Trade Secret R ~ やがて、あの約束へ ~

あたか

文字の大きさ
16 / 94
第1幕 企業研修編

第4章 日英対抗、枕合戦⑤

しおりを挟む
「うるせぇ!! こっちはな、財閥家ざいばつけの出身ってだけで、家でも学校でも四六時中監視されてるような毎日送ってるんだよ! 
俺の立場がお前に分かってたまるか! ストレスまってんだよ! 分かるか、この息苦しさが?!
それに比べて、そっちは自由奔放に生きてていいよな!」


侑斗ゆきともサルヴァトーレに負けじと声を上げた。

そして、いつも穏やかな侑斗ゆきとの顔が、息も荒く不敵に笑っていた。

それを見たサルヴァトーレも息遣いが荒い。

だが、やっとこの温厚そうな優等生の仮面をいだ気がした。

嘲笑ちょうしょうとも取れる表情を浮かべて、侑斗ゆきとに吐き捨てるようにこう言った。





「ハッ……やっと本性出したな。 
とんだ性悪優等生しょうわるゆうとうせいだ!」


「うるせぇ、お前ほどじゃねぇ!」


どちらも一歩も引かない。

子供の喧嘩が国境を越えて白熱し出した。

こうして、学生達による日英対抗枕合戦にちえいたいこうまくらがっせんは、いよいよクライマックスへと突入した。


「俺は――、自分に正直に生きてるだけだ。
お前達みたいに表と裏使い分けてる二枚舌人種にまいじたじんしゅが一番タチが悪い!」


「この国はな、空気読むのが美徳なんだよ! 
言わなくても伝わる“感性”を、何世代にわたって磨いてきたんだ。お前はまずそれを学べ!!
協調性の意味すら知らねぇくせに! 
日本なめんなよ!」


「イギリスなめんなよ! 
“言葉”で革命も戦争も起こしてきた国だ。お前らの“察し文化”なんか通じねぇんだよ。
黙って伝わるなら、議会も裁判も必要ねぇわ!!」


「議会と裁判は違うだろ!
黙っていても、“正しさ”は誰かが拾い上げる。
それが日本の強さなんだよ!!」


「笑わせるな。
お前ら喋らすのが国際会議で最も世界中が頭を悩ませてる課題だ。
インド人顔負けのカレー振舞ってる暇があるなら、まずは自己主張するスキルでもイギリスに学びに来い!
骨の髄まで叩き込んでやる!!」


「誰が行くかよ!  
皮肉を肴に紅茶すすってスコーン食ってる国なんざ、お断りだ!!
紳士淑女しんししゅくじょが笑わせんな! 
黙っていても背中が語る、それが日本人だ!」


「その背中が、何も語ってねぇから世界が困ってんだよ!」


「うるせぇ! 日本が世界に誇る暗黙のコミニュケーション文化ってやつを教えてやるよ!!」


「上等だ! やれるものならやってみろ!!」


もはや、枕を捨て彼らは取っ組み合いの喧嘩を始めた。

髪を引っ張り、服を引っ張り、床に転がり、やりたい放題だった。

一応言っておくが、境遇は違えど、二人とも学年トップの成績を争う優等生だ。

今宵こよい、その学生達が――、

最中もなか一口で、歴史的ともいえる平和でアホな日英の外交危機を引き起こした。

本件は両国の外交に一切関係はない。

そして、この夜の騒動を外交問題にしたがる記者は、いまのところ存在していない。

少なくとも今は良好なはずだ。

おそらく――。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

灰かぶり君

渡里あずま
BL
谷出灰(たに いずりは)十六歳。平凡だが、職業(ケータイ小説家)はちょっと非凡(本人談)。 お嬢様学校でのガールズライフを書いていた彼だったがある日、担当から「次は王道学園物(BL)ね♪」と無茶振りされてしまう。 「出灰君は安心して、王道君を主人公にした王道学園物を書いてちょうだい!」 「……禿げる」 テンション低め(脳内ではお喋り)な主人公の運命はいかに? ※重複投稿作品※

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー

夏目碧央
BL
 強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。  一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。

孤毒の解毒薬

紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。 中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。 不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。 【登場人物】 西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。 白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

処理中です...