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五
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朝だといつも起きる時間に目を覚ます
起き上がると倦怠感がある
その感じに昨日のことが思い出された
それが事実だと言うように
俺はいつも通り騎士服を着て、レイセルト様の後ろに着く
カツカツと靴音が鳴る
レイセルト様は今日も機嫌がいい
周りがざわついている
そりゃそうだろう
アルス様のお側にいた騎士が今は王太子殿下のお側にいるのだから
俺は目を少し伏せ、静かに一礼する
「レイセルト様、今日のご予定を」
「はぁい!」
予定を読み上げていると、何かの気配を感じた
俺は剣を引き抜きそちらに向ける
「レイセルト様に何用か」
一人の騎士と向き合う
その騎士の言葉は
「あんたを連れ戻せと言われた」
酷く心を揺らす
「どのお方に………!!」
目を見開く
「私よ」
アルス様の姿だったからだ
「………アルス様」
俺は剣を握ったまま固まる
「何日かぶりね、アルベルト」
アルス様の悲しそうな顔を見て苦しくなった
「決闘を申し込むわ」
アルス様の考えが分からない
震える手を包む何か
それは
「はぁ?嫌なんだけど」
レイセルト様だった
「!?」
俺が驚いているとレイセルト様はツカツカとアルス様のお側に行く
そして
「一度見捨てた奴をよく戻そうと思うわ、どんな考え?」
と吐き捨てた
俺は冷静になり、レイセルト様のお側に行く
「レイセルト様、御予定が迫っていますので」
レイセルト様は舌打ちをすると、ツカツカと歩いて行く
「決闘の件は後程、では」
俺はアルス様に一礼してその場を去る
レイセルト様は俺の歩幅に合わせて歩き出した
「今日だるい~」
「ですが御予定が迫っています、頑張り下さい」
資料を持ち、鞄を片手に歩く俺を見てレイセルト様は止まる
「ねぇ、アルベルト」
「はい」
俺の前に立つレイセルト様はやけに悲しそうだった
「離れないで」
その言葉に目を見開いた
バサバサと資料が落ちる
「大丈夫です、離れません」
静かにけれど確実にそう言うと
「………あは、おもしろ~」
レイセルト様は嬉しそうに笑い、資料を拾う
俺もレイセルト様の荷物を全て持ち、自室に運ぶ
そして
決闘を開始する
容赦はしない
俺はレイセルト様の騎士だ
剣を構える
そして
脚に力を入れ、相手の後ろに回り込み剣を弾き飛ばす
「く、まだだ!」
「いや、お前の負けだ」
剣を首に当て睨む
アルス様の悲しそうなお顔も見えない
見てはならない
男は新しい騎士だろう
良かったですねアルス様のお側にいられて
なんて皮肉だろうか
「失礼する」
「勝者!アルベルト・デライスト!」
そんな言葉を聞きつつも俺は剣を納める
カツカツとレイセルト様のお側に行き頭を下げた
「お疲れ様~」
「有難きお言葉」
汗すらかいていない俺を見て満足そうなレイセルト様
アルス様の足音がした
「アルベルト!貴方は本当にっ」
アルス様の悲痛な声
俺はぐらつく
駄目だ
ぐらつくな
レイセルト様の騎士なのだ
妻でもある
ならば
「本当に、何でしょう?」
それ相当の態度と誇りを持つこと
騎士として妻として
前を向かねばならないのだ
「っ」
アルス様のお側にいられて十数年
とても楽しく、とても幸せだと思いました
だけど
貴方から突き放したこの思い
決して忘れません
俺は頭を下げて、その場をレイセルト様と共に去る
レイセルト様の自室に行くと、レイセルト様に抱き締められた
「落ち着く」
「左様ですか」
レイセルト様はきっと不安だ
心配していただけた
それがとても嬉しいと思ってしまった
