ、荷台に乗り込む。屋根つきのその中には、クッションとブランケット、それから数日分の水と食料、数冊の分厚い本が積まれていた。
なんか……秘密基地に来たみたいで、ワクワクする!
そして、ふくよかな体型をした女の人も同乗していた。
「初めまして、ヨランドと申します。普段はダチュラ様のご友人の介抱をしております。ですが、彼女から『私は大丈夫だから、たまにはダチュラについて行ってあげて』と……。そのためときどきこうして、ダチュラ様のお手伝いもしております。レイフェル様のことはお聞きしていました」
「よろしくお願いします、ヨランドさん」
「こちらこそよろしくお願いいたします。……ところでレイフェル様、その背負っているものはなんでしょうか?」
ヨランドさんは不思議そうな表情で、私が背負っているリュックサックに視線を向けた。
「よくぞ聞いてくれました。これはですね――」
ヨランドさんに説明をしながら、限界まで詰め込んだせいでパンパンになったリュックサックを下ろす。ドサッという重みを感じさせる音とともに、荷台の床に振動が伝わる。
……私こんなに重いのをよくここまで持ってくることができたな。
リュックサックの中に入っているのは消毒液、軟膏タイプの傷薬、鎮痛剤、包帯、綿、絆創膏、湿布などの応急処置セット。風邪薬や胃薬まである。
「ど、どうしてこんなにたくさんご用意されたんですか……?」
「いつ、どんなときに、何があるか分かりませんので!」
突然大きな事故に遭遇してもいいように、備えは万全にしておかな――
「うっ!」
突如私の肩を襲う激痛。肩めっちゃ痛い! 連日の無理が祟ったか……!
私は腕をクロスさせるように両肩を押さえながら、その場に蹲った。
「だ、大丈夫ですかレイフェル様!?」
「ヨランドさん、すみません。……肩に湿布を貼るのを手伝ってくれませんか?」
こんな形ではあるが、リュックサックに詰め込んだものが早速役に立った。こうして馬車に揺られながら私たちは目的地へ向かったのだ。
途中で何度か休憩を挟みながら、馬車を走らせること数時間。
今夜泊まる宿屋がある町に到着するころには、空は夕日に照らされて赤く染まっていた。
ダチュラさんによれば、この町では美味しいパンが食べられるみたい。そういえば数日前の新聞で、パン工場ができたって記事を読んだっけ。
素朴な造りの民家が立ち並ぶ町の中心部で、一際目立つ大きな建物があった。天に向かって伸びる数本の煙突から立ち上る煙。あれが噂のパン工場かな?
馬車預かり所に馬車を置いてから三人で町を歩いていると、歩きながらパンを美味しそうに食べている人たちとすれ違う。これは期待できそう……!
パン工場の周囲には屋台がずらりと並んでいて、工場で焼かれたパンが販売されているようだ。
これぞロード・オブ・ザ・パン。周辺に漂うパンのにおいを嗅いでいるだけで、お腹が空いてきちゃう。
「ここからは自由行動ってことで。自分のパンを買ったら、ここに集合ね」
「はい!」
ダチュラさんが待ち合わせの場所に決めたのは噴水広場。噴水の真ん中には謎のおじさんの石像が立っていて、ニッコリ笑顔が怖い。なんか目が合ったら石にされそう。
逃げるようにその場から離れて、早速パン選びへ。
焼きたてのソーセージを挟んだパン。揚げたあとにシナモンパウダーをまぶしたパン。パン生地に刻んだ海藻を練り込んだ変わり種なんかもある。
どれも美味しそうで、なかなか決められない。悩みすぎて途方に暮れていると、どこからか怒鳴り声が聞こえてきた。
「なんだこのパンは! 生地がボソボソしているし、中に入っている具も不味いぞ!」
神経質そうな顔つきのおじさんが、屋台の店主を怒鳴りつけている。ん? あのおじさん、さっき見た噴水の銅像と似ていらっしゃる?
「私の経営する工場でこんなパンを作っているとは! 私に恥をかかせるつもりか!?」
「も、申し訳ございません! 早急にレシピの見直しを行いますので……」
「いや、私が責任者に直接文句を言う! 返答次第ではクビだな」
ドスドスと大きな足音を立てながら、おじさんが工場に向かって行く。
残された屋台の店主は、がっくりと肩を落としていた。公衆の面前で怒られちゃって、可哀想だな……
「すみません、パンをひとつください!」
このまま素通りすることもできなくて、私は彼に声をかけた。
「あ、ああ。でも……オーナーが怒鳴っているところを見たんじゃないのかい?」
「だって、とっても美味しそうじゃないですか」
台の上に並べられているまん丸のパンはうっすらと小麦色で、見るからに柔らかそう。他にも調理パンを二個購入した。それと木のコップに入ったジュースも買って、急いで噴水広場に戻る。
するとダチュラさんとヨランドさんは私より先に到着していた。選ぶのに時間がかかってすみません……
空いているベンチに座って、夕食タイム。
綺麗な夕焼けを眺めながら食べるなんて、なんだか風情がある。よきかな、よきかな。
最初に食べるのは、やっぱり例のまん丸パン。見た目は普通に美味しそうなんだけど、今になってちょっと不安になってきた。勇気を出して、大きな口でパンにかぶりつく。
「んんっ!?」
ふっくらとしたパン生地で、小麦の風味が鼻から突き抜けていく。中に入っているのは、トマトソースで炒めた鶏肉と野菜。ピリッとした辛さがいい刺激になって、食欲を倍増させる。
こ、これは……ッ!
