幼馴染に浮気されて落ち込んでいたら、ストーカー生徒会副会長に溺愛されました。

ヤオサカ

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第7話「鬼の形相、独占欲のキス」

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 学校が休みの土曜、雅は静かな朝を迎えていた。
両親は外出していて、家には雅ひとり。窓を開けると、穏やかな春風がカーテンを揺らす。

(今日はバイトも休みだし、録画してたドラマでも見ようかな。)
 
そう思いながらリビングでくつろいでいると――突然、リビングのドアが開いた。

「雅……。」
 
聞き慣れた低い声。
そこに立っていたのは、幼馴染の五十嵐拓哉だった。

「……拓哉?」
 
雅は驚いて立ち上がる。

「どうしたの、勝手に入ってこないで。」

「いいじゃん。俺たちいつも互いの家を行き来してるだろ。」
「今は別れたんだから、勝手に入ってこないで。」

拓哉は困ったように笑って、雅の前に歩み寄る。

「俺、気づいたんだ。雅の良さに。」
「……は?」
 
雅は思わず眉をひそめる。

「理央とはもう別れた。だから、やり直そう。」

拓哉の声は真剣だった。

「いつも隣にいた雅が、当たり前すぎて見えてなかった。でも、いなくなってみて、やっぱり雅が一番だったって気づいたんだ。」

雅の胸が締め付けられる。

(今さら……そんなことを言われても。)

「……もう遅いよ。」

雅は静かに言った。

「私は、もう……。」
 
言いかけた瞬間、拓哉の手が雅の腕をつかむ。

「……まだ間に合うだろ。福村先輩と付き合ってるなんてウソに決まってる。」
「やめて、拓哉!」

雅は抵抗しようとするが、拓哉は雅の顔を両手で包み込み――そのまま、キスをしようと近づいてくる。

 

 ――突然、チャイムが鳴った。

二人は驚いて動きを止める。
チャイムの音は、執拗に鳴り続けた。

「誰……?」
 
雅が疑問を口にした瞬間、リビングの外で何かが動いた。

 そして、窓がガラリと開かれ――
鬼の形相をした福村龍臣が、室内へ入ってきた。

「何してるんだ。」

龍臣の声は静かだった。静かで――冷たいほどの怒りを含んでいた。
拓哉が驚いて一歩後ずさる。

「なんでここに……!」
「お前が雅に何をしてるんだ。雅から離れろ。」
 
龍臣の瞳が細められる。

「許さない。」
 

 ――拓哉の頬に、一撃が入った。

「っ……!」
 
拓哉は痛みに顔をしかめ、壁にもたれかかる。

「待って、先輩――!」
 
雅は慌てて叫ぶが、龍臣はもう一度、拳を振り上げる。
その瞬間――雅は、咄嗟に龍臣の腕を止めた。

「やめて……!」
 
その言葉に、龍臣はぴたりと動きを止める。
 
 そして、次の瞬間――
龍臣は雅の腰を強く引き寄せ、拓哉の目の前で雅に深くキスをした。
雅の体が震える。

(――嘘、でしょ……。)

初めてのキス。
雅の心臓が激しく脈打った。
拓哉は愕然とした表情で二人を見つめる。

「……ふざけんな、もういい。」

拓哉は怒りを滲ませ、乱暴に雅の家を出ていった。
静寂が訪れる。
雅は、息がうまく整えられなかった。

龍臣は雅をそっと抱き寄せる。

「もう大丈夫。」
「どうして先輩がここにいるの?」
「今日は雅のバイトが休みだから、せっかくならこの間話してた映画を見に行こうと誘いに来たんだ。」
「それで、うちに……」
「たまたま雅の家に来てみたらこんなことになって、怖かったな。」

雅は、拓哉にキスされそうになったことよりも――龍臣とキスしてしまったことに驚いていた。

「俺たちの初めてのキスが、こんな風になってすまない。」
 
龍臣の声は、ほんの少し申し訳なさそうだった。
雅は目を伏せる。

「……五十嵐と付き合っていた時もキスしてた?」

雅の体がこわばる。

「さっきも、されそうになってたいが。」

雅はうつむき、小さく息を吐いた。

「……何回か、したことある。」

龍臣の瞳が鋭くなる。

「もう、俺以外とキスしたら許さないから。」

そう言うと、龍臣はもう一度雅にキスをした。
雅の心が、揺れる。

 龍臣の行動にはどこか不安を覚えた。
けれど――
自分の中に、龍臣に深く愛されている実感があり、複雑な心境だった。
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