菓子と魔王と甘き恋

蒼葉縁

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私は今非常に困っている
何故なら
両側に女が二人引っ付いているからだ
「離れてくれ」
『嫌だ』
もう何だこの繰り返しをしたんだか分からない
こうなった経緯は友達になることを断ったからである
私は溜息を吐いてひらりと二人から離れた
「人嫌いに友達になろうなど、よく言えたものだ」
窓に足をかけ、飛び降りる
確かに三階だった
そう思いくるりと回転して着地する
「お!椿じゃねぇか」
これであいつらも来れないだろうと前を向くが、前方から魔王こと小暮が走って来ていた
「………はぁ」
私は後方に思いっきり足を飛ばす
なんなんだ
一体私が何をしたと言う
私は溜息を吐いて、家庭科室の鍵をかける
身体の疲れを取り、スイーツを作り始めた
今日は南瓜が入ったらしい
その南瓜を少し貰った
今日はかぼちゃプリンとパンプキンタルトを作る
「さて、と」
そろそろかと私は鍵を開けた
ふわりと甘い香りがする
「今日の菓子はなんだ?」
私の両肩に手を置いてキラキラとした目を向ける小暮はまるでそう犬の様だ
「かぼちゃプリンとタルトだ」
私はエプロンを置いて、彼にかぼちゃプリンと一切れのタルトを渡す
「んー!!」
彼は幸せそうに笑っている
それを見つめるのがもう日課になった
友達…ねぇ
私は空を見上げる
人は嘘の匂いを纏わせているのだ
きっと
小暮もあの女共もそうだろう
今は良くてもいつか裏切る
そう言うものだ
人の縁は脆く儚いのだよ
お菓子の辞書をめくりつつも私は溜息を吐いた
あの女共の匂いがする
近くに来ているのだ
「友達にはならんぞ」
私は頬杖をつきそう言い放つ
「どーしてよ!」
しつこいな
「何で?」
煩い
「ならんものはならん、諦めろ」
名前すら聞かせない女共にはいなりましょうとはならんだろ
「私は夕暮雛!」
「私は小鳩雪音」
まるで私の考えを見抜いたかの様に名乗る二人に私はうんざりとした
「………紅月椿だ」
渋々と言った様に私は自分の名前を名乗る
二人は嬉しそうに私の名前を繰り返す
何なんだ
「椿!綺麗な名前だな!」
目を見開く
綺麗だとそう言われたのが初めてだったからだ
「椿の花も綺麗だものね」
その言葉は嘘ではない真の匂いがした
心が震える
きゅっと胸が締め付けられた
「は、そうか」
だが
人など信用できない
私は首を横に振り、彼女らを見る
「小暮」
小暮はむすっとしつつも私を見た
「は?」
私はキョトンとする
「俺のこと千早って呼べよ」
「何故そうなる」
ため息がこの学校に来てから止まらない
私はついに諦めた
「分かった分かった」
私は両手を上げて降参する
そして
「千早な、それと雛と雪音」
一本一本彼女らに指を指してそう言う
彼女らは嬉しそうに又は勝ち誇った顔をしている
本当に
何なんだ
こいつらは
でも嬉しいと思ったのは胸に秘めていた
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