「すっごく美味しい~~っ!」
――ドカーンッ!
私がパンの美味しさを叫んだと同時に、後ろからどえらい音がして地面が揺れた。慌てて振り向くと、パン工場からもくもくと立ちのぼる黒煙。
「え? 何あれ!?」
――ドカーンッ!
そして再び爆発音。オレンジ色の爆炎が工場から噴き上がり、煙突がゆっくりと倒れていく。
「きゃああああっ!?」
「なんで工場が爆発するんだよ!?」
「お、おい……炎が激しくなっているぞ! ここにいたら危ないんじゃねぇのか!?」
なんか大変なことになっているのでは~~!?
周りの人たちも混乱して右往左往している。
「皆さん、急いでこちらへ避難してください! 急いでっ!」
そ、そうだ。まずは逃げないと!
屋台の店主たちの誘導に従って、町のはずれまで避難する。工場の周辺で暮らしている人たちも慌てて逃げてきたみたい。中にはレードルと鍋の蓋を持っているおばさんもいた。
そして私たちとすれ違う形で、救助隊の人たちが工場へ走って行く。
「ここまでくれば大丈夫かしら」
ダチュラさんがふぅ……と、溜め息をつく。
工場内で連続して起きていた爆発は止まり、消火活動のおかげで次第に火の勢いも弱まり始めているみたい。だけど、工場の中には従業員がたくさんいたんじゃないかな……?
彼らのことを心配していると、あとから逃げてきた人たちの話し声が耳に入ってきた。
「ありゃあ、かなりヤバいことになりそうだな……」
「ああ。火はどうにか消し止められそうだが、どうやって怪我人の手当てをするんだ……?」
ん? 怪我人の手当て? 私は彼らに詳しく話を聞いてみる。
「あの、何かあったんですか?」
「薬が足りないんだとさ」
溜め息混じりにそう教えてくれたのは、避難の誘導をしていた屋台の店主。
「ちょうど傷薬や鎮痛剤の在庫が少なくなっていたみたいでな。しかも怪我人も大勢出ているとかで、全員手当てできるかどうか……あっ、どこに行くんだお嬢さん!?」
「お話ありがとうございましたぁー!」
お礼を言って、私が向かったのは馬車預かり所。
お目当ては、馬車の荷台に残してきたリュックサックだ。それを背負って、預かり所の人が案内してくれた診療所へと急ぐ。
ふらつきながら走っているうちに、怪我人が次々と運ばれていく建物が見えてきた。あそこが診療所だろうか。
中に入ると、待ち合い室には血のにおいと焦げたにおい、そして人々の悲鳴が充満していた。
「早く手当てしてくれ! いてぇ……いてぇよぉ……」
「腕から血が止まらないの……お願い助けて……」
「なぁ、薬が足りないって聞いたけど、本当なのかよ。俺たち助けてもらえないのか!?」
以前起きた、国境ゲート爆発事故のときのような光景が広がっている。
治療室に向かうと、医者と看護師が言い争いをしていた。
「患者の受け入れを断る!? 君は何を言っているんだ!」
「先生だって薬が残り少ないことは分かっているでしょう!? これ以上、患者が運ばれてきたところで対応できるか……」
「あ、あの! 薬が足りないようでしたら、私の薬を使ってください!」
私はそう叫びながらリュックサックをテーブルに置いた。そして中から、傷薬や消毒液を次々と取り出していく。それらを見た医者の目が、大きく見開く。
「こんなにたくさん……い、いいのか?」
「はい! もう全部使っちゃっていいんで!」
「ありがとう……これだけあれば、全員助けられるぞ!」
医者の瞳に希望の光が宿った。医者と口論していた看護師も「はい!」と嬉しそうな声で返事をする。
よーし。薬を渡すことができたし、私も手伝おう! そうすれば、医者たちが重傷患者を優先的に治療できるからね。
そうして待合室にいる軽傷者の手当てをし始め、七人くらい完了したときだった。
「もっとそっと運べ! 振動が足に響く!」
また新しく怪我人がやってきたみたいなので、そっちに視線を向ける。なんとさっき屋台の店主に文句を言っていたあの石像おじさんだった。
「おい、医者ども! 私は生死に関わる大怪我をしているんだから、とっとと治療しろぉ!」
すんごい元気そうだな……何しにきた?