あの時
微かに感じた愛しさを胸に秘めて、俺は今日も俺を殺して行く
起き上がると倦怠感がある
その感じに昨日のことが思い出された
それが事実だと言うように
俺はいつも通り騎士服を着て、レイセルト様の後ろに着く
カツカツと靴音が鳴る
レイセルト様は今日も機嫌がいい
周りがざわついている
そりゃそうだろう
アルス様のお側にいた騎士が今は王太子殿下のお側にいるのだから
俺は目を少し伏せ、静かに一礼する
「レイセルト様、今日のご予定を」
「はぁい!」
予定を読み上げていると、何かの気配を感じた
俺は剣を引き抜きそちらに向ける
「レイセルト様に何用か」
一人の騎士と向き合う
その騎士の言葉は
「あんたを連れ戻せと言われた」
酷く心を揺らす
「どのお方に………!!」
目を見開く
「私よ」
アルス様の姿だったからだ
「………アルス様」
俺は剣を握ったまま固まる
「何日かぶりね、アルベルト」
アルス様の悲しそうな顔を見て苦しくなった
「決闘を申し込むわ」
アルス様の考えが分からない
震える手を包む何か
それは
「はぁ?嫌なんだけど」
レイセルト様だった
「!?」
俺が驚いているとレイセルト様はツカツカとアルス様のお側に行く
そして
「一度見捨てた奴をよく戻そうと思うわ、どんな考え?」
と吐き捨てた
俺は冷静になり、レイセルト様のお側に行く
「レイセルト様、御予定が迫っていますので」
レイセルト様は舌打ちをすると、ツカツカと歩いて行く
「決闘の件は後程、では」
俺はアルス様に一礼してその場を去る
レイセルト様は俺の歩幅に合わせて歩き出した
「今日だるい~」
「ですが御予定が迫っています、頑張り下さい」
資料を持ち、鞄を片手に歩く俺を見てレイセルト様は止まる
「ねぇ、アルベルト」
「はい」
俺の前に立つレイセルト様はやけに悲しそうだった
「離れないで」
その言葉に目を見開いた
バサバサと資料が落ちる
「大丈夫です、離れません」
静かにけれど確実にそう言うと
「………あは、おもしろ~」
レイセルト様は嬉しそうに笑い、資料を拾う
俺もレイセルト様の荷物を全て持ち、自室に運ぶ
そして
決闘を開始する
容赦はしない
俺はレイセルト様の騎士だ
剣を構える
そして
脚に力を入れ、相手の後ろに回り込み剣を弾き飛ばす
「く、まだだ!」
「いや、お前の負けだ」
剣を首に当て睨む
アルス様の悲しそうなお顔も見えない
見てはならない
男は新しい騎士だろう
良かったですねアルス様のお側にいられて
なんて皮肉だろうか
「失礼する」
「勝者!アルベルト・デライスト!」
そんな言葉を聞きつつも俺は剣を納める
カツカツとレイセルト様のお側に行き頭を下げた
「お疲れ様~」
「有難きお言葉」
汗すらかいていない俺を見て満足そうなレイセルト様
アルス様の足音がした
「アルベルト!貴方は本当にっ」
アルス様の悲痛な声
俺はぐらつく
駄目だ
ぐらつくな
レイセルト様の騎士なのだ
妻でもある
ならば
「本当に、何でしょう?」
それ相当の態度と誇りを持つこと
騎士として妻として
前を向かねばならないのだ
「っ」
アルス様のお側にいられて十数年
とても楽しく、とても幸せだと思いました
だけど
貴方から突き放したこの思い
決して忘れません
俺は頭を下げて、その場をレイセルト様と共に去る
レイセルト様の自室に行くと、レイセルト様に抱き締められた
「落ち着く」
「左様ですか」
レイセルト様はきっと不安だ
心配していただけた
それがとても嬉しいと思ってしまった
あの時
微かに感じた愛しさを胸に秘めて、俺は今日も俺を殺して行く
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