ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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「ホテル行こうよ」


バイト終わりに僕が誘うと、竹内はびっくりした顔をしていた。


「なに驚いてるの?自分から言い出したことじゃん。約束通り、セックスはなしだよ」


「わ、わかってるよ!」


竹内はわたわたとよくわからない動きをした後、無駄に勢いよく頷いていた。



僕はここに来て、竹内童貞疑惑を抱く。



竹内は今でこそお洒落な大学生だけど、高校まで勉強ばかりしていたらしい。それに男子校出身と言っていたか。


過去の会話を思い出して、疑惑が益々深まってしまう。


なんで早く気づかなかったのか。


これはちょっと失敗だったかもしれない。


このままホテルに行けば、竹内にとんでもないトラウマを植え付けてしまう可能性がある。




「やっぱなしにしよう」


「はぁ!?今更認めねぇよ!?」


 
竹内の将来を思って撤回したものの、竹内は認めてくれなかった。


最初の反応こそアレだったけど、結構乗り気になっているみたいだ。



僕はどうなっても知らないからなと竹内に忠告した上で、ホテルを探すことにした。



「男二人でラブホって、無駄に緊張するよな」


「お店の人も慣れてるよ。何も言われなかったでしょ」


「アンリが小慣れてるみたいなのが嫌だ。黙ってれば天使なのに」


「勝手な幻想を抱くのは良くないよ。そもそも僕がクソなのはわかっていたことでしょ」


「そうだけどさ。わかっていたけどさ。ちょっとはムードを大切にしろよ」



セックスなしって言ってるのに、ムードってなんだよ。


本当は普通のビジネスホテルに行く予定だったけれど、なんか大きなイベントが近くであったのか満室ばかりだった。


仕方なく適当なラブホにしたけど、これもやっぱり失敗だったと中に入ってから気づいた。


開いてる部屋がシープリンセスルームとかいうふざけた名前の部屋だったのも問題だ。


馬鹿みたいにピンクで装飾された部屋はライトまでピンクで目がチカチカする。


やけに甘ったらしい香りは普段嗅ぐことのない匂いだ。


1時間以上ここにいたら頭がおかしくなる自信があるわ。


やりたいとまでは思わないけど、僕でさえちょっと妙な気持ちになってきた。



これが童貞だったら暴走待ったなしだろう。



僕は恐る恐る竹内の様子を見た。



竹内はシープリンセスルームがよっぽど興味深かったのか、一通り部屋の中を確認していた。そして満足したのか貝の形をした大きなベッドに腰を下ろした。


「アンリ、来いよ」


「僕はソファーでいいや。こっちにいても話はできるじゃん」


「話をするためだけにここに来たのかよ」


「逆になにをしに来た」


「添い寝?アンリがいつもママたちとやってることだよ」


「でもジェイとはやってない」


「やってたらあいつを殺してる」


「物騒だよ」


「仕方ないだろ。アンリのことが、本気で好きになっちゃったんだから」



いつも、ふざけて好き好き言っていた竹内。



でも今は、いつもと違ってとても真剣な顔をしている。



だからって僕がときめくことはない。


むしろ、冷めてしまっている。


そういう告白をラブホでしてしまうのはどうかと思った。


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