Trade Secret R ~ やがて、あの約束へ ~

あたか

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第3幕 男を愚かにさせるものとは

第4章 最高に男を苦しませる方法①

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夕月夜ゆうづくよを迎えた蛍雪高校けいせつこうこうの校舎裏、自販機の傍にいたサルヴァトーレはご機嫌だった。

理由はもちろん、侑斗ゆきとはるかのこじれた痴話喧嘩ちわげんかがあんなにも狂気じみた舞台を繰り広げてくれたからだ。

そして、日本のコーラもまた彼の味覚を掴んだようだ。

いつの頃か、日本の伝統菓子の最中もなかをたった一口ひとくちしょくしただけで、危うく日英戦争に発展しそうになるほどブチ切れたのは、まだ皆の記憶に新しいだろうか。

だが、そんな彼にも日本で気に入るものがあったらしい。

甘さ控えめの適度にサッパリしている日本のコーラは彼の口に合った。

期間限定の味やパッケージなどにも興味が沸いたようだ。

国籍や文化は違えど彼もまた普通の高校生だった。

自販機でコーラを買って一口飲み干すと、この美しい金髪の少年は教室の方へ歩き出した。

すると、突然、何かが彼の美しい顔目掛けて飛んできた。


パシッ――

石を紙切れで包んだようなものが、サルヴァトーレ目掛けて飛んできたが、コーラ片手に器用にも彼は表情一つ変えずにつかんだ。

そして、その石が投げられた方角に現れた人物を見て、サルヴァトーレは不敵に笑った。


「おお、名女優。狂気の演技、見事だった。久しぶりに心から楽しませて貰ったぞ」


悪趣味あくしゅみね。なんの真似よ、それ?」


そこにいたのは、はるかだった。

いつも二つに分けて髪を結っていたはずが、今は長い髪が背中に流れている。

授業中に、自分を挑発するようなメモを回してきたのは、コーラ片手にニヤリと笑ったこのサルヴァトーレだ。


「言いたいことがあるなら、侑斗ゆきと本人に直接言ったらどうだ?」と言うかのように。

そして、その紙切れを石に丸めて投げ返したのははるかだった。

今の彼女は普段の温厚そうな真面目な優等生、九条遥くじょうはるかとは別人だった。

ただ、はるかの鬼のような形相ぎょうそうを見ても、サルヴァトーレは侑斗ゆきとのようにひるむどころか、楽しそうに観察して飄々ひょうひょうとしていた。


「さあ、“なんの”とは?」


「っ……私を馬鹿にしてるの?!」


「イギリス流のジョークさ。お陰でスッキリしただろ?」


暫しの沈黙が流れる。

サルヴァトーレはコーラを飲みながら、彼女の次の言葉を面白そうに待っていた。

そして、
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