ボクのことが嫌いな彼らは、10年後の僕を溺愛する

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現在編6

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薬を飲んで眠り、起きた時は最悪な気分だった。

全身が怠くて、ジェイと話をする気も起きなかった。

ジェイは無理矢理僕を起こそうとしなかった。

次の日は、頭がぼんやりしていたもののちょっと気持ちが軽かった。

庭に出て、小さな子どもたちが花を植えているのを眺めて過ごした。

夜、急に不安になって目が覚めた。

ジェイはすでに寝ていただろうけど、大声で呼び出して、落ち着くまで抱きしめてもらった。

いつの間にか寝ていて、目が覚めた時は頭が痛かった。その日は何もしなかった。

苛々する。昼食をひっくり返したら、ジェイにやんわりと注意された。そういうのもムカついて、フォークを振りまわしたら、何かの注射を打たれた。

その次の日は、一日中吐き気がした。





死にたくて仕方がなくなった。

ママが恋しくて、ひたすら泣いた。

身体を切られる夢を見た。

ジェイが誰だかわからなくなった。

樹里の泣き声が聞こえた気がした。

窓の外で、知らない子どもが僕を呼んでいた。

死神が後ろに立っていた。



















僕の気分がだいぶ安定してきた頃、ジェイは3人の仲間を紹介してくれた。

あの日、あの場所にいたジェイの仲間。

ジェイと仲間は楽しそうに話していて、僕とは全然違う世界の人たちに思えた。

ジェイがいない時、彼らが僕の様子を見てくれることになった。

彼らはみんな日本人じゃなかった。

僕の拙い英語と、彼らの拙い日本語と、たまに混ざる知らない言語。

言葉の意味をストレートに理解できないからこそ、よく考えて話して、聞こうとする。

コロコロ変わる体調と気分の問題もあり、彼らと接すると毎回かなり疲れてしまった。

それでも繰り返し顔を合わせるうちになんとなく相手を理解できたような気がするのが不思議だった。


1人は、あの時はまだ幼過ぎたため、僕のことを覚えていないらしい。だから僕を助けたいという強い想いがあるわけじゃないけれど、面白そうだから協力することにしたと言ってニカリと笑っていた。

僕のやる気がない時は、ピアノを弾いたり、歌を歌ったり、本来つまらないはずの時間さえ楽しそうに過ごしていた。


1人は、ジェイのことを慕っていて、菫さんに憧れていた。だからジェイと自分を救う原因になって、一応菫さんの甥である僕をキラキラした目で見つめて質問をしてきた。

僕が苛々している時は、僕の汚い言葉を淡々と受け入れ、宥めてくれた。


1人は、僕を最初から睨みつけ、お前は良いよなと悪態をついてきた。これまでどんな苦労をしてきたのか語って、僕がどんなに恵まれているか半分想像を混じえて話していた。僕に色々話し終えると、彼はスッキリとした顔をしていた。

僕が不安になってる時は、黙って背中をさすってくれた。優しい言葉が彼の口から出てくることはないけれど、彼の手はとても暖かかった。






あの日、あの場にいた子どもたちは、生きていて、それなりに生活している。


3人と交流し、ようやく事実だと受け入れられるようになった頃、それでも不幸な子どもたちは世界中にたくさんいると考えて、またどんどん不安になった。



ジェイに保護された後に僕が過ごしていた施設は孤児院だった。

色々な理由でやってきた子どもたち。

僕のように不安定な子もいて、僕は時々その子たちに引きずられてしまった。

僕なんかをケアする余裕があるのならば、1人でも多くの子どもたちを救うべきだとジェイに訴えると、ジェイは無理だとあっさり言った。


とても全員は救えない。

救える子だけでも救う。

そしてその子が、いつか他の子を救ってくれたらいいなと思っている。


僕はそんなに上手くいかないと思ったし、僕を救う理由にもならないと思った。


だけど、ひたすら死にたいと思うことは、ほとんどなくなってきた。

代わりに、高宮家のことを考えることが多くなった。

ジェイたちとは違う方法で僕のケアをしてくれていた精神科医は、最初のカウンセリングで高宮家とママのことはしばらく考えないようにしようと言っていた。

ジェイも高宮家に触れないようにしていた。

ある日、僕はジェイに高宮家のことを聞いてみた。

しばらく経って、もう大丈夫なタイミングだと、自分で判断した。


そしてジェイは教えてくれた。


菫さんが、高宮家の当主になるかもしれないと。



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