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現在編4
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「お兄ちゃん、いるんでしょ? ねぇ、早く顔を見せてよ。何も怖いことはないよ。これからは、俺が守ってあげるから」
こいつは、何を言っているんだ。
いくら幼い頃のこととはいえ、僕が今のようになった原因は、こいつにもあった。
信用できるわけがない。
そもそも、状況がおかしい。
こいつの兄は、もはや最初から存在していないことになっているはずなのに、どうしてこんなことになっている。
「迎えに来るのが遅くなっちゃってごめんね。忘れてたわけじゃないんだ。記憶に自信がなかっただけなんだ。でもこの間友人に、俺や俺の母さんに似ている人に会ったって言われて、名前を聞いて、ようやく確信した。俺にはやっぱり、お兄ちゃんがいるって」
「……意味が、わからない。あんたは、何を言っているんだ。警察を、呼ぶぞ」
「おかしいことを言うね。警察なんてなんの役にも立たないよ。あいつらはお兄ちゃんに酷いことをするかもしれないから、近づいちゃいけないよ」
「意味がわからないって、言ってるだろ。僕に兄弟なんていない。あんたは何か、勘違いしている」
「動揺しているんだね。気持ちはわかるよ。俺も最初はパニックになったから。でも、頭の中を整理して、こうやってお兄ちゃんを迎えに来たんだよ」
「仮に、あんたにお兄ちゃんがいるとしても、それは、僕じゃない」
「じゃあ、調べさせてよ。顔を見せて。顔を見れば。わかるから。お兄ちゃんも、わかるはず。俺たち二人は、兄弟だって。お互い、大切な存在だって」
ずっと昔、ママに似て可愛くて仕方なかった弟。
あの頃の弟の姿をしたままだったら、僕の心は揺れていたかもしれない。
でも今、ドアスコープ越しに見えてしまったのは、世界で一番嫌いな男と、同じ顔をした弟だった。
嫌いな男の血を濃く受け継ぎ、高宮家の中で育った弟を、大切だなんて思うわけがない。
ボクは、弟のことを、世界で二番目に恨んでいた。
ママに愛され、高宮家に守られて、約束された幸せの中で生きていればいいのに、どうして僕なんかに興味を示してるのか、全然理解できない。
「小さい頃、俺には優しいお兄ちゃんがいた。でも、いつのまにかいなくなっていた。母さんに聞いても、父さんに聞いても知らないって言う。父さんはともかく、母さんが嘘をつくはずがない。だからあの頃、俺だけに天使が見えていたんだと、思ったんだ。天使だから、どこかへ飛んで行ってしまったんだって。
天使なら、翼を折ってしまえばよかった。そしたら、俺から逃げて行かなかったのにって、ずっと後悔していた。
でも、お兄ちゃんはちゃんと存在してたんだね。ある意味翼を折られて、こんなところに囚われていた。
お兄ちゃんの翼を折ったのが他人なのが腹立たしい。これからは他人に指一本触れさせないって約束するよ。
だからお兄ちゃん、出ておいで。
俺から逃げるなんて
絶対に
許さないよ」
こいつは、何を言っているんだ。
いくら幼い頃のこととはいえ、僕が今のようになった原因は、こいつにもあった。
信用できるわけがない。
そもそも、状況がおかしい。
こいつの兄は、もはや最初から存在していないことになっているはずなのに、どうしてこんなことになっている。
「迎えに来るのが遅くなっちゃってごめんね。忘れてたわけじゃないんだ。記憶に自信がなかっただけなんだ。でもこの間友人に、俺や俺の母さんに似ている人に会ったって言われて、名前を聞いて、ようやく確信した。俺にはやっぱり、お兄ちゃんがいるって」
「……意味が、わからない。あんたは、何を言っているんだ。警察を、呼ぶぞ」
「おかしいことを言うね。警察なんてなんの役にも立たないよ。あいつらはお兄ちゃんに酷いことをするかもしれないから、近づいちゃいけないよ」
「意味がわからないって、言ってるだろ。僕に兄弟なんていない。あんたは何か、勘違いしている」
「動揺しているんだね。気持ちはわかるよ。俺も最初はパニックになったから。でも、頭の中を整理して、こうやってお兄ちゃんを迎えに来たんだよ」
「仮に、あんたにお兄ちゃんがいるとしても、それは、僕じゃない」
「じゃあ、調べさせてよ。顔を見せて。顔を見れば。わかるから。お兄ちゃんも、わかるはず。俺たち二人は、兄弟だって。お互い、大切な存在だって」
ずっと昔、ママに似て可愛くて仕方なかった弟。
あの頃の弟の姿をしたままだったら、僕の心は揺れていたかもしれない。
でも今、ドアスコープ越しに見えてしまったのは、世界で一番嫌いな男と、同じ顔をした弟だった。
嫌いな男の血を濃く受け継ぎ、高宮家の中で育った弟を、大切だなんて思うわけがない。
ボクは、弟のことを、世界で二番目に恨んでいた。
ママに愛され、高宮家に守られて、約束された幸せの中で生きていればいいのに、どうして僕なんかに興味を示してるのか、全然理解できない。
「小さい頃、俺には優しいお兄ちゃんがいた。でも、いつのまにかいなくなっていた。母さんに聞いても、父さんに聞いても知らないって言う。父さんはともかく、母さんが嘘をつくはずがない。だからあの頃、俺だけに天使が見えていたんだと、思ったんだ。天使だから、どこかへ飛んで行ってしまったんだって。
天使なら、翼を折ってしまえばよかった。そしたら、俺から逃げて行かなかったのにって、ずっと後悔していた。
でも、お兄ちゃんはちゃんと存在してたんだね。ある意味翼を折られて、こんなところに囚われていた。
お兄ちゃんの翼を折ったのが他人なのが腹立たしい。これからは他人に指一本触れさせないって約束するよ。
だからお兄ちゃん、出ておいで。
俺から逃げるなんて
絶対に
許さないよ」
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