黒龍様のお気に入りはー………

蒼葉縁

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「あら、随分と早いじゃ無い」
カツンとヒールの音が鳴る
その目の前には怒りを滲ませている友人の姿
「ふざけるのも大概にしろ、イルファ」
「ふざけてなんかいないわ」
イルファの顔も険しくなる
カツン、カツンとヒールの音が響き渡った
「貴方があの子を愛しているから」
貴方があの子と出会わなければ
「あの子は貴方に囚われた」
あの子は私のものだった!
彼の目の前に立ち、ギロリと睨む
「貴方なんかに渡さないわよ!」
氷の刃を向ける
私は氷や水の類なら何でもできるの
ちなみに毒や睡眠薬も作れるわ
でも
いつもいつも
彼には負ける
だからそれが悔しかった
あの子さえ
取られるのだから
「私は!あの子の愛する人なのよ!」
氷の刃がはじかれる
「黙れ!そんな幼児の真似事をして楽しいか!」
幼児の真似事ですって!?
「舐めるな!!」
バンと開かれる扉
その奥から
ノシリノシリと重く低い足音を立てて彼女は深紅の毛並みを揺らして私たちのところに現れる
その目は
酷く怒りに怒っていた
「グルルルッ」

檻の中にいる私
微かな音を拾った
「あの子はー」
「舐めるな!」
氷の弾かれる音
彼が来ていると分かり、急いで出ようとした
けどこの檻は人の姿の私では開かないようになっている
つまり
あの姿にならなければならない
………
「………っ!」
ザワザワと風が舞う
そして
深紅の狼になる
「グルルルッ」
私は檻を壊して走り出す
そして
一つ、また一つと扉を越える
そして
一番大きな扉の前に立ちはだかる
「ガオォウ!!」
扉を開けると
イルファ様とアルガード様がいた
けど
私はその時、怒りに身を任せてしまいそうになった
何故
彼はこんなにも怪我をしているのか
なぜ
なぜ!!!!
「ガオオオオオオオオ!!」
風の咆哮をイルファ様に当てる
その間にアルガード様の前に立つ
「グルルルッ」
「何で、なんで、そいつなのよ!!!」
氷の刃が飛んでくる
私はそれを風の咆哮で叩き落とした
「貴方は間違っている」
「間違ってなんか無いわ!」
私の言葉すら
私の声すら
届かないくらい
心が悲鳴を上げている
駄目だ
それ以上苦しまないで
「私は、わたし」
次第に落ち着いてきたのか静かになる彼に近付く
すると
アルガード様に引き寄せられる
「イルファ」
「、何よ」
(………アルガード様?)
私は人の姿に戻った
すると
アルガード様に頬を撫でられる
「この者を愛するのは構わないだが奪うなら正々堂々としろ!」(………ん?)
「………良いわね、上等じゃ無いの」
(………え?)
二人は互いに火花を散らしている
私はその間に挟まり
混乱していたのだった
いや、どんな状況ですか
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