「どこを怪我なさったんですか?」
私と一緒に軽傷者の手当てをしていた看護婦が、石像おじさんに声をかけた。
「工場から逃げる最中に、足を痛めた! まったく、早く私を診療所まで運べと救助隊に文句を言ったのに、他の怪我人を優先して私はしばらくほったらかしにされていたんだ!」
「それは……」
石像おじさんの言葉を聞いて、看護師の顔に呆れの色が浮かぶ。
言い方は悪いけれど、石像おじさんよりも酷い怪我をした人が大勢いる。その人たちを優先するのは当たり前のことだと思うんだけど……
「申し訳ありませんが、ただいま先生は他の患者の処置を行っております。もうしばらくお待ちいただいて――」
「他の患者なんぞ、あと回しにしろ! 私は金も地位も持っているんだ! 普通は偉い人間から治療するものだろう!?」
あのうるさい口に包帯の束でも突っ込んで、黙らせるべきかと真剣に検討していると、石像おじさんが担架から下りて、自分の足で治療室へ走り出した。走れるじゃん? 普通に走れるじゃん!!
「やめんか、馬鹿者!!」
私は石像おじさんを後ろから羽交い締めにして、待合室の隅へズルズルと引きずっていく。無駄な肉を落とした貧弱ガリガリボディなので、持ち運びが楽で助かる。
「やめろっ! 何をする!?」
「それはこっちの台詞です。治療の邪魔をしないでください」
そう注意しながら体を離してやると、石像おじさんは私を鋭く睨みつけてきた。
「い、芋臭い小娘の分際で私を愚弄しおってぇ……! 逮捕だ! 侮辱罪で貴様を逮捕してやる!!」
「ファッ!?」
「私はここの領主と親しい間柄でな! 彼に頼んで貴様を牢屋送りにすることなど、造作もないことなのだよ! フハハハハハ!!」
石像おじさんの高笑いが待合室に響き渡る。
好き勝手言わせておけば、この男……! 私の怒り指数が限界突破しようとしている。
ここは一発、闘魂ビンタでもお見舞いしてやろうか。気合いを込めてシャドービンタを始めたときだった。
「それは明らかな不当逮捕です。そんなことは許されませんよ」
後ろから聞こえてきたのは穏やかで、けれど怒りを抑え込んでいるような声だった。
ま、まさか……! 私が振り返ったと同時に、彼の手が私の肩にそっと置かれた。
「ア、アルさん……!? どうしてアルさんがここに?」
「お久しぶりですね、レイフェル様」
そう言いながら、ニッコリと微笑む私の恋人。
思いがけない再会にびっくりしていると、あんなに怒っていた石像おじさんが急に笑顔を見せ始める。
「こ、これは薬学王子ではありませんか~。なぜこちらにいらっしゃるのですか?」
「この国に蛇の集いの支部ができたことはご存じですか? 僕はそこの支部長を務めているんです」
「そ、そうですか~」
媚び全開スマイルの石像おじさんに対し、アルさんも優しそうな笑顔で答える。
ふたりは知り合いなのかな?
「失礼ですが、こちらの可愛らしいお嬢様とはどのようなご関係で……」
「僕の大切な人です」
アルさんは凛とした声で答えると、私の体を自分のほうへと抱き寄せた。
ちょっとちょっと、こんなところで何してんですか! けれど嬉しくて、アルさんの手を振り解くことなんてできなかった。
「そ、そ、そうですか~! いやぁ~、素敵な美男美女のカップルですなぁ~!」
私まで褒め始める石像おじさん。
なーにが美男美女か! さっき私のことを芋臭いと言ったことは忘れんぞ。
「看護師や他の患者から聞きましたよ。あなたが治療室に強引に押し入ろうとして、レイフェル様に止められていたと。……まさか、そんなことでレイフェル様を逮捕するつもりですか?」
アルさんはアルさんで、口角は上がっているけれど目が笑っていない。
「はて、そんなこと言いましたっけ……? 気が動転しておかしなことを口走ってしまったかもしれませんなぁ! なんか足の痛みも引いたことですし、私はこれで失礼いたします!」
口早にそう言い残すと、石像おじさんは猛ダッシュで診療所を飛び出していった。
彼と入れ違いに入ってきたムキムキマッチョマン。
「ハルバートさん!」
「よう、久しぶりだな嬢ちゃん。今、変な親父が飛び出していったんだが、何かあったのか?」
ニッカリと厳つい山賊スマイルを浮かべるハルバートさん。
「それがですね……あっ、今はそんなことよりも、怪我人の手当てをするのを手伝ってくれませんか!?」
怪我人はこれからもっと運ばれてくるはず。少しでも人手は多いほうがいい。
「もちろんです、レイフェル様。ハルバート様もいいですよね?」
「当然だ。簡単な手当てなら俺でもできるからな」
「アルさん……ハルバートさん……ありがとうございます!」
よーし、絶対にみんなを助けるぞ!
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