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現在編6
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「私と昔の仲間は、菫の活動を支持しています。そしてアンリのことを救いたいという想いも一緒でした。だから今回、アンリを高宮家から引き離し、高宮家ではできなかった心の治療をすることにしました」
「じゃあ、車をとりかこんだ人たちは、ジェイのみかたなの?」
「お金で雇った人たちですから、味方とは言い切れません。高宮家にこちらの存在を知られないように、簡単に切れる人物に依頼するしかなかったのです。だから乱暴な方法になってしまい、すみませんでした」
「そのことは、もういいよ。それより、高宮奏はいずれ菫さんとジェイのかんけいに気づいて、僕をさがしだすはずだ。あの人は、甘くない。菫さんのたちばも危なくなる」
「仮に気づかれたとしても対処出来るタイミングを待って行動に出たんですよ。菫はもう高宮家の着せ替え人形じゃない。今の彼は高宮家を出てもやっていけるでしょう」
高宮家を敵にまわしたら生きていけない。
常識のようにみんなが言っていた。
でも、ジェイが高宮家を恐れている素振りはない。
それはジェイが外国人だからなのか。
それとももっと怖いことを知っているからなのか。
怖い目にあって、どうしてそんなに強くなれたんだろう。
僕は、こんなに弱いのに。
どうして。
「……菫さんは、高宮家をうらぎるつもりなの?」
「すでに裏切り、引き返せないところにいます」
「僕のために?」
「彼自身のためでもあるでしょう」
菫さんのことは、どこか他人事に聞こえてしまう。
情報量が多過ぎて、頭の中がいっぱいだった。
ジェイのことは、信じたい。
今でも普通に、嫌いじゃない。
でも、信じきるのは、どうだろう。
そもそも、どうして、信じられるだろう。
カップの中のココアが揺れる。
揺れているのは、僕のほうかどうかも、わからない。
ココアに映る僕の顔がぐちゃぐちゃに歪んで、気持ち悪い。
耳鳴りがすると思ったら、子どもの金切り声が聞こえてきた。
「アンリ、薬を飲みましょうか?」
僕が震えだしたことに気づいたジェイは、錠剤を僕に差し出した。
見慣れたそれに、思わず顔を歪めてしまう。
「心は、薬でなおるの?」
これまで不安になると直ぐに手を出していた薬さえ、信用できないものに思えてきた。
なんだか、無性に、苛々する。
「薬だけじゃ難しいでしょうね」
「なら、のまない」
「少なくとも今のアンリには必要なものです。一気にやめるのは良くないんですよ。高宮家から出されていた薬は、どんな薬でしたか?」
「色々、くれたよ。さいしょはよくても、直ぐに効かなくなって、死にたくなるんだ」
「飲み方の問題もあるはずです。一緒に良い方法を見つけましょう。アンリは私たちが死んでいると思って罪の意識に押し潰されていた。それだけではないとしても、私たちが無事だと知ったことは大きいはずです。だから、アンリはこれからどんどん良くなります」
なんだか、より、信用できない。
僕は、ジェイを睨みつける。
ジェイは仕方なそうに笑う。
笑われるのも気に食わなくて、僕は犬のように唸ってみる。そのままジェイに噛みつきたくなった。
自分でも、むちゃくちゃだと思う。
「アンリが立ち直れたら、アンリのお母さんが立ち直る可能性も出てくるかもしれませんよ」
「いま、ママのことをいうのは、ひきょうだ」
「大事なことです。アンリのお母さんも、アンリと同じような薬を飲んでようやく生きていられているのですから」
幸せそうなママの顔。
思い出そうとした途端、やっぱり歪んで、破裂した。
「彼女を解放できるのは、たぶんアンリだけですよ」
「じゃあ、車をとりかこんだ人たちは、ジェイのみかたなの?」
「お金で雇った人たちですから、味方とは言い切れません。高宮家にこちらの存在を知られないように、簡単に切れる人物に依頼するしかなかったのです。だから乱暴な方法になってしまい、すみませんでした」
「そのことは、もういいよ。それより、高宮奏はいずれ菫さんとジェイのかんけいに気づいて、僕をさがしだすはずだ。あの人は、甘くない。菫さんのたちばも危なくなる」
「仮に気づかれたとしても対処出来るタイミングを待って行動に出たんですよ。菫はもう高宮家の着せ替え人形じゃない。今の彼は高宮家を出てもやっていけるでしょう」
高宮家を敵にまわしたら生きていけない。
常識のようにみんなが言っていた。
でも、ジェイが高宮家を恐れている素振りはない。
それはジェイが外国人だからなのか。
それとももっと怖いことを知っているからなのか。
怖い目にあって、どうしてそんなに強くなれたんだろう。
僕は、こんなに弱いのに。
どうして。
「……菫さんは、高宮家をうらぎるつもりなの?」
「すでに裏切り、引き返せないところにいます」
「僕のために?」
「彼自身のためでもあるでしょう」
菫さんのことは、どこか他人事に聞こえてしまう。
情報量が多過ぎて、頭の中がいっぱいだった。
ジェイのことは、信じたい。
今でも普通に、嫌いじゃない。
でも、信じきるのは、どうだろう。
そもそも、どうして、信じられるだろう。
カップの中のココアが揺れる。
揺れているのは、僕のほうかどうかも、わからない。
ココアに映る僕の顔がぐちゃぐちゃに歪んで、気持ち悪い。
耳鳴りがすると思ったら、子どもの金切り声が聞こえてきた。
「アンリ、薬を飲みましょうか?」
僕が震えだしたことに気づいたジェイは、錠剤を僕に差し出した。
見慣れたそれに、思わず顔を歪めてしまう。
「心は、薬でなおるの?」
これまで不安になると直ぐに手を出していた薬さえ、信用できないものに思えてきた。
なんだか、無性に、苛々する。
「薬だけじゃ難しいでしょうね」
「なら、のまない」
「少なくとも今のアンリには必要なものです。一気にやめるのは良くないんですよ。高宮家から出されていた薬は、どんな薬でしたか?」
「色々、くれたよ。さいしょはよくても、直ぐに効かなくなって、死にたくなるんだ」
「飲み方の問題もあるはずです。一緒に良い方法を見つけましょう。アンリは私たちが死んでいると思って罪の意識に押し潰されていた。それだけではないとしても、私たちが無事だと知ったことは大きいはずです。だから、アンリはこれからどんどん良くなります」
なんだか、より、信用できない。
僕は、ジェイを睨みつける。
ジェイは仕方なそうに笑う。
笑われるのも気に食わなくて、僕は犬のように唸ってみる。そのままジェイに噛みつきたくなった。
自分でも、むちゃくちゃだと思う。
「アンリが立ち直れたら、アンリのお母さんが立ち直る可能性も出てくるかもしれませんよ」
「いま、ママのことをいうのは、ひきょうだ」
「大事なことです。アンリのお母さんも、アンリと同じような薬を飲んでようやく生きていられているのですから」
幸せそうなママの顔。
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「彼女を解放できるのは、たぶんアンリだけですよ」
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