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第1章:出会いと旅立ち1
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ザーザー降る雨の中、トールは肩をすくめながら森の中を歩いていた。リュックの中の妹の写真が湿らないよう、そっと確認する。
「なんでこんな時に限って……」
空を見上げると、灰色の雲が重たく垂れ込めている。足元はぬかるみ、靴は泥だらけだ。冷たい雨が頬を打ち、身体の芯まで冷え切っていく。
必死に雨宿りの場所を探していると、遠くに小さな村が見えた。煙突からは細い煙が上がり、誰かが住んでいることがわかる。
「助かった……」
村にたどり着いたトールは、一軒の家の軒先で息を整える。屋根の下に入ると、雨をしのげることに少し安堵した。しかし、体はすっかり濡れ、寒さで震えが止まらない。
その時、家の扉がギィと開いた。
「坊や、こんな雨の中で何をしているんだい?」
現れたのは、優しげな目をしたおばあさんだった。
「すみません……少し雨宿りをさせてもらっています」
トールが申し訳なさそうに言うと、おばあさんはにっこり微笑み、扉を開けてくれた。
「そんなところにいないで、入りなさい。あたたかいお茶でも飲むといい」
雨で冷え切った体には、おばあさんの優しさが染みる。
家の中に入ると、暖炉の火が赤々と燃え、温かい空気が広がっていた。中にはもう一人、少女が座っていた。
「なんだ、ずいぶんみすぼらしい格好ね」
そう言いながら、少女は腕を組む。そばかすが特徴的な顔立ちで、赤毛のおさげがぴんと張っていた。
「チイル、そんな言い方はないだろう」
おばあさんが苦笑しながらたしなめると、少女はそっぽを向く。
「雨の中でずぶ濡れになってるのを見たら、そう思うのは当然でしょ?」
トールは、少し気まずそうに笑った。
「ごめん……急に雨が降り始めたから、雨宿りできる場所を探してて……」
チイルはじっとトールを見つめ、ふぅんと鼻を鳴らす。
「まあ、そんなに気にしないでよ。あんた、どこから来たの?」
「遠い村から……僕は、大切な人を救うために旅をしてるんだ」
トールが真剣な表情で話すと、チイルは目を細めた。
「ふぅん、大切な人? 何かあったの?」
その問いかけに、トールはゆっくりとうなずいた。
「妹が……ある病気になってしまったんだ。世界の果てにある花を手に入れるために旅をしてる」
しんとした空気が流れた後、チイルは腕を組んで考え込むような表情をした。
「そんな花、本当にあるのかねぇ?」
「わからない……でも、探すしかないんだ」
トールの目には迷いがなかった。それを見て、チイルはふっと小さく笑った。
「じゃあさ、あたしも一緒に行くよ」
「えっ?」
思わぬ申し出に、トールは目を丸くする。
「なんでこんな時に限って……」
空を見上げると、灰色の雲が重たく垂れ込めている。足元はぬかるみ、靴は泥だらけだ。冷たい雨が頬を打ち、身体の芯まで冷え切っていく。
必死に雨宿りの場所を探していると、遠くに小さな村が見えた。煙突からは細い煙が上がり、誰かが住んでいることがわかる。
「助かった……」
村にたどり着いたトールは、一軒の家の軒先で息を整える。屋根の下に入ると、雨をしのげることに少し安堵した。しかし、体はすっかり濡れ、寒さで震えが止まらない。
その時、家の扉がギィと開いた。
「坊や、こんな雨の中で何をしているんだい?」
現れたのは、優しげな目をしたおばあさんだった。
「すみません……少し雨宿りをさせてもらっています」
トールが申し訳なさそうに言うと、おばあさんはにっこり微笑み、扉を開けてくれた。
「そんなところにいないで、入りなさい。あたたかいお茶でも飲むといい」
雨で冷え切った体には、おばあさんの優しさが染みる。
家の中に入ると、暖炉の火が赤々と燃え、温かい空気が広がっていた。中にはもう一人、少女が座っていた。
「なんだ、ずいぶんみすぼらしい格好ね」
そう言いながら、少女は腕を組む。そばかすが特徴的な顔立ちで、赤毛のおさげがぴんと張っていた。
「チイル、そんな言い方はないだろう」
おばあさんが苦笑しながらたしなめると、少女はそっぽを向く。
「雨の中でずぶ濡れになってるのを見たら、そう思うのは当然でしょ?」
トールは、少し気まずそうに笑った。
「ごめん……急に雨が降り始めたから、雨宿りできる場所を探してて……」
チイルはじっとトールを見つめ、ふぅんと鼻を鳴らす。
「まあ、そんなに気にしないでよ。あんた、どこから来たの?」
「遠い村から……僕は、大切な人を救うために旅をしてるんだ」
トールが真剣な表情で話すと、チイルは目を細めた。
「ふぅん、大切な人? 何かあったの?」
その問いかけに、トールはゆっくりとうなずいた。
「妹が……ある病気になってしまったんだ。世界の果てにある花を手に入れるために旅をしてる」
しんとした空気が流れた後、チイルは腕を組んで考え込むような表情をした。
「そんな花、本当にあるのかねぇ?」
「わからない……でも、探すしかないんだ」
トールの目には迷いがなかった。それを見て、チイルはふっと小さく笑った。
「じゃあさ、あたしも一緒に行くよ」
「えっ?」
思わぬ申し出に、トールは目を丸くする。